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昭和ウルトラ世代が愕然とする「マルチバース」とは?時空移動できるチート級マンも

マグミクス / 2022年7月16日 8時40分

昭和ウルトラ世代が愕然とする「マルチバース」とは?時空移動できるチート級マンも

■昭和ウルトラマンはあくまでもM78星雲の世界観を継承

「マルチバース」という言葉が最近よく聞かれるようになりました。実はウルトラマンシリーズでも用いられている概念で、大ヒット『シン・ウルトラマン』のなかでも言及されています。あらゆるウルトラマンの作品世界をつなぎ、「次元の壁」を超えて共演することで、壮大な物語を紡ぐことが可能となりました。今回、実は意外と歴史がある「マルチバース」の歴史を紹介します。

●作品を超えて初めてウルトラマンが共演したのは?

「マルチバース」とは違うものの、実は昭和の時代からウルトラマンたちは作品の枠を越えて共演していました。「M78星雲・光の国」を中心とした世界観を共有し、TVや映画だけでなく、雑誌やマンガなどのメディアを通じて、壮大なウルトラマン世界を紡いできたのです。

 とはいえ、最初から体系的な世界設定がなされていたのではありません。『ウルトラマン』(1966)と『ウルトラセブン』(1967)は、同じ「M78星雲人」という共通の設定はあったものの、当初はそれぞれ独立した世界観で、『セブン』のなかで初代『ウルトラマン』が言及されることはありませんでした。

 初めて作品を超えてウルトラマンが登場したのは『帰ってきたウルトラマン』(1971)であり、初代ウルトラマンとセブンが客演しました。以後、『ウルトラマンA』ではじめて「ウルトラ兄弟」の概念が提示され、以後『ウルトラマンタロウ』でM78星雲・光の国の設定が掘り下げられました。

 続く『ウルトラマンレオ』ではM78星雲出身ではなく、しし座L77星出身のレオとアストラが登場しましたが、モロボシ・ダン(セブン)が上司であったり、光の国を巻き込んだ大騒乱が起こったりするなど、あくまでもM78星雲の世界観を継承しています。その後も『ウルトラマン80』や海外作品『ウルトラマンUSA』『ウルトラマングレート』『ウルトラマンパワード』が「M78星雲」世界観に連なっていくことになります。

 こうして、昭和のウルトラマン世界は、多少の矛盾を抱えつつも、設定を「足し算」し続けていくことで、世界観を拡大・展開していったのです。

 ただし、アニメ『ザ☆ウルトラマン』は「U40ウルトラの星の出身」と、全く違う世界設定を持っており、こうした収まりきらない世界観を理論的に統合していくには、後のマルチバース設定を待たねばなりませんでした。

■マルチバース概念の先駆けとなったタイトルは?

世界が違うという設定にしたために『ガイア』と本来と共演できないはずの『ティガ』『ダイナ』。彼らを共闘させるために「多次元宇宙」(劇中では「多世界解釈」と呼称)を導入。のちのマルチバースの先駆けとなった。画像は『ティガ・ダイナ・ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』DVD(バンダイビジュアル)

「マルチバース」と聞くと、「ああ、アメコミでよくあるやつか」と思った方もいるかもしれません。でも、実はウルトラマンシリーズにおいて、多次元宇宙マルチバースの概念が導入されたのは今から20年以上も前のこと。先駆けとなったのは劇場版『ティガ・ダイナ・ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』(1999)です。

 1996年、M78星雲・光の国出身ではない、新たな世界観を持つ『ウルトラマンティガ』が放送され大ヒットを記録しました。続く『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンガイア』と3年連続で新シリーズが制作されました。この3作のウルトラマンが共演を果たしたのが劇場版『ティガ・ダイナ・ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』なのです。

 しかし、問題がありました。『ティガ』と『ダイナ』は同一の世界なのに対し、『ガイア』は別世界の地球が舞台で、そのままでは共演できません。そこで持ち込まれたのが量子物理学の「多次元宇宙論」マルチバースの概念だったのです。

 ガイアの変身者・高山我夢は、謎の「赤い球」の力で別次元の地球に召喚されますが、この際、量子物理学者でもある彼は『ガリバー旅行記』を例に出し、「多世界解釈」や「パラレルワールド」といった言葉を使い、この次元移動を「マルチバース」の考え方を用いて説明しました。

 さらに「マルチバース」というそのものズバリの言葉を劇中で明言したのが『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010)です。

 前作『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』で倒したものの復活したベリアルを撃破するため、ウルトラマンゼロはM78世界を飛び出し、時空の壁を越えて別の宇宙に向かうことになります。

 その際に泡のような球体(宇宙)がブドウの房のように連なるビジュアルとともに、その概念がナレーターの石坂浩二氏によって説明されました。
「宇宙の外には、超空間が広がり、そこには別の宇宙が泡粒のように無数に浮いているという。他世界宇宙マルチバースである」

 当初、ゼロが次元移動することは、光の国の全エネルギーを消費するほどの大事業でした。しかし、ウルトラマンノアから「ウルティメイトイージス」というアイテムを得ることで、ゼロは時空移動の能力を獲得し、あらゆるウルトラ世界をつなぐ稀有な存在となっていくのです。

●今のウルトラマンはマルチバースが前提?

 昭和のウルトラマンたちは、過去のキャラクターの客演によって世界観を足し算しながら「M78」世界を構築していきました。それに対し、『ウルトラマンギンガ』(2013)から始まる「ニュージェネレーション」では、作品ごとに独立した世界を設定し、深く物語世界を構築しつつも、マルチバース理論を活用して、次元の壁を超えて別の作品世界に客演したり、過去作のウルトラマンと共闘したりする演出が定番化していきます。

 また、主役のウルトラマン自体が、物語の舞台となる世界の出身ではなく、別次元からやってくることも多くなりました。たとえば『ウルトラマンタイガ』(2019)では、主人公ヒロユキがそれぞれ別人の、3人のウルトラマンに変身するのですが、「タイガ」がM78星雲光の国、「タイタス」が『ザ☆ウルトラマン』に登場した「U40」、「フーマ」が『ウルトラマンオーブ』で初登場した「O50」と、それぞれマルチバースの異なる世界からやってきたウルトラマンという設定です。過去作品の膨大な世界設定を活用しつつ、新たな物語世界を緻密に構築して新たな作品を描けるようになりました。

 この「マルチバース」を最大限に活かした作品が、現在TSUBURAYA IMAGINATIONで配信されている『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズです。昭和・平成・令和のウルトラマンが時空を越えて総登場し、壮大な宇宙活劇を繰り広げており、過去作品ではあまり目立たなかったり、出番が少なかったりしたウルトラマンにも活躍の場が与えられ、ファンを驚喜させています。

「マルチバース」によって、ウルトラマンワールドはさらなる発展を遂げることとなりました。今後もさまざまな「共演」や「共闘」が見られることでしょう。

(やましなミミッチ)

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