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「砂漠ではスーツがいい」『MASTERキートン』に学ぶサバイバル術3選

マグミクス / 2022年8月13日 15時10分

「砂漠ではスーツがいい」『MASTERキートン』に学ぶサバイバル術3選

■絶体絶命の状況でもキートンは活路を見出す

 浦沢直樹先生の『MASTERキートン』(脚本/勝鹿北星・長崎尚志・浦沢直樹)の主人公・平賀・キートン・太一は、一見さえない中年男といった風貌ですが、実はイギリス陸軍SAS(特殊空挺部隊)でサバイバル教官まで務めた元軍人という、スゴい経歴の持ち主です。

 サバイバル(生存術)とは作中で説明されているように「ろくに武器も持たずに敵地に潜入し、現地にあるものを利用して、戦闘、脱出をこなす特殊技術」。これは、災害をはじめ、いつ何が起こるかわからない時代を生きる私たちにもきっと役立つ知識に違いありません。今回は、そんな『MASTERキートン』のサバイバル術を振り返ります。

●「砂漠のカーリマン」で、極限で生き抜く知恵を知る

 数あるエピソードのなかでも人気の高い「砂漠のカーリマン」と、その前編にあたる「黒と白の熱砂」には、極限状態で生き残るテクニックが満載です。

 遺跡調査に関するトラブルに巻き込まれ、タクラマカン砂漠の真ん中に身ひとつで置き去りにされたキートンと、遺跡調査隊員たち。直射日光のもとなら2時間で体液が沸騰して死んでしまうとされるタクラマカン砂漠でのサバイバルですが、もちろん、そこまで特殊な状況でなくても、私たちがいつ出会うかもしれない危機にも応用できそうです。

 まずは、服装。キートンは砂漠に、いつものスタイルであるスーツ姿で来たため、調査隊からは当初、ズブの素人扱いをされました。しかしこのスーツ姿、実は灼熱の砂漠ではベストな選択で、背広に長袖、長ズボンは直射日光を避け、通気性もよいのだそうです。暑い場所にはTシャツ短パン…など軽装で出かけがちですが、素肌に暑い日差しを受けるのはNGなのです。

 砂漠では水の確保は最重要です。作なかでも「強烈な日差しと、焼けた大地が、人体から水分を絞りとってしま」い、わずか15%の脱水でも死に至るとされています。ではキートンはどうやって喉の渇きを癒やしたのでしょう。

 まずは、石ころ。口に入れてしゃぶると唾液が出てくるのだそうです。また、木の根を掘り起こしてかじり、わずかな水分を補給します。さらに、ジャコウネズミの血液を口にすることも。血液は、水、塩、タンパク質の完全栄養食なのだそうです。もちろん、軽々に野生動物の血を口にすることはできませんが、最後の最後には思い出してもいいかもしれません。

 さらにキートンは自らも水をつくり出します。砂漠に穴を掘り、防水ポケットの内側から破りとったビニールを袋状にして底に設置し、さらに穴をビニールで覆ってから皆にこう言うのです。「今から小便は、このビニールをどけて、穴のまわりにしてください」。これは一種の天然浄溜器ということで、見事に喉を潤すほどの水を手に入れることができたのです。

 過酷な砂漠を生き延びたキートンの姿は、まさしく「砂漠のカーリマン(英雄)」でした。

■雪山での作業で絶対NGなこととは?

乗客パニックが恐ろしい「仮面の奥」が収録された『MASTERキートン』完全版7巻(小学館)

●「雪山の審判」で極寒地での振る舞いを知る

 ロンドンの百貨店のオーダーを受け、キートンが雪山で、エグゼクティブ向けサバイバル教室のガイドを務めたエピソードです。キートン一行は吹雪のなかでテントを失い、雪渓を切り出して代わりにするのですが……極寒地での作業中に大事なことは、汗をかかないこと。焦ってハイペースになり汗をかくと、汗が凍って凍傷にかかってしまうのだそうです。

 そして、もしも急いで山を下る必要があったら、毛布がスキー代わりになる、というのもキートンのサバイバル術です。毛布を水でスキー板状に凍らせ、テントのポールをストック代わりにするのです。

●「仮面の奥」で航空機トラブルでの対処を知る

 キートンが乗っていた飛行機が、エンジントラブルで島に緊急着陸することになったときのこと。胴体着陸するとの機長からのアナウンスで機内はパニックになります。油くさいから爆発するんじゃないかと右往左往する乗客たちにキートンは、油くさいのは安全のために余計な燃料を捨てているからだと伝えて落ち着かせます。

 そして「備え付けの説明書にある安全姿勢とは違いますが、こちらの方が安全」だとことわって、座席の上にあぐらをかいて座るよう指示するのです。足をおろしていると着陸のショックで外れた座席に足を切断されるから、とのこと。さらに、内蔵破裂を防ぐために、ベルトに枕を挟むようにとも。細かく指示したキートンですが、本当に恐れていたのは、乗客たちのパニックだったようで……万が一の場合は、まずは、落ち着くことを心がけたいものです。

『MASTERキートン』のサバイバル術は、私たちが実際に使う場面はないかもしれません(ない方がいいのです)が、それぞれのエピソードを読むうちにきっと、キートンが教えてくれる最も大切なサバイバル術に気づくことでしょう。それは、「絶対に生き抜く」という強い意志です。ぜひキートンの、あきらめない気持ちに触れてみてください。

(古屋啓子)

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