W杯前に読みたい隠れた傑作サッカーマンガ5選 Jリーグ開幕前の懐かし名作も
マグミクス / 2022年9月8日 19時40分
■世代によっても代表作が分かれるサッカーマンガ、あなたの推しは?
2022年はワールドカップイヤー! そのためか放送中の『シュート! Goal to the Future』など4本ものサッカー関連アニメが展開されていますが、層の厚さならやはりマンガが圧倒的です。
8月21日(日)に放送されたスポーツバラエティ「ジャンクSPORTS」では、スポーツ名門大学の運動部1400人弱が選んだスポーツマンガランキングのトップ30が発表されました。そのなかで、6位となった『アオアシ』を筆頭に、サッカーマンガは『ブルーロック』『イナズマイレブン』『キャプテン翼』『DAYS』『BE BLUES!~青になれ~』『GIANT KILLING』『エリアの騎士』『ANGEL VOICE』『シュート!』と実に10作品がランクインしています。
しかしここで挙がらなかった作品でも、名作が多数存在するのがサッカーマンガ。その充実ぶりは、海外日本人選手の数やJ2クラブのスタグルに匹敵するレベルです。そこで今回は上記したランキングに入っていないものの、サッカーファンなら読んでおきたい名作サッカーマンガ5つを紹介します。
●グッとくる話連発のサッカー群像劇『1/11 じゅういちぶんのいち』(全9巻)
最近ではキーパーが主役の『蒼のアインツ』を連載した中村尚儁先生による『1/11 じゅういちぶんのいち』は、サッカー少年・安藤ソラを軸にしたオムニバスストーリーです。2014年には池岡亮介さんが主演の実写映画も公開されました。
先述した通りソラが主人公で、1話は中学卒業と同時にサッカーを辞めると決意した彼と、女子日本代表の少女が出会う話。しかし2話はソラが所属するサッカー部のマネージャー、3話はソラと同じ高校のイケメンがメインの話で、ソラを中心とした群像劇となっています。しかし終盤では……ネタバレを避けるため詳述はできませんが、1話単位でもそれぞれ感動的な上に、尻上がりに面白く感じること間違いなし。サッカー好きだけでなく、多くのマンガファンに触れてほしい1作です。
●攻撃サッカー好きなら必読、妙味あふれる『夕空のクライフイズム』(全10巻)
サッカーファンなら誰もが知る名選手にして、名監督である故ヨハン・クライフ。彼の哲学が大きくフィーチャーされるのが、自身もクライフに心酔する手原和憲先生による高校サッカーマンガ『夕空のクライフイズム』です。
主人公のドリブラー・今中が所属するサッカー部に新たに就任したのは、クライフの考えに大きく影響され「勝つ為につまらないサッカーをするぐらいなら美しいサッカーをして華々しく終わりましょう!」と語る雨宮監督でした。そんな新監督に率いられたサッカー部の運命は……というストーリーが、理想を追求する美しさとそのなかでの葛藤などが描かれて面白いです。それに加えてさらに、部活ものらしいコミカルな描写や、監督の娘にしてヒロインの雨ちゃんの妙にボリューミィな太もも、ややマニアックなサッカーネタなどクセになる要素も満載。戦術の話などもわかりやすく描かれているため、サッカーに疎い人でも楽しめるはずです。
■30年以上前の名作も……
『俺たちのフィールド』1巻表紙(小学館)
●女子サッカーマンガと