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「Switchは性能が低い」はホント? ゲーム機に求められる本当の価値

マグミクス / 2022年7月25日 11時50分

「Switchは性能が低い」はホント? ゲーム機に求められる本当の価値

■「性能が低い」批判が的外れワケ

 2017年3月に発売開始し、今も多くのユーザーから支持されている「Nintendo Switch」(以下、Switch)。6年目に突入しながらも、『スプラトゥーン3』や『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』など、まだまだ魅力的なタイトルが控えており、その人気ぶりは改めて説明するまでもありません。

 もちろん、ゲーム機の特徴はそれぞれで違うため、方向性が合わなかったり、興味が湧かない場合もあるでしょう。その時は、相性の合わないゲーム機とは距離を取り、心惹かれるゲーム機で楽しめばいいだけです。

 しかし、自分が好まないゲーム機を声高に否定する声は、昔も今も変わらずに持ち上がります。加えて、インターネットの普及やスマートフォンの広がりなどにより、そうした声を目にする機会はぐっと増えました。

 特にSwitchについては、「性能が低い」と揶揄する意見も見かけます。ですが、この否定は実のところ正確さや公平性に欠けており、その発言のみではあまり意味を成していません。これはSwitchに限った話ではありませんが、性能を評価するには対象の価値を全体的に見定める必要があるためです。

 果たしてSwitchは、一部から批判されるように本当に「低性能」なのか。Switchが持つ性能や特徴について、わかりにくい専門用語を極力避け、カジュアルなユーザーの視点から注目してみましょう。

●ゲームを遊ぶ機器の選択肢が、大きく広がった現代

 ゲームが遊べる機器といえば、家庭用ゲーム機以外にも、パソコンやスマートフォンなどがあります。そしてどの機器でも、ゲームを遊ぶ上で重要になるポイントは、ゲームデータを処理し、それを映像として画面に表示する性能──本記事では、これらを一括して「処理性能」と呼びます。

 この「処理性能」ですが、パソコンの場合は千差万別。やや乱暴な物言いになりますが、高価なほどパーツの性能が良くなるので、お金をかければかけるほど「処理性能」が高いパソコンになります。ノートパソコンの場合も、ユーザー側のカスタマイズ性が低いだけで、基本的には価格と性能は正比例です。

 これはスマートフォンやゲーム機も同様で、バリエーションが複数ある場合でも、高いほどもしくは新しいほど、処理性能は上がります。ただし、スマートフォンやパソコンは、ゲーム以外にもさまざまな機能があるため、ゲーム機と単純に比較はできません。

「色んなことができるパソコンやスマホ」と「ゲームプレイに特化したゲーム機」では、方向性に大きな隔たりがあります。そのため、「スマホvsPS5」などで論じる人はあまりいません。ここに比較を持ち込んでも意味合いが薄い、と捉える方が多いのでしょう。

 一方、同じカテゴリーのなか──ゲーム機ならば、ゲーム機同士──での比較は頻繁に行われています。無論、比較自体は何ら問題ありませんし、それぞれの機器を正確に把握するのは素晴らしいことです。

 しかし、「性能」と「処理性能」は似て非なるもの。その点を疎かにし、「Switchは性能が低い」と断じる行為には、ひとりのゲームファンとして違和感を覚えます。

■価格を無視した「性能評価」は論ずるに値せず

Switchはコントローラも非常に特徴的。画像は、別売りの「Joy-Con (L) ネオンレッド/ (R) ネオンブルー」

 Switchの「処理性能」自体は、同世代のゲーム機と比較した場合、決して高いとは言えません。例えば、同じソフトがPS4にも出ていたとして、PS4版の方が画面が綺麗だったり、ロード時間が短いといった差が生まれやすいのも事実。ゲームの処理面について、快適に遊びたい場合は、PS4などを選ぶ方がいいでしょう。

 ですが、「処理性能」だけでハードの優劣を決めるのはナンセンスです。ましてや、データ処理の能力だけを見て「Switchは低性能」と揶揄するのは、公平性を大きく欠いています。

