今さら聞けない。「裁判」と「調停」っていったい何が違うの?

まぐまぐニュース! / 2018年9月21日 5時38分

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裁判と調停、いったい何が違うのかご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、調停員の目線から紹介した「調停」の裏話を会話形式で分かりやすく紹介しています。

家事調停のうらの過重労働

うちのボスは、社労士事務所を経営しながら、裁判所で調停員をしている。守秘義務があるため、普段から詳しく話を聞くことはないが、たまに話を聞くこともある…。

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新米 「所長って、裁判所で調停員をしてはるでしょう? どんな案件があるんですか?」

大塚T 「あんた、バカね~。そんなこと聞いちゃダメでしょ。守秘義務があるんだから~」

新米 「守秘義務があるのはわかってますよ~。でも、勉強の意味でもちょっとくらい聞きたいです」

E子 「うちの事務所のなかとおんなじように考えちゃだめよ。どこの誰っていうことは一切言えないし、それらを隠して、内容を加工して、一般化させてからなら、少しくらい傾向をお話しくださるかもね」

新米 「昨日も今日も調停で、それも昨日は、午前も午後もですよね? 今月は多いんですね」

大塚T 「そうみたいね。しょちょー、新米くんがなんか聞きたいことあるそうですよー」

新米 「あ、いやいや…今でなくても…」

所長 「どうした、新米くん。何か、質問かい?」

新米 「あ、いえ、そんな…調停の話を聞いたことってあんまりなかったような…。なので、どんなケースなのか内容をお聞きしたいなと思ったんです」

所長 「ふむふむ。いま、私は調停員といっても家庭裁判所に行く方が多いけどね」

新米 「そもそも、裁判と調停ってどう違うんですか? おおまかにしかわかってなくて、イマイチピンと来ていません」

E子 「まず、裁判は、公開だけど、調停は、非公開よね。そこはわかってるわよね? 公開でないからこそ、話せないわけですよね、所長?」

所長 「そうだね、公開してる裁判所はオープンだからね。調停員の現場は、私がはいってからでも、個人情報保護や守秘義務はさらに厳しくなったよ。昔は、調停が、午前・午後とあるときは、パソコンを持って行って昼休みに仕事していたけれど、今は、パソコンの持ち込みができないんだ」

新米 「えー、そうなんですか? スマホはいいんですよね?」

所長 「さすがに、携帯は必要だから、スマホまでは持ち込み禁止になってはいないね」

新米 「調停ってどう言う風に進むんですか?」

所長 「流れのことかい? 調停ごとに、調停委員会というのが、構成されるんだ」

新米 「その委員会は、何人で構成されているんですか?」

所長 「3人だよ。調停員は、男性1人、女性1人。それに裁判官の3人だ」

新米 「え? 裁判官とそんなに近くで仕事するんですか?」

所長 「そうだよ。昨日も今日も、裁判官と事後評議はしたね。他にも、事前評議中間評議をすることもあるよ。同じテーブルを3人で囲んで話をするから、とても身近に感じることができるね」

新米 「評議って、話し合いのことですか?」

所長 「そうだね。調停の方向性を決定する会議のようなものだね。裁判官は、調停をたくさん抱えているから、原則、調停室にいることはないんだ。だから、調停員から裁判官に調停の内容を伝えることが重要で、それを受けた裁判官からアドバイスをもらうことになる」

E子 「それは、勉強になりますね」

所長 「うん、裁判官の視点や考え方を知ることは、社労士業務はもちろん、いろんな仕事に大いに役立つね。それを得るために調停員になったようなものだからね」

大塚T 「研修も毎月のようにありますね」

所長 「月末のタイミングの研修は、ホントは勘弁してほしいけど、あると助かるよ。調停をする視点での研修が多いからね。知識の習得だけでなく、調停員と相委員、申立人、相手方、それに各々のシャドーと観察人になってのロールプレイ研修もときどきあるんだよ」

