特効薬なし…「いかに軽症で済ますか」しか対策がないRSウイルス

まぐまぐニュース! / 2015年9月15日 6時0分

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小さな子供が罹患すると高熱や肺炎などを引き起こす「RSウイルス」が流行の兆しを見せています。ワクチンも特効薬もない厄介なウィルスにどう立ち向かえばいいいのでしょうか。メルマガ『何でも相談こどもクリニック~新たなスタイル~』の著者で小児科医の宮田大揮先生からの緊急報告です。

緊急特番「RSウイルス感染症」を掘り下げる!

先週から急速にRSウイルス感染が流行し始めているため今回は、RSウイルス感染症について取り上げたいと思います。

まず、RSウイルス感染とはなにか? についてですが、パラミクソウイルスと言われるウイルスでおたふく風邪、はしかを引き起こすウイルスなども同じ種類に含まれています。「RSウイルス」は「アールエスウイルス」と読み、「R」は英語の「respiratory」の略であり、「S」は、「syncytial」を意味し、それぞれ「呼吸」と「合胞体」という意味になります。呼吸をつかさどる気道に好んで寄生し、寄生した際に合胞体という細胞を作り出すために命名されたと言われています。では一体このウイルスはどのような悪さをするのでしょうか?

「RSウイルス」というものをよく聞くのは、保育園や幼稚園、もしくは未熟児や心臓病のお子さんを抱えているお母さん、お父さん方だと思われます。その理由は、1歳未満にかかると重症化し、また、未熟児や心臓病の子どもたちが罹患すると人工呼吸器を必要とするような最重症の症状となることがあるからです。ここまで聞いていると恐ろしいウイルスが出てきたと思われるのですが、実際には2歳以降のお子さんや大人に罹患した場合には、いわゆる「鼻風邪」で、熱すらでないこともあるもので一概に恐ろしいウイルスとは言えません。これは、2歳未満に感染を繰り返し徐々に抗体を獲得して3歳以降になるとほとんど抗体を獲得しているので問題なく乗り切ることができるからと言われており、1歳未満の子供が罹患したときに重症化しないかまめに診てあげることで大丈夫な疾患と考えられています。

統計的にはそうなのですが、1歳から3歳くらいまではグレーゾーンで、人工呼吸器を装着するほどではないけれども、やはり短期間の入院を必要とする1週間くらい続く発熱と咳を認めることはあります。そのため、「RSウイルスにかかり、気管支炎で入院した!」というお友達が増えてくると皆も心配になってしまいます。

では、小さいお子さんを守るためにワクチンなどがあるのか? 特効薬が存在するのか? という問題がありますが、答えは「NO」なのです。ワクチンは存在せず、シナジスというモノクローナル抗体というものが存在するのですが、これは厳密な意味では抗体を身体で作れるようになるワクチンではなく、外から抗体を注射するというもので、身体の中で1ヶ月しか効果がないため、流行シーズンに毎月打たないといけません

以前は11月から1月が流行シーズンでしたので、10月から3月まで接種していればある程度感染防御ができていたのですが、この頃は今年のように流行シーズン以外でも感染することがあるので確実な防御はできないのが現状です。しかも、保険適応がある方々が限られており、早産児や心臓病の子どもたち(他にも一部の疾患にも適応有り)など生命の危機に瀕する患者に限定されているため、希望される方が皆打てるわけではありません。

その理由は、抗体であるため製造する上で高額なコストがかかり、1シーズン接種するのに保険を使用しない場合には10万円の予算が必要になるというとんでもないものになります。つまり、現時的には接種ができないということになり、未然に防ぐことは困難でどこかで自然罹患するしかないという考えになります。

そこで、罹患してしまった後にインフルエンザのように治療薬があるのか? という問題ですが、これも「NO」であり治療効果が期待できるものはありません。そのため、対症療法という発症してしまった症状に対して処方するという方法のみしかなく、本当に我々クリニックのような最前線にいるものにとって、無力感を味わう病気であります。

具体的には、喘息のような咳がでてしまうので、気管を広げる薬やアレルギー症状を抑えるような薬を投与することで苦しくないように配慮し、発熱に対しては解熱剤を使用するのですが、これがまた効果がほとんどでないのでお母さん、お父さんたちを悩ませてしまう問題となります。

とにかく困った問題であるのですが、ご家庭や保育所、幼稚園で出来る対応は湿度を保ち、気道の安静を保つこと、おもちゃなどを次亜塩素酸やミルトンなどでしっかりと消毒することが重要です。2歳までには必ず罹ってしまう病気なので、罹らないようにするという発想から、いかに軽症ですむように罹患するか? 小さい子どもに罹らないように配慮するのか? が重要とお考えください。

image by: Shutterstock

 

『何でも相談こどもクリニック~新たなスタイル~』

著者/宮田大揮(相模大野こどもクリニック院長)

現役小児科医/救急医が今まさに流行している病気やそれにまつわる話を余すことなくライブに発信。修羅場を乗り越えてきた筆者が読者の質問にどんどん答えていく、新たなクリニックのスタイル。

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