取り消し不可。早く年金を貰える「繰上げ支給」はこれだけ損する

まぐまぐニュース! / 2018年12月11日 21時0分

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以前掲載の「知らなきゃ損する、夫の年金受給額を下げた『妻の240ヶ月の壁』」で、条件によっては配偶者の年金が止まってしまう例があることを紹介した、無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』。今回、著者のhirokiさんが「決断は慎重にすべき」とするのは、年金の繰上げ受給についてです。そのデメリットとは?

年金受給資格があれば60歳以降いつでも年金を請求できるが、配偶者の年金に及ぼすデメリット

「知らなきゃ損する、夫の年金受給額を下げた『妻の240ヶ月の壁』」では、自分の年金支給開始年齢になり20年以上の期間のある厚生年金を貰うと、配偶者の年金が止まってしまう事をお話をしました。

途中、最近の記事で65歳からの年金を貰うのを遅らせる事で毎月0.7%ずつ年金を増やして最大70歳まで待ったら42%増える事を書きましたが、様々な制度上の壁が存在するため実際の利用者は2%にも満たりません。そういう理由は先月の有料メルマガで明かしました。

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ですが今回みたいに、まだ年金貰える歳ではないけども60歳に到達したからさっさと貰ってしまいたいという人はよく見かけます。非常に多い。本来の年金の支給開始年齢よりも早く年金を貰う年金の繰上げをする事でそれが可能です。老齢の年金受給資格の「年金保険料納付済み期間+免除期間+カラ期間≧10年を満たしていて60歳に到達したなら可能

今から年金貰う人は支給開始年齢的に60歳から貰えるという人はほぼ居なくなりますが、早めに貰う繰上げ請求をすれば60歳以降いつからでも支給開始される。年金の繰下げは受給者の2%の利用者にも満たりませんが、この年金支給開始年齢より早く貰ってしまうという年金の繰上げの利用者は30%ほどもいます。

ただ、本来の年金支給開始年齢よりも早く年金を貰うので様々なペナルティがあるので請求の際は年金事務所でも注意説明は必須であり、その中でもやはり年金額が下げられてしまいそれが一生続くというものがなかなか厳しいというか。一回請求してしまうと取り消せないからですね。その年金の繰上げは1ヶ月早く貰うごとに0.5%ずつ引き下げられていきます。

にもかかわらず早く貰いたいという人は多いんですね。本来の年金額より下がってしまってでも早めに貰いたいと。かといって迂闊にそれをやっちゃうと今回のようなデメリットもあります。というわけで今回はそれを見ていきましょう。

1.昭和28年7月12日生まれの男性(今は65歳)

● 何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)

老齢厚生年金額は120万円。老齢基礎年金は70万円。なお、65歳未満の配偶者が居るので配偶者加給年金389,800円が老齢厚生年金に加算されている。あと18歳年度末未満の子17歳、15歳、5歳(養子)の3人の子が居たため、子の加給年金224,300円×2人+3人目以降は74,800円も加算されていた。

あんまり老齢の年金に子の加給年金が付いてる人はほぼ見た事ないですが、今回付けてみました^^;。いやもう凄く稀ですね。個人的な経験ですが数千人に一人いるかどうかだと思う。

年金総額は2,813,2002円。会社は60歳の平成25年7月に定年退職した。厚生年金期間は平成25年6月まで。

次に妻の年金記録。

2.昭和41年4月6日生まれの女性(今は52歳)

18歳年度末を迎える月の翌月である昭和60年4月から平成19年8月までの269ヶ月厚生年金に加入した。なお、昭和60年4月から平成15年3月までの216ヶ月の平均給与(平均標準報酬月額)は31万円とし、平成15年4月から平成19年8月までの53ヶ月間の給与と賞与の合計額の平均である平均標準報酬額は42万円とします。


※注意

この女性が20歳になるのは昭和61年4月から。ここから国民年金にも強制加入となる。


平成19年9月から現在の夫の扶養に入って平成25年6月までの70ヶ月間は国民年金第三号被保険者(国民年金保険料を納める必要は無いけど支払ったものとなる)。平成25年7月から60歳前月である平成38(新年号8)年3月までの153ヶ月は国民年金強制加入期間は4分の1免除だったとします(老齢基礎年金の8分の7に反映)。

