伝説の作品も? 大人の事情でとん挫したゲーム3選 発売されたら歴史が変わってた?
マグミクス / 2022年7月30日 17時10分
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■長期にわたる開発期間、権利関係とさまざまな理由でストップ?
私たちが普段何気なく遊んでいるゲームには、発売までに膨大な時間と資金がかかっています。それを乗り越えて発売にこぎつけられればいいのですが、作品によっては開発中に何らかの問題が発生し、開発がストップしてしまうことも少なくありません。発売を心待ちにしていた作品が開発中止と知ったときの悲しみは、計り知れないでしょう。今回は、そんな過去にさまざまな事情で開発中止となってしまったゲームを振り返ります。
●開発が難航して発売中止? NINTENDO64版『MOTHER3』
2006年4月に発売されたゲームボーイアドバンス用ソフト『MOTHER3』。人気シリーズ3作目となるこの作品は、もともとNINTENDO64用ソフト『MOTHER3 キマイラの森』として発表されていました。しかし、数年後にNINTENDO64の周辺機器である64DD用ソフト『MOTHER3 奇怪生物の森』、さらに数年後には再びNINTENDO64用ソフト『MOTHER3 豚王の最期』と二転三転しています。
さらには開発6年目を迎えた2000年段階でも完成の目処が立たず、開発の中止が発表されることとなりました。当時のことはゲームデザインとシナリオを担当している糸井重里さんの運営するサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で公開されており、糸井さんご自身も「ゲームが出なくなることを信じることができないでいたように思う」と語っています。
それでも続編を待望するファンからの声は多く、2003年にはなんと開発再開が発表され、ついに2006年にGBA版ソフト『MOTHER3』が発売されました。
糸井さんによれば、『MOTHER3』開発当初は「物語の時間経過により世界の状況や人々の会話内容が変わっていく」といった豊富なアイデアがあったといいます。しかし作業量が膨らんでしまい、開発が少しずつ滞っていった結果、一度は開発中止となってしまったのです。
「ほぼ日刊イトイ新聞」では当初開発されていたNINTENDO64版『MOTHER3』の画像が一部公開されており、リュカとクラウスと思われるキャラクターの姿やフィールドの様子が3Dポリゴンのグラフィックで描かれています。また、糸井さんはシナリオについても雑誌のインタビューにおいて「もっと陰鬱だった」と語っており、発売されたGBA版と大きく異なることがうかがえます。
それを踏まえると、やはりNINTENDO64版『MOTHER3』は、ある意味幻の作品といえるかもしれません。
●文字通り伝説の作品となってしまったホラーゲーム『P.T.』
『P.T.』は『メタルギアソリッド』シリーズの開発者として知られる小島秀夫さんと、小島プロダクションが制作したホラーゲームです。当時開発中だった『Silent Hills』のプレイアブル・ティザー(実際にゲームをプレイできる広告のようなもの)として配信されていました。
『P.T.』の本編は、郊外の幽霊が住まう家のなかで、廊下と部屋を何度もループするというシンプルなものです。しかし、ループをするうちにドアが急に閉まったり、背後から何者かが襲い掛かろうとしていることに気づいたり……と、少しずつ恐ろしい展開を迎えていきます。
徐々に明らかになっていく謎や、これまでにない手法で演出される恐怖に世界中のゲーム好きが熱狂していくなか、2015年に突如としてKONAMIから『P.T.』の開発中止が発表されました。その直後に『P.T.』はPlayStation Storeからダウンロード不可となり、多くの批判が殺到することとなります。
KONAMIは開発中止の理由を「様々なことを総合的に考慮したうえでの経営判断」としていますが、現在もはっきりとしたことは判明していません。謎に包まれた『P.T.』は、文字通りの伝説のゲームとなってしまったのです。
●権利関係が大きな理由?『ドンキーコングレーシング』
『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズでもお馴染みのキャラクター、ドンキーコングと仲間たちがレースを繰り広げる『ドンキーコングレーシング』も、開発中止となってしまった作品のひとつです。
2001年の「E3(世界最大のゲーム系イベント)」で発表され、ゲームキューブ用として発売を予定していた同作は、任天堂が開発を手がけていたレア社の株をマイクロソフトに売却し、キャラクターの権利が分割管理されたことや、さまざまな事情が重なって開発中止となりました。
ドンキーコングと仲間たちのレーシングゲームであれば、みんなで遊べるパーティーゲームとして人気を博していたであろうことが考えられます。もし本来の予定通り発売されていたら、私たちの遊ぶゲームが今とほんの少し違っていたかもしれませんね。
(田中泉)
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