溺死寸前だった「かっぱ寿司」、食べ放題で売上も息を吹き返す

まぐまぐニュース! / 2017年11月16日 4時45分

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一時は経営が危ぶまれていた「かっぱ寿司」ですが、打ち出した施策が功を奏し、危機的状況からは脱却したようです。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では、著者で店舗経営コンサルタントとして活躍中の佐藤昌司さんが、かっぱ寿司の業績が持ち直した理由とその施策、さらにいまだ残る不安要素についてプロの視点で解説しています。

かっぱ寿司の業績が持ち直した理由

かっぱ寿司の業績が持ち直しています。

運営するカッパ・クリエイトは10月31日、2017年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比0.6%増の401億円、本業の儲けを示す営業利益が2倍の2億9,200万円だったと発表しました。厳しい経営状況が続いていましたが、なんとか踏みとどまっています。

打ち出した施策が功を奏しました。6月13日から7月14日までの約1カ月間実施した「食べ放題キャンペーンが話題を集めました。平日午後2時~5時に80種類以上のメニューが70分間食べ放題のキャンペーンを21店で実施しています。

この食べ放題は予想を上回る反響があったといいます。時間帯比較で通常営業時の3~4倍程度の来客があり、延べ利用者数は11万人を超えました。各店で行列ができるなど大きな反響がありました。そのことが話題となり、食べ放題キャンペーン以外での集客にもつながったとみられます。

8月28日から9月8日までの間にも、60分間食べ放題を予約制で36店にて実施しました。延べ利用者数は4万人を超えたといいます。こちらの食べ放題も集客に大きく貢献したと言っていいでしょう。

7月からは新たなCMを放映し、話題を集めました。女優の吹石一恵さんが扮する女漁師が、かっぱ寿司社員(岡山天音さん)と共に成長していく姿を描いたシリーズもののCMです。視聴者に「変わったかっぱ寿司」を感じてもらいたいといいます。

このCMシリーズはストーリー仕立てとなっていて、商品の訴求に終始するCMとは大きく趣が異なるものとなっています。漁師も認める品質」の商品を提供していくことを、「やるしかないというメッセージとともに伝えるというものです。メッセージ性が強いCMとなっています。

第1話では商品の紹介は一切ありません。吹石さんが演じる人物があてもなく会社を辞め、父親の勧めで漁師になるところで終わる話でCMは構成されています。第2話と第3話では最後に少しだけ商品の紹介をしていますが、それ以外は第1話と同様にストーリー仕立てで構成されています。どれも、かっぱ寿司が変わっていくことを訴求することに重点を置いたものとなっています。このCMも集客に貢献したと考えられます。

かっぱ寿司はこういった従来にない打ち出しや訴求をしなければならないほど窮地に追い込まれていました。業績悪化の主因である「安かろう悪かろうというイメージの払拭が最重要課題だったのです。かっぱ寿司はそのことをよく認識しているようで、かつて「他社と比較すると商品品質レベルにおいて劣っている」と自ら述べていたほどです。

そういったイメージの払拭ができず、客離れが止まらない状況が続いていました。14年4月から17年3月までの36カ月間では、既存店客数で前年同月を上回った月はわずか2月だけで、34月で前年割れを起こしました。前年同月比で10%以上客数が減った月が同期間で9月もあったのです。

客離れが業績悪化につながりました。14年2月期の最終損益は71億円の赤字(前年同期は22億円の赤字)となり、15年3月期(13カ月間の変則決算)は134億円もの最終赤字を計上しています。16年3月期は赤字を回避したものの、17年3月期は一転して58億円の最終赤字に転落しました。

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こうした経緯もあり、かっぱ寿司は「安かろう悪かろう」というイメージの払拭に努めてきた経緯があります。しかし、打ち出した施策はどれも有効打になることはありませんでした。

「安っぽい」というイメージを変えるため、かっぱ寿司はロゴを刷新しました。トレードマークだった頭に皿を乗せた全身緑色の「かっぱ」のロゴを昨年の10月から外し、皿を数枚重ねた図柄のロゴに差し替えていきました。ただ、ロゴの刷新は意味のないことではありませんが、それだけで客足が戻るわけではありません。かっぱ寿司が変わったことを消費者に印象付けるには十分といえるほどのインパクトはないといえます。

客足を戻すため「平日一皿90円キャンペーン」を実施し、100円の商品を90円で販売したりもしましたが、抜本的な客足の回復にはつながっていません。むしろ、「安かろう悪かろうというイメージをより強めてしまった側面さえあります。また、スシローや無添くら寿司、はま寿司といった競合も同様のセールを実施することがあるので、価格の安さだけで消費者を引きつけることはできなくなっています。

そこでかっぱ寿司が目をつけたのが「食べ放題CM」というわけです。

食べ放題とCMは業績に貢献しています。5月の既存店売上高は前年同月比で8.1%減少していましたが、1回目の食べ放題を開始した6月は前年同月を上回ることができました。食べ放題の実施があり、CMの放映を開始した7月も前年同月を上回っています。8月は下回りましたが、2回目の食べ放題の影響もあって9月は上回ることができました。食べ放題とCMが業績に好影響を与えたと言っていいでしょう。

こうしてかっぱ寿司は業績を持ち直すことができました。取り組みが一定の成果を出していると言えます。ただ、持ち直したとはいえ、完全復活と言うには程遠い状況です。18年3月期通期の業績見通しでは連結売上高を812億円と見込んでいますが、13年2月期の941億円と比べると13%以上少ない状況でしかありません。

不安要素もあります。既存店売上高は持ち直しているものの、足元の10月は前年同月比11.1%減と振るいませんでした。食べ放題といったインパクトのあるキャンペーンがないと客を呼び込めない現状を表しているとみることもできます。まだまだ、かっぱ寿司が変わったと消費者は認識していないと言えるのかもしれません。

業績を上向かせるため、11月1日から22日までで、今度は全店で「食べホー」と題した食べ放題のキャンペーンを実施しています。11月下旬からは首都圏10店舗にて一皿一貫50円で提供する実験を始めます。

「変わったかっぱ寿司」を消費者に示し業績を改善するには、こういったインパクトのある施策で話題を集めるとともに、長きにわたって美味しいすしを提供し続けることができるのかが問われると言えそうです。

image by: かっぱ寿司 - Home | Facebook

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