 ライバルとして名前が上がりやすいPS4やPS5と比べて話を進めますが、処理性能は確かにSwitchが1歩譲ります。ですが前述した通り、価格と性能は正比例の関係にあり、Switchの希望小売価格は29980円(税抜)。対するPS5は言うに及ばず、PS4も発売当初は39980円とSwitchの価格を上回っているのです。

 そもそも価格が違う以上、処理性能に差があるのは当然の話。「5万円のパソコンより10万円のパソコンの方が良い性能」と言っているのと変わらず、あまり意味のある発言ではないことが分かります。

●「処理性能」はあくまで「性能」の一部

 ただしPS4は、何度もマイナーチェンジを行い、それに合わせて価格も下がりました。最終的には、Switchと同価格帯の29980円に着地したので、「同じ価格だから、やっぱりSwitchの方が低性能」と考える方もいることでしょう。

 PS4の価格変更は、生産数が伸びたことでコストダウンが可能になったのも大きな理由です。当初から29980円で売り出したSwitchとは背景が異なりますが、それを理由に比較を突っぱねるのも大人気ありません。そこで、続いては「性能」について考えていきます。

「処理性能」は、あくまでゲームデータを扱うもの。重要ですが「性能」の一部に過ぎません。例えば、ゲームデータや撮影した画像・映像を保持するストレージも、「性能」の一部。この点についても、その容量はPS4などの方が断然勝っています。

 しかしSwitchには、PS5やPS4にはない大きな特徴があります。それは、モニター(出力する画面)が標準的に備わっており、携帯ゲーム機としても活用できる点です。処理性能やストレージでは劣っているものの、場所を選ばずに遊べるフットワークの良さは、ライバル機にはない優れた性能のひとつでしょう。こうした機能も「性能」に含まれるのに、魅力的な特徴を無視して「Switchは低性能」と煽る流れには、公平性が感じられません。

「ゲーム専用機を携帯して遊ぶ時代じゃないので、その機能には価値がない」という意見もあるかもしれません。しかし、本人にとって価値の有無を判断する要素として考える分には問題ありませんが、一般論として持ち出す場合は少々乱暴な意見と言わざるを得ないでしょう。

 その一例として分かりやすいのが、携帯モード専用のゲーム機として発売された「Nintendo Switch Lite」(以下、Switch Lite)の存在です。2022年3月末時点で、Switchファミリーの販売数は1億765万台を記録。そのうち1840万台が、Switch Liteの販売台数に当たります。携帯専用機が全体の2割弱を占めており、「そこに需要はない」とは決して言えません。むしろ、「携帯専用で十分」と考えていた層の掘り起こしに成功した、といった見方もできます。Switch Liteの低価格路線も普及の一因ですが、価格が安いだけで興味のないハードを買う人はいないでしょう。

 Switcの特徴として最も分かりやすい「携帯可能な利便性」という点について語りましたが、ライバル機とSwitchとの違いはこの他にも多数あります。そうした差異を考慮しないで「性能」を語るのは、実に非生産的です。

●総合的な「性能」を見極めるべし

 多くの荷物や人を乗せられるバンと、小型ゆえに小回りが利き価格もお手頃な軽自動車を直接比較し、優劣を決める人はまずいません。用途への適合や自分が欲する機能を求めて判断するのみです。

 高い処理能力を突き詰め、写実的な描写が可能で快適なプレイを提供するPS5やPS4と、価格も含めて手軽で取り回しがよく、TVに縛られずどこでも遊べるSwitch。それぞれ得意とする分野が異なり、しっかりと住み分けがされています。

 PS5について「携帯して遊べないから低性能だ」と言い出す人がいても、まず賛同は得られません。そして、処理性能だけを見て「Switchは低性能だ」と揶揄するのも、全く同じこと。価格を踏まえた上で性能を把握し、自分の欲求を満たしているかどうか、それを判断すればいいだけです。

 都合のいい部分だけ抜き出して貶めるような不公平な意見とは距離を置き、さまざまなゲーム機が提供する多彩なプレイ体験を、とことん楽しみましょう。

(臥待)

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