柳瀬元秘書官が加計学園関係者との面会を認めざるを得なかった訳

まぐまぐニュース! / 2018年5月18日 4時45分

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与野党の激しい攻防が続く加計学園問題。10日に衆院予算委員会で行われた参考人招致での柳瀬元総理大臣秘書官の発言に愛媛県知事が反論するなど、事態は混迷を極めています。元全国紙社会部記者の新 恭さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、柳瀬元秘書官の「釈明」や14日の集中審議での安倍首相の答弁を分析した上で、「安倍特権サークルの協働が明らかになった」と指摘しています。

柳瀬氏と加計学園の面会を問題なしとする安倍首相の不見識

柳瀬唯夫・元首相秘書官が加計学園関係者と官邸で会ったことについて、安倍首相は14日の衆参予算委集中審議で、「何ら問題はない」と語った。

問題がないのなら、なぜ今まで隠してきたのか。後述するが、今井尚哉首席秘書官も知っていたのだ。

しかも、柳瀬氏は参考人質疑において、愛媛県や今治市の面会記録で問題になっている2015年4月2日とその前後に計3回も官邸で同学園事務局幹部らに会ったことを明かした。

柳瀬氏はおかしな釈明をした。「総理秘書官になって外の話が聞けなくなった。自分は世の中からずれているんじゃないかと思い、できるだけ政府の外の方からアポイントがあれば会うよう努めていた」。これでは、加計学園関係者を官邸に呼ぶ理由にはならない

加計学園事務局幹部と柳瀬氏はおそらく携帯で連絡を取り合える仲になっていたのだろう。

13年5月のゴールデンウイーク。安倍首相の別荘でバーベキューパーティーが開かれたさい、柳瀬氏は加計学園理事長、加計孝太郎氏と出会った。学園事務局の幹部職員もいた。

安倍首相は連休ともなると、山梨県・河口湖近くの別荘で休暇を過ごし、親しい人たちと近くのゴルフ場でプレーする習わしがあるようだ。

首相の秘書官や腹心の政治家も呼ばれるのが常で、政務担当の今井尚哉首席秘書官や、萩生田光一前官房副長官らもほぼ毎回、参加しているらしい。萩生田氏が加計学園の千葉科学大学名誉客員教授であることはよく知られている。

バーベキューやゴルフですっかり親しくなった加計孝太郎氏や事務局員は、柳瀬氏の「アポイントがあれば会いたい」という部類に入れてもらったのだろう。

なんのことはない。安倍首相、今井、柳瀬、萩生田、加計孝太郎…加計学園疑惑の核心部分に蠢く顔ぶれが河口湖の別荘に集結していたのだ。

彼らが描いた絵こそ、獣医学部新設計画であることが、柳瀬氏の参考人招致や14日の集中審議により、いっそう鮮明になってきた。いわば“安倍特権サークルの協働だ。 

問題になっている14年4月2日の面会風景も、想像していたよりはるかに派手なしつらえだったことがわかった。記憶にないとか官邸への入館者記録が見当たらないとかいうレベルではない

同日午後3時、加計学園と愛媛県、今治市の一行が柳瀬氏との面会のため官邸の一室に通された時、内閣府に出向している文科省、農水省など関連省庁の官僚たちも待ち受けていた。

午前中に面会した特区担当の藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)は「要請の内容は総理官邸から聞いている」「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と陳情一行に話しており、官邸がすべてお膳立てを整えたとみるのが自然だ。

柳瀬氏は参考人としての質疑で、メインテーブルに座っていたのは加計学園関係者で、今から思えばその後ろに控えていた人たちが愛媛県、今治市の職員だったのかもしれないという趣旨の発言をした。

愛媛県の中村時広知事はそれに強く反発した。

「県職員はメインテーブルに座っていた。子どものお使いに行っているのではない。県の状況をしっかり説明し、柳瀬氏と名刺の交換をした」

愛媛県側がウソをつく必要はない。加計学園のコネで同県や今治市の担当者が官邸に招き入れられたのは確かだろうが、国家戦略特区の話をしに来ているのに、その提案者となるべき自治体の担当者を無視できるはずはないのだ。

いずれにせよ、かなり賑々しい会合が官邸で開かれたのは間違いない。首相の黒子に徹する秘書官のイメージからして、少人数でひそひそ話でもしたのかと思ったら、大違いだった。

なぜ、そういう形の会合にしたのだろうか。5月14日の参院予算委員会で、共産党の田村智子議員がその点に関連して、次のような質問を安倍首相に投げかけた。

「柳瀬氏は総理秘書官として官邸で加計学園と面会し、獣医学部についての要望も聞いた。その場に関係省庁から出向している職員も同席させていたことを認めた。加計学園の要請を内閣府に伝えたことを否定しなかった。客観的にみて、官邸が加計学園のことで動いていることを示したことになるとは思わないか」

