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「あなたの完璧は…」『ゴールデンカムイ』刺青囚人たちの変態性・狂気が光る名言

マグミクス / 2022年8月27日 18時10分

「あなたの完璧は…」『ゴールデンカムイ』刺青囚人たちの変態性・狂気が光る名言

■共感できないのに感動!なぜ!?

 完結を迎えた後も、アニメ第四期スタート(2022年10月~)への期待もますます高まる『ゴールデンカムイ』。物語の主軸はアイヌの金塊争奪戦ですが、その鍵となるのは、金塊の隠し場所への暗号の刺青を彫られた囚人たちです。いわば陰の主役たる彼らは、揃いも揃って人並み外れた変態・悪人ばかりでした。本来なら共感などできないハズなのですが、彼らの「その道」への執着心があまりにも一途なため、「美学」を感じてしまうこともしばしばです。白石、土方、牛山ら、単行本表紙になったメインキャラの囚人たちもかっこいいですが、今回はそれ以外の各エピソードで強い輝きを見せた刺青囚人たちの名言を振り返ります。

●殺しに魅せられた殺されたい男・辺見和雄……「よし この人を殺そう だって僕が求めていたのがこの人ならば  僕なんかに殺されたりしないはずだ」

 まずは、ニシン場のヤン衆(季節労働者)として、小樽に潜伏していた辺見和雄(へんみ・かずお)です。一見、人のよさそうな普通の男に見えますが、その正体は日本各地を放浪しながら100人以上殺してきた殺人鬼。辺見には幼い頃、目の前で弟がイノシシに喰い殺されるのを見てしまったトラウマがあり、弟が必死に抗う姿、やがて絶望してその目から光が失われていくさまを思い出すと、誰でもいいから殺したくなるのだそうです。

 そんな辺見が、不死身の杉元に同じ人殺しのニオイを感じたとき、心に宿った言葉が「よし この人を殺そう だって僕が求めていたのがこの人ならば 僕なんかに殺されたりしないはずだ」でした。

「殺されないだろうから殺す」とは矛盾している気がしますが、実は辺見の究極の願いは、弟のように残酷に殺されること。イノシシに全力で抗ったからこそ死の瞬間に「命がきらめいた」弟のように、自分も圧倒的に強い存在に殺されて命をきらめかせたいと切望しているのです。望みどおり杉元と死闘を繰り広げ、まさに死を迎える瞬間……杉元以上に残酷な死を与えてくれる存在が登場したのは、辺見の人生への負のご褒美だったのかもしれません。

●変態中の変態・姉畑支遁……「世界は…こんなにも美しい」

 杉元一行が釧路で出会った姉畑支遁(あねはた・しとん)は、自然界のすべてを愛し、すべてと一体になりたいと願っている自称・動物学者です。その姉畑が釧路湿原の大自然を目にして感極まったように口にしたのが、「世界は…こんなにも美しい」というセリフ。私たちも旅先やドキュメンタリー番組などにふれ、同様に心震わせることがありますよね。

 しかし!私たちと決定的に違うのは、姉畑先生は自然を愛するがあまり、ウコチャヌプコロ(プとロは小文字)してしまうこと!エゾシカ、キタキツネ、ニワトリ、イトウ(魚)、クマゲラが餌をとった木の穴にさえも、下半身丸出しで挑んでしまうのです。

 しかも行為のあとは我に返り、「こんなことッ あってはいけないッ!!」と自分が穢した自然を存在ごと消そうとします。鹿はめった刺しにされ、木は切り倒そうとされ……。美しい自然とひとつになるには自然の掟に逆らう行為を行うしかないという苦悩を抱えながら、姉畑先生は最後の標的であるヒグマに挑み、見事、本懐を遂げました。と、美しくまとめてみましたが、要するにウコチャヌプコロしてしまったのです。彼の衝撃的な生きざまは、百戦錬磨の杉元や尾形すら驚嘆(ドン引き)させ、刺青囚人随一のインパクトを残しました。

■完璧を求める、山で死に自然に還る……そこに善も悪もない?

