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『ドラえもん』の有名恐怖回「バラバラボタン」は都市伝説? 類似のひみつ道具が元ネタ

マグミクス / 2022年8月12日 6時10分

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■『ドラえもん』ならやりかねない「身体をバラバラにする道具」

 誰もが知る国民的マンガ『ドラえもん』には、よ~く読むと藤子・F・不二雄先生らしいちょっとホラーなエピソードがあります。タイトルだけ紹介すると、「人間製造機」「どくさいスイッチ」「のろいのカメラ」「あくまのパスポート」などなどが有名です。そんななか、『ドラえもん』に「恐ろしすぎる」という理由で、てんとう虫コミックスに未収録のお蔵入り作品があるのはご存知でしょうか。そのタイトルは「バラバラボタン」。聞いたことがある人も多いでしょうが、調べてみると意外な事実がわかりました。

「バラバラボタン」の内容は……ある日ジャイアンにいじめられたのび太に、ドラえもんが四次元ポケットから「バラバラボタン」を出してあげます。これは腕や脚など自分の身体の部位を、相手の部位と取り換えることができる道具です。のび太は自分の腕とジャイアンの腕を取り換えて、ケンカに勝ちます。さらに味をしめたのび太は、ラジコンがうまいスネ夫の指、成績優秀の出木杉君の脳みそを取り替えました。ついには、かけっこに勝つため犬の足を取り替えたのですが、人間の胴体に犬の足という奇妙な姿になってしまい、周囲は奇異な目でのび太を見ます。するとドラえもんが一言「何でも自分に都合が良いというのも不都合だろう」、と戒めるのでした。……

 このエピソードは、2007年に『やりすぎコージー芸人都市伝説』(テレビ東京)で紹介され、一気に広まりました。放送後、ナイフを手に持ったのび太が「だれでもいいからバラバラにしたいぞ」というマンガの一コマまでネット上に出回るなど、かなり世間がざわめいたのですが……。

●真相は「分かいドライバー」

 しかし、マニアから「そんな話は知らない、実際はこのエピソードではないか?」という声が上がります。別の回のエピソード内容とコマが、バラバラボタン」という架空の回として広まっていたのです。実際のエピソードは、1977年6月発行の漫画雑誌「コロコロコミック」、「てれびくん」に掲載されたタイトル「分かいドライバー」です。これはてんとう虫コミックス未収録で、アニメ化もされていません。「だれでもいいからバラバラにしたいぞ」のコマは、同エピソードの「なんでもいいからバラバラにしたいぞ」というセリフのコマを少し変えたものです。

 内容はというと……のび太が壊れた時計を分解しようと試みた際に、ドラえもんが出したのが「分かいドライバー」という道具でした。時計をきれいに分解できたはいいものの、元に戻すのにのび太は四苦八苦します。そこへ、ママが「手を貸して」とのび太を呼ぶ声がします。「それどころじゃない」と返すのび太。そこでなんと、ドラえもんは分かいドライバーを使ってのび太の身体を分解し、「手」だけをママに届けます。それを見たママは、当然失神。さらに、のび太は分かいドライバーを持って外へ飛び出し(ここで「なんでもいいからバラバラにしたいぞ」のセリフコマ登場)、他人が作ったばかりのプラモデルを分解したり、ケンカ中の犬と猫の頭部を入れ替えたりと、ムチャクチャないたずらを仕掛けます。そんななか、のび太はジャイアンとばったり出くわし、もみ合っていると分かいドライバーが触れて両者の身体がバラバラになってしまう……。そんな、シュールでめちゃくちゃですが、『ドラえもん』らしいといえばらしい内容でした。おそらく身体がバラバラになる点が問題として、てんとう虫コミックスには未収録となったのでしょう。ただし、現在は『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん18』(小学館)で読むことができます。
 
 この「分かいドライバー」が「バラバラボタン」という作り話にすり替わってTV番組で紹介され、また、事実に気づいた人が面白がって実際の「分かいドライバー」のコマを加工しネットで広めたため、混乱が生じたというわけです。しかし、『ドラえもん』ならあってもおかしくない塩梅の内容だったため、「バラバラボタン」は「信じるか信じないかはあなた次第です」のセリフ通り、信じる人が続出してしまいました。

(石原久稔)

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