さて、この女性の生年月日から見ると年金支給開始年齢は厚生年金も国民年金基礎年金も完全に65歳からとなります。国民年金は昭和36年4月に始まった当初から元々65歳支給ですが^^;

● 厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

しかしこの女性は60歳になる新年号8年4月にもう早速年金を貰う事を考えていた。少しでも収入の足しにしたい!その前にとりあえず、65歳時点のそもそもの本来の年金額。

  • 老齢厚生年金(報酬比例部分)→31万円÷1,000×7.125×216ヶ月+42万円÷1,000×5.481×53ヶ月=477,090円+122,007円=599,097円
  • 老齢厚生年金(差額加算)→1,625円(平成30年度定額単価)×269ヶ月-779,300円÷480ヶ月×(20歳から60歳までの厚生年金期間257ヶ月)=437,125円-417,250=19,875円
  • 老齢基礎年金→779,300円÷480ヶ月×(20歳から60歳までの厚生年金期間257ヶ月+国民年金第三号被保険者期間70ヶ月+4分の1免除期間153ヶ月÷8×7)=779,300円÷480ヶ月×460.875ヶ月(小数点3位まで)=748,250円

年金総額

  • 老齢厚生年金(報酬比例部分599,097円+差額加算19,875円)+老齢基礎年金748,250円=1,367,222円月額113,935円

ちょっとここで考えてもらいたいんですが、この女性は240ヶ月以上の厚生年金期間がありますよね。という事はこの年金を貰い始めると配偶者加給年金が停止という事態にはなりますが、この女性自体はそもそも生年月日から見ると本来の年金支給が65歳からの年金支給だから、普通にこの女性が65歳になるまでは配偶者加給年金389,800円は加算され続ける。

ところが、この年金を60歳到達したら年金額が下がってでも貰おうと考えた(年金の繰上げ)。本来の年金支給開始年齢65歳よりも5年(60ヶ月)早く貰うから、0.5%×60ヶ月=30%減となる。

  • 60歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→599,097円×(100-0.5×60ヶ月)%=419,368円
  • 60歳からの老齢厚生年金(差額加算)→19,875円×70%=13,913円(←5,962円の減額)

ただし、差額加算の減額分5,963円は報酬比例部分419,368円から引くので差額加算19,875円は全額支給。なぜ差額加算自体は減額されないかというと、当分の間は差額加算の減額分は報酬比例部分から差し引いて、差額加算自体は全額支給するという規定があるから。

  • 60歳からの老齢基礎年金→748,250円×70%=523,775円

よって、60歳からの年金総額は老齢厚生年金(報酬比例部分419,368円-差額加算の減額分5,962円+差額加算19,875円)+老齢基礎年金523,775円=957,056円月額79,754円

月額としては4万円程も下がってしまいましたね^^;

でもそれだけではありません。240ヶ月以上ある厚生年金を本来の年金支給開始年齢より早く貰ったことにより、夫の配偶者加給年金が停止になってしまう。なお、上の2人の子供は既にこの頃は18歳年度末を過ぎている為に子の加給年金は消滅している。3人目の子はまだ平成38(新年号8)年なら13歳くらいだから、この3人目の養子の子供の加給年金はまだある。

よって、妻が60歳の翌月(新年号8年の翌月である5月分)から、夫の年金額は老齢厚生年金120万円+子の加給年金1人分224,300円(←74,800円ではない)+老齢基礎年金70万円=2,124,300円となる。

配偶者加給年金389,800円は妻が240ヶ月を超える厚生年金期間がある年金を年金の繰上げで貰う事になったから全額停止。なので、老齢の年金は60歳に到達した時に老齢の年金を貰う受給資格10年以上を満たしていれば、誰でも本来の年金支給開始年齢よりも早めに貰う事はできますが、結構年金額が下がっちゃうし今回のように配偶者の加給年金が止まってしまう事もあるので慎重にお願いします。

しかしそういうデメリットがあるにもかかわらず、年金の繰上げの利用者はかなり多いんですよね…。

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