「OPが変わる」アニメ3選 「気になって飛ばせない」「最終話の演出が泣ける」

■OPまで神！　絶妙な変化に宿る制作陣の魂

　各作品の「顔」ともいえる、オープニングテーマ。一昔前は同じオープニングテーマの繰り返しが通例でしたが、近年では前後半でオープニングが変わったり、1話ごとに全く違うオープニングが作られたりすることも。なかでも、本編の内容に合わせて少しずつ変わっていくオープニングは、その変化が気になってつい見てしまう方もいるのでは。この記事では、OPが変わるアニメを3作品ご紹介します。SNSでも「何度見てもすごいと思う」「微妙に変わるから飛ばしたくない」と評判です。

『ゆるキャン△ SEASON2』　(C)あfろ・芳文社／野外活動委員会

●『ゆるキャン△ SEASON2』（2021年1月～放送）

　冬になると、よく趣味のひとりキャンプ（ソロキャン）に行く、女子高生の志摩リン（しま・りん／CV：東山奈央）。ある日、ソロキャン中に出会った同級生の各務原なでしこ（かがみはら・なでしこ／CV：花守ゆみり）やその友人の大垣千明（おおがき・ちあき／CV：原紗友里）、犬山あおい（いぬやま・あおい／CV：豊崎愛生）とも、一緒にキャンプを楽しむように。

　そして迎えた年末、リンは初日の出を見に行こうと、年越しキャンプの計画を立てます。当日、伊豆の海やお茶カフェ、神社を堪能するリン。年越しそばも作って食べ、なでしこたちとメッセージを送りあい、各自がそれぞれの年越しを迎えて――？

『ゆるキャン△ SEASON2』は、同名マンガ（作：あfろ／芳文社）を原作としたマンガです。2022年7月には劇場アニメ『ゆるキャン△』も制作され、累計興行収入は3.5億円を突破。その人気から、キャンプブームを巻き起こしました。本作のOPでは、話数が進むにつれ、リンのスマホ画面に映る写真が変わっていきます。

　OP中、図書委員のリンは図書室でスマホを見ており、なでしこたちとの思い出の写真を眺めて微笑みます。その写真は毎話、1話前で撮った写真に差し変わっており、回を追うごとに彼女たちの思い出が増えていることがわかるのです。なおこの写真は「思い出のブロマイドセット」としてグッズ化もされている模様。

　また、第1期『ゆるキャン△』のOPでは、一瞬だけ映るリンのスマホ画面に、なでしことリンのやりとりが。「リンちゃん！一緒にキャンプいこう！！」と誘うなでしこに対し、序盤では「やだ」と返していたリンですが、8話以降は「考えとく」、最終話は「いいよ」と、その返事が変わります。彼女たちの仲の深まりを感じられ、ほっこりする変化です。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」などで見られます。

●『プラスティック・メモリーズ』（2015年4月～放送）

　舞台は、現代よりも少し科学技術が発達した世界。心を持った人型アンドロイド「ギフティア」が普及し、家族や従業員など、さまざまな用途で用いられていました。大学受験に失敗した18歳の水柿ツカサ（みずがき・つかさ／CV：内匠靖明）は、親のツテでギフティアの製造・管理を行う大企業・SAI社に入社。

　しかしツカサは、寿命を迎えるギフティアを回収する窓際部署「ターミナルサービス課」に配属されます。回収業務はふたり1組で行うのですが、ツカサはお茶くみ係をしているさえないギフティアの少女・アイラ（CV：雨宮天）とコンビを組むことになり――？

『プラスティック・メモリーズ』は、ゲーム『シュタインズ・ゲート』をはじめとする科学アドベンチャーシリーズの林直孝氏が原作を担当した、オリジナルアニメです。監督は『NEW GAME! 』『イエスタデイをうたって』を手がけた藤原佳幸氏。本作はのちにマンガ化・小説化され、アニメの展開を発展させた形のゲーム版も発売されました。そしてヒロイン・アイラの心情に合わせ、本作のOP最後のアイラの表情が変わっていきます。

　約9年4ヶ月という寿命を持つギフティアのアイラは、コンビであるツカサにもなかなか心を開こうとしません。そんな心情を表してか、OPが初めて流れる第2話の最後では、微笑みかけるツカサに対し、アイラはそっと目を伏せます。しかし第3話、第4話…とその表情は変化し、戸惑うような顔を見せたり、笑顔で見つめ返したりすることも。

　波乱万丈な本編に内容に合わせ、OP最後のアイラの表情も毎回変わっていきます。そして、最終話の表情は、本作を表すにふさわしいものといえそうです。最終話のOPは、ぜひ本編も視聴してからご覧ください。この作品は、「dアニメストア」「バンダイチャンネル」「Amazonプライム・ビデオ」などで見ることができます。

『ef - a tale of memories.』Blu-ray BOX (初回限定生産)（ジェネオン エンタテインメント）

●「ef」シリーズ（1期：2007年10月～放送）

　小説が好きな高校生・麻生蓮治（あそう・れんじ／CV：高城元気）は、ある日駅のホームで不思議な少女・新藤千尋（しんどう・ちひろ／CV：やなせなつみ）と出会います。一方、音羽の街の別の場所では、千尋の双子の姉・新藤景（しんどう・けい／CV：岡田純子）が、幼なじみの広野紘（CV：下野紘）をクリスマスパーティーに呼んでいました。

　しかし紘はひったくりを追いかけている宮村みやこ（CV：田口宏子）に自転車をとられ、パーティーには行けずじまい。そんな紘にみやこは「あたしんち、来ない？」と意味深に言ってきて……？　音羽のそれぞれの場所で、それぞれの物語が始まります。

「ef」シリーズは、ゲーム『ef – a fairy tale of the two.』を原作としたアニメで、1期の『ef – a tale of memories.』、2期の『ef – a tale of melodies.』から成り立っています。本作は「影の『CLANNAD』」と称されることもある感動系アニメですが、登場人物が辛い過去や性質を抱えていることが多く、2期後半は特に鬱展開が繰り広げられます。本シリーズのOPでは、各話の登場人物の状況に合わせ描写が変化し、オープニングテーマの歌詞が変わる回もあります。

　1期・2期共にOPが変わりますが、特に変化が激しいのは2期。1期は数パターンだった変化に対し、2期はほぼ毎話OPが変化しています。その変化にもひとつひとつ意味があり、主に2期の主人公である火村夕（ひむら・ゆう／CV：遠近孝一）の瞳や手の描写に、違いが見られます。

　例えば、夕がヒロイン・雨宮優子（あまみや・ゆうこ／CV：中島裕美子）と向き合うようになった8話から、OPの夕は瞬きをせず、瞳の中に優子を映したままになります。また、「鬱回」と名高い6話では、OPから一切の登場人物が消え、色もモノクロに。ほかにも制作会社「シャフト」らしい、シンボリックな表現が数多く出てきます。特に1期・2期共に、最終話のOPは涙なしには見られませんので、心してご覧ください。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」などで見られます。

＊　＊　＊

　本編では描ききれない内容も、さりげなく視聴者に伝えてくれる「変化OP」。その細やかさに驚くとともに、制作陣の作品への愛が伝わってきます。各話の違いが気になった方は、ぜひ一時停止しながら見比べてみてくださいね。

※配信状況は記事掲載時点のものです。

（新美友那）