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どの刑事が好きだった? 『太陽にほえろ!』放送から50年 人気キャラの「殉職」が定番に

マグミクス / 2022年7月21日 6時10分

どの刑事が好きだった? 『太陽にほえろ!』放送から50年 人気キャラの「殉職」が定番に

■石原裕次郎の遺作となった刑事ドラマの傑作

 本日2022年7月21日は、刑事ドラマの名作と言われる『太陽にほえろ!』が、半世紀前の1972年にTV放送を開始した日です。日本の刑事ドラマの代表作であり、その後の作品群にも多大な影響を与えた本作について振り返ってみましょう。

『太陽にほえろ!』は、「ボス」こと藤堂俊介係長を中心に、お互いをニックネームで呼び合う刑事たちの群像劇です。このボスを演じるのは、大物俳優として名高かった石原裕次郎さん。舞台の中心となるのが、東京都新宿区矢追町所在の警視庁七曲警察署の捜査第一係でした。

 この裕次郎さんの起用が本作の要とも言えるものでしたが、出演が決まるまでには大きな物語があったそうです。裕次郎さんと言えば、映画が全盛期だった頃の日活黄金期のトップスターのひとり。しかし、TVの普及により映画は徐々に人びとの娯楽のなかでは斜陽化してしまいます。

 1963年に石原プロモーションを設立した裕次郎さんは、それまでいくつかの映画を製作してきましたが、この時代の波にはあらがえず次第に事務所の経営は悪化していきました。この事務所の経済的事情から東宝と日本テレビの説得に応じ、映画スターとして名をはせていた裕次郎さんはTV番組『太陽にほえろ!』にレギュラー出演したそうです。

 しかし、当初は「13話まで」という約束でした。13話になって予定の通り降板しようとした裕次郎さんを引き止めたのは、まき子夫人と「ゴリさん」こと石塚誠を演じていた竜雷太さんたちだったそうです。

 やがて番組が大ヒットして、TVの力をあらためて知った裕次郎さんは1976年からの『大都会シリーズ』、1979年からの『西部警察シリーズ』という二大TVシリーズを製作しました。もしも『太陽にほえろ!』が成功しなければ、日本のTVドラマ事情は大きく変わっていったことでしょう。

『太陽にほえろ!』は後述するように、若手俳優の活躍も人気の要因でしたが、裕次郎さんあっての作品だったことは間違いありません。それゆえ、番組の終了も大病を患った裕次郎さんの復帰が絶望的になったことが引き金になります。

 1986年11月14日放送の最終回(第718話)「そして又、ボスと共に」では、現実と同じく病気によって長期離脱をしていたボスが現れ、殉職の危機にあった『ブルース』こと澤村誠(演:又野誠治さん)を助けるため、犯人の妹を取り調べするという役どころを裕次郎さんは演じました。

 この時のセリフは裕次郎さんのアドリブだったそうです。5年前に心臓を切る手術をしたという現実とかぶる話をした直後、医師に言われて禁煙していたにもかかわらず煙草を口にするという茶目気を見せつつ、これまでに亡くなった刑事たちのなかで「スコッチ」こと滝隆一(演:沖雅也さん)の名前を挙げます。

 その真意のほどはわかりません。しかし、あえてスコッチの名前を挙げたのは、演じた沖さんがこの時、すでに故人だったからではないかと筆者は思います。役者としての演技力もさることながら、このことに裕次郎さんのやさしさを感じました。

 そして、この最終回が裕次郎さんの最後のドラマ出演、遺作となります。この魂を込めた裕次郎さんの迫真の演技で、15年近くにおよぶ『太陽にほえろ!』は大団円を迎えることになったのでした。

■最初は予定されていなかった殉職シーンの数々

『太陽にほえろ!』では、人気だった若手刑事ごとにエピソードをまとめたDVDも発売されている。画像は「太陽にほえろ! スコッチ&ボン編I DVD-BOX「スコッチ登場」(バップ)

『太陽にほえろ!』と言えば、多くの若手刑事のアクションシーンのイメージが強い作品です。この個性豊かな若手刑事たちが本作の魅力でしたが、実は番組開始時には想定していなかった展開でした。

 当初の構想では、新人刑事である「マカロニ」こと早見淳(演:萩原健一さん)を主人公とした成長物語だったそうです。ところが1年を迎えようとする頃、萩原さんから降板の申し出がありました。『太陽にほえろ!』で自分のキャラクターが固まってしまうことが嫌だったそうです。そこで番組はマカロニを殉職させて新たな新人刑事を登場させる方向に舵を切りました。

 そして、2代目の新人刑事となったのが「ジーパン」こと柴田純(演:松田優作さん)です。このジーパンの登場は視聴率にも大きく影響して、常時20%超えを記録するようになり、ついに30%を突破するほどの人気番組へとなりました。このジーパンの殉職シーンは本作の名シーンのひとつで、多くの人が真似をし、オマージュもされるなど、印象深いものです。

 3代目新人刑事「テキサス」こと三上順(演:勝野洋さん)は、前任のマカロニ、ジーパンのような型破りのキャラクターでなく、生真面目なタイプの新人刑事でしたが、その違いが逆に多くのファンを生みました。その人気から、新人刑事は1年で殉職というパターンが改められたほどです。

 そのため、4代目新人刑事「ボン」こと田口良(演:宮内淳さん)の出番は例年より3か月ほど遅くなります。この翌年、テキサスが殉職する第216話「テキサスは死なず!」は、ニールセン調べでは番組最高視聴率の42.5%を記録しました。

 この後に加入したのが前述したスコッチです。これまでのような新人刑事というポジションでなく、チームワークを信条としていた番組に一石を投じる一匹狼的なスタンスのキャラクターとなります。演じる沖さんもすでに役者としては有名な方で、番組のカンフル剤として最初から「半年限りの出演」という契約でした。

 スコッチのキャラクターは沖さんの魅力もあり、視聴者からの人気も高かったのですが、当初の予定通り半年で降板します。しかし、はじめての殉職ではなく別の警察署に転勤という展開で、何度かのゲスト出演を経て七曲署に復帰することになりました。その復帰編である第400話「スコッチ・イン・沖縄」は、当時の強力な裏番組だった『3年B組金八先生』の最終回と同日に放送されます。スコッチ人気で起死回生を狙った戦略だったのでしょう。

 その後、「ロッキー」こと岩城創(演:木之元亮さん)、「スニーカー」こと五代潤(演:山下真司さん)といった新人刑事が加入しますが、まさかの初期メンバーのひとりである「殿下」こと島公之(演:小野寺昭さん)も第414話「島刑事よ、永遠に」で交通事故による退場劇を迎えます。

 これは小野寺さんからの希望でした。女性ファンからの人気が高く、恋人ができるたびに抗議の投書が寄せられるほどでしたが、結局は小野寺さんの意思を尊重することで退場劇は決まります。その最期の視聴率は久々に30%を超えるほどでした。ちなみに同時期に竜さんも降板を希望したそうですが、小野寺さんを先にしたので数年後まで伸ばされたそうです。

 こうして殉職シーンも本作の定期的な見どころとなりました。みなさんは誰の最期が印象的だったでしょうか?

(加々美利治)

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