各省庁から内閣府に出向している職員は、出向元の省庁に随時、情報を送り、省益を守ろうとする。

事実、この15年4月2日の昼過ぎ、内閣府に出向していた文科省職員から文科省行政改革推進室の担当者に「愛媛県と今治市の職員、加計学園幹部らが午前11時半から1時間、藤原地方創生推進室次長に面会し15時から柳瀬総理秘書官とも面会する」という内容のメールが送られている。農水省にこの種のメールが送られたかどうかは、同省のガードが固いせいか、確認できない。 

田村議員はあえて官邸の獣医学部新設に対する熱意を関連省庁に示したことにならないのか、それは官邸の圧力として働かなかったのか、という疑問のもとに質問したのであろう。

これに対して安倍首相は、質問の趣旨を無視し、その日の集中審議のために用意したメモを、以下のように読み上げた。この内容は、他の議員たちの質問にも、同じように繰り返されてきたものだ。

「特区プロセスは民間有識者が主導して進められる。参考人質疑でも八田座長は、柳瀬秘書官から何の働きかけも受けたことはないと言っている。面会の半年以上前の時点ですでに民間議員ペーパーで獣医学部新設が重要と明記されている。面会が民間有識者の議論に影響を与えたことは一切ないと承知しており、こうした観点から問題はないと考えている

柳瀬氏が加計学園幹部と会ったことは、特区を審議する有識者の諮問会議の議論に全く影響を与えていない。ゆえに、何ら問題はない、というのが安倍首相の見解だ。

しかし、田村議員は柳瀬氏が有識者会議に何らかの働きかけをしたかどうかを問うているのではない。官邸内に、まだ事業者と決まっていない加計学園と、特区申請すらしていない愛媛県、今治市の幹部を呼び込み、関連省庁から出向している内閣府の官僚たちを集めて会合を開いたことの異常性を問題にしているのだ。

柳瀬氏はこの件について安倍首相なり、今井尚哉首席秘書官から指示を受けていないし報告もしていないという。

そのことを14日の集中審議で「ありえない」と野党議員に問いただされた安倍首相の答弁も、もっともらしく用意されてはいたが、ごまかそうとする意図は見え透いている。

「秘書官は日々多くの来客がある。私自身、毎日分刻みでスケジュールをこなすなか、秘書官への来客について報告を受けることはない。報告を受けるのは国家の重大事など、私がなんらかの判断をする必要があるときだけだ」

こんな小さなことに関心はない、天下国家のことしか頭にないのだ、とでも言いたげだ。それならなぜ加計学園の獣医学部新設が国家戦略なのか、と問いたい。

そのうえ、柳瀬氏と加計学園の15年4月2日の面会について安倍首相が知ったのは「この(今年の)ゴールデンウィーク中今井秘書官から聞いて」と言うから、あきれてしまう。

柳瀬氏もまた、今井氏に加計学園と面会したことを明かしたのは昨年7月の国会集中審議の前だったと不自然なことを言う。すべて今井氏の了解のもとに動いていたはずだ。

愛媛県や今治市の職員との面会を追及され「記憶をたどる限りお会いしていない」と強弁し続けてきたものの、朝日新聞のスクープで愛媛県職員の面会記録が出てきたため、急きょ、今井秘書官らと相談して「加計学園とは面会したが、他は記憶にない」にすり替えたにちがいない。

今井氏への報告を昨年7月の集中審議前としたのは、安倍首相が加計学園の獣医学部新設計画を昨年1月20日まで知らなかったというウソを念頭に、それ以降の適当なタイミングを探した結果に過ぎないのではないだろうか。

実際には、はるか前から、加計学園と今井、柳瀬、萩生田という安倍最側近グループが濃密な人間関係を築き、特区活用による獣医学部新設を岩盤規制打破の名の下になすべく、策を練ってきたのだ。

超多忙でも、事情を知る親しい友の利害に関する情報は、数秒もあれば理解可能だ。多忙だから、いちいち耳に入れるなというていどのものなら、なぜ今治市が国家戦略特区に指定された後のクリスマスイブ(2015年12月24日)に安倍首相は加計孝太郎氏らとともに、あれほど満たされた顔で祝杯をあげたのか

安倍首相が執念を燃やす教育改革は、戦前のような道徳教育の復活である。ウソをつかないことは、道徳の基本だ。悪しき例として、安倍官邸の数々のウソを教材にすべきではないか。

image by: GoogleMaps(敏彦冨士)

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