三審制の意味がない? どのような時に控訴・上告が棄却されてしまうのか

シェアしたくなる法律相談所 / 2015年6月20日 12時36分

写真

●上訴制度が必要とされる理由

上訴とは、裁判の確定前に、上級の裁判所に対し、もとの裁判の取消し・変更を求める不服申立てのことです。

当事者の正当な権利の実現を図るためには、不当な判決を是正する必要があることから設けられた制度ですが、我が国を含む多数の国で、2回の上訴、すなわち最初の裁判を含めて三審(級)制がとられています。

これだけではありませんが、地方裁判所(第一審)→高等裁判所(第二審)→最高裁判所(最終審) と考えると分かり易いでしょう。

●上級審に審理させる意味

不当な判決を是正するのであれば、その判決をした当該裁判所自身に対し再審理の請求を認めることが迅速・簡便といえなくもないのですが、一旦、判決を下した裁判所に再審理をさせても、見方を変えることを期待できませんし、同じ裁判所が判断をコロコロ変えるようでは、却って裁判所に対する信頼というものを損ないかねませんので、上級審に再審理させた方がよいというわけです。

●控訴棄却や上告棄却はおかしいのか?

折角、控訴したり、さらに上告したりしても、棄却されてしまうのでは、三審制の意味がないのではないかと感じる向きもあるようです。

判決に不服があって上訴をしたとしても、裁判というものは、必ず相手方となる当事者がいますから、上級審では、上訴の理由に対する相手方当事者の言い分も聞いた上で、最終的に判断がなされることになります。

そして、もとの判決を是正すべき理由がなければ、上級審でももとの判決が維持されて、控訴が棄却されたり上告が棄却されたりするのは、当然のことですし、逆に、上訴がなされれば、必ずもとの判決が覆されるというのでは、もとの判決では勝訴していたはずの当事者の地位をいとも簡単に覆してしまうことになり、裁判に対する国民の信頼を得ることなどできず、司法権の存立基盤が失われることになります。

●裁判所の身内意識は問題

ただ、実際の裁判の現場では、裁判所が公正な判断をしているのか疑問を感じるところがあります。

それは、裁判所の身内意識です。第1審判決の事実認定や判断は間違っていると思って控訴をしても、控訴審がどこまで真剣にその不服申立てに向き合ってくれているのか、首を傾げたくなることがあるのです。

控訴審の裁判の席上で、裁判官が当事者に向かって「控訴審は、よほどのことがない限り、一審判決を救えるかどうかという観点から判断しますので。」などと平然と話してきたことがあるのですが、これでは、一審判決に不合理な点が認められても、それが「よほどのこと」でない限り、「一審判決は救われる。」、逆にいえば「一審判決を覆すようなことはしない。」と公言しているようなものであり、国民に対し裁判をやる意味などないといった失望感を与えるような気がします 。

*著者:弁護士 田沢 剛(新横浜アーバン・クリエイト法律事務所。8年間の裁判官勤務を経たのち、弁護士へ転身。「司法のチカラを皆様のチカラに」をモットーに、身近に感じてもらえる事務所を目指している。)

シェアしたくなる法律相談所

トピックスRSS

ランキング