刺青囚人の新たなる名言にも超期待!『ゴールデンカムイ』アニメ4期ビジュアル (C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会

●ジジイなのに美魔女!?家永カノ……「あなたの完璧はいつだった?」

 札幌世界ホテルの女将として登場した家永カノ(いえなが・かの)は、本来はジジイのハズなのに、美しい女性にしか見えません。実は「同物同治」の考え方(身体の不調を治すには食材となる動物の同じ部位を食べるといい)からホテルの客を食し、若さと美しさを維持しているのです。同じく刺青囚人で柔道のプロ・牛山辰馬(うしやま・たつうま)は強い肉体を狙われ、アシリパ(リは小文字)は綺麗な目を狙われ、油断も隙もありません。

 そんな家永が牛山に、若い頃の力強く美しい自分にしがみつきたかったと吐露した後、言ったセリフが「あなたの完璧はいつだった?」。常に最高の自分でいたい、完璧を求めたい……手段はどうあれ一途なこの問いに、私たちならどう答えるでしょう? そもそもそんな問いを、自分に発したことはあるでしょうか? 気高ささえ感じられる名言でした。そして、その後のクライマックスにて、牛山はこのセリフに対しかっこよすぎるアンサーを残しています。

●悪夢の熊撃ち・二瓶鉄造……「安心しろ 人間なんぞにそこまで価値はない」

 刺青囚人にして猟師の二瓶鉄造(にへい・てつぞう)は、ひとりで200頭以上の熊を殺し、「冬眠中の熊もうなされる」と恐れられた凄腕の熊撃ちです。そんな二瓶は、金のためではなく「エゾオオカミが最後に見る猟師になりたい」という信念のもとに、アシリパの友であるエゾオオカミのレタラ(ラは小文字)を狙います。そして、レタラが反撃してウェンカムイ(悪神)になってほしくないというアシリパに、二瓶が言い放った言葉が「人間を殺せば悪い神になって地獄に落ちるというやつか…安心しろ 人間なんぞにそこまで価値はない」でした。

 人間を特別な存在などとこれっぽっちも思わず、すべてを自然の一部だと捕らえる二瓶。自分を狙った山賊を警察の目の前で殺した二瓶が脱獄したのは、山で死にたかったからであり「(獣との)勝負の果てに獣たちが俺の体を食い荒らし 糞となってバラ蒔かれ山の一部となる」のが理想の最後だと語っていました。これも、実にシビれるセリフです。インタビューによると、『ゴールデンカムイ』は当初「狩猟マンガ」として企画が持ち上がったとのことなので、野田サトル先生にはぜひ、二瓶主役でスピンオフを描いていただきたいところです。

 囚人たちの美学ただよう名言はまだまだあります。詐欺師の鈴川聖弘は「変装は基本だ この姿は本当のオレじゃない 本当の俺なんてないけどね」と、不敵に天才ペテン師ぶりをうかがわせました。また、「蝮のお銀」との夫婦タッグで暴れ、俊足から「稲妻強盗」と呼ばれた坂本慶一郎は、お銀に「走って走って走り続けよう 誰かが俺達の息の根を 止めるまで」と凶悪ながらロマンチックな言葉をかけ、樺太で杉元たちとスチェンカ(集団で殴り合う競技)で戦った岩息舞治は「小さい頃から私という男を知ってもらう唯一の方法として選んだのが暴力だった」と生きざまが表れた名言を放ちます。そして、幕末に「人斬り用一郎」と恐れられた殺し屋・土井新蔵(偽名)はボケ老人のように生きていたものの、刃の光に覚醒して「列にならべ この『人斬り用一郎』を殺したい奴なんぞたくさんいる」という歴戦を感じさせるセリフを残しました。

 刺青囚人たちの言葉は倫理観を超えた強い信念に裏打ちされており、思わず心の手帳に刻んでしまいそう……。10月から始まるアニメ第四期でも、刺青囚人たちの名言が楽しみです。

(古屋啓子)

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