新米 「へぇ~、そんな研修もあるんですか」

所長 「そうだよ。相委員など異性役を演じると、日常気づいていない目線になれることもあって、貴重だよ」

大塚T 「男性が女性に、女性が男性役を演じるってことですね」

所長 「そういうことだね、なかなか面白いよ」

E子 「家庭裁判所っていうと、家族や親族間の争い事の調停ですよね」

所長 「うん、主に離婚と遺産分割だね」

新米 「どっちも社労士の直接の仕事とは離れているような…。どうして、家庭裁判所を選んだんですか?」

所長 「たしかに、労務管理とは、直接関わることは少ないと思う。でも、私は労働局で総合労働相談員をしていた経験もあるので、労使間紛争については、他の社労士よりはそれなりに詳しいと思っている。だから、仕事の幅を広げるために民事でなく、家事を選んだんだ」

新米 「民事家事って?」

E子 「民事を扱うのは、地方裁判所の調停、家事を扱うのは、家庭裁判所よ。どちらか選ぶなら、私も家事事件に詳しくなる方が面白いと思ったわ」

所長 「それでも、昨日の離婚事件は、過重労働が原因で気持ちがずれて行った悲劇ストーリーを経験させてもらったよ。

朝7時の出勤、夜中の2時に帰宅の連続。おまけに同族会社の社長・専務と部下との板挟みからメンタル的にも追い詰められているのに、家に帰ると、子供にかかりっきりの妻。家庭で居場所がなくなって、家を出るために借金をしてしまい、消費者金融へ返済が膨らみ、送金もできなくなる、変に責任感が強くて、帰りたいのに帰るに帰れなくなる、あのとき、心のうちをもっと話していれば良かった、あのとき、もっと話を聴いてほしかった…

誰かが話を聴いてさしあげることができる場があれば、想いが吹き出し、今回は珍しく円満解決に向かいそうなんだ。転職できたこともあり、メンタル的にも落ち着いてこられた」

E子 「その事件って、社労士の業務を俯瞰してみているようですね」

所長 「そう思うだろ。調査官は、『誰が悪いって会社が悪い事件ですよね』って意見を言っていたよ」

新米 「僕は社労士の業務範囲は、今でも広すぎて大変です」

所長 「たしかに社労士の業務範囲は、思っていたより多いだろう。労災、雇用保険、健康保険、年金だけでなく、給与計算、就業規則、賃金や退職金、派遣や職業紹介、メンタルヘルスや人事制度に労使間紛争…。採用から退職までの出来事に限らず妊娠・出産から亡くなる手続きまで、人生のあらゆることにかかわる、『人に関すること』ってくくるとすごい大きな範囲になるよな」

新米 「はい、アップアップです」

所長 「でも、面白くないか? 経営者ともっと関わると、いろんな悩みを打ち明けてもらえるぞ。職場のことはもちろんだが、それこそ、離婚や遺産分割、相続や自殺など重たい家庭内の争い事だ」

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■ 家事事件とは (裁判所)

家庭内の紛争などの家庭に関する事件は、家族の感情的な対立が背景にあることが多いので、これを解決するには、法律的な観点からの判断をするばかりでなく、相互の感情的な対立を解消することが求められています。また、家庭に関する事件を解決するに当たっては、その性質上、個人のプライバシーに配慮する必要がありますし、裁判所が後見的な見地から関与する必要があります。

そこで、家庭内の紛争やその他法律で定める家庭に関する事件については、家庭裁判所が、それにふさわしい非公開の手続で、どのようにすれば家庭や親族の間で起きたいろいろな問題が円満に解決されるのかということを第一に考え、職権主義の下に、具体的妥当性を図りながら処理する仕組みになっています。

この家庭に関する事件は一般に家事事件と呼ばれ、さらに審判事件及び調停事件の二つに分かれます。また、家庭裁判所では、履行勧告手続など、これらに付随する手続も扱います。

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