採用時の健康診断書の提出に抵抗を感じる女性…拒否はできる?

シェアしたくなる法律相談所 / 2019年6月10日 16時21分

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転職活動中だったBさん(20代・女性)は、最近ようやく希望する会社から内定をもらいました。ところが新たな仕事を見つけ喜んでいた彼女に、ある問題が発生します。

それは会社が入社時に健康診断書の提出を求めてきたことにあります。Bさんは以前子宮系の病気になったことがあり、できれば他人に知られたくないとのこと。

健康診断書を出せば、当然ながら病気のことを知られてしまいます。そこでBさんは該当部を黒塗りにして提出することを考えていますが、認められないのではないかと不安になっているそうです。

提出拒否や黒塗りは認められるのか?

Bさんに限らず、自らの健康状態や病歴について、所属する会社に知られたくないと考える人は多いことでしょう。そして、入社時にそのことを「伝えたくない」と思う人もいるはずです。

そんなとき、求職者が入社の条件とされる健康診断書の提出拒否や当該部分の「黒塗り」をした形での提出は法的に認められるのでしょうか?法律事務所あすかの冨本和男弁護士に質問してみました

弁護士の見解は…?

冨本弁護士:「提出は断れないし、黒塗りにすることもできないと考えます。労働安全衛生法という法律があり、会社は、労働者を雇う際、健康診断を受けさせるか、直近の健康診断書を提出させる義務を負っています。

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保するため、労働者の健康状態を把握しておきなさいと、会社にこうした義務を負わせているわけです。

健康診断書が提出されない、あるいは黒塗りということになると、会社は、労働者の健康状態を把握することができず、労働者の安全と健康を確保することができなくなります。

したがって、労働者の方は、提出を断れないし、黒塗りにすることもできないと考えます。労働者の人に言いたくない子宮の病気を患っており、会社の人に知られたくないとのお気持ちはわかります。しかし、それは会社による個人情報の管理の徹底で守られるべきこととされています」

拒否や黒塗りは難しいようです。

提出しない求職者を拒否できるか?

それでは逆に「会社が健康状態書を提出しない」、あるいは黒塗りで提出したという理由で入社を拒否することはできるのでしょうか?

冨本弁護士:「いきなり入社拒否はできませんが、健康診断書提出の必要性や個人情報管理の徹底について説明し説得しても応じてもらえないような場合、入社拒否が有効となる場合もあると考えます。

内定によって、条件付きですが労働契約は成立しています。したがって、入社拒否は労働契約の解消(解雇)となり、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合、解雇権の濫用として無効となってしまいます。したがって、いきなりの入社拒否はできないと考えます」

病歴を隠したい気持ちは十分に理解できますが、素直に伝えたうえで、漏らさないようにお願いするしかないようですね。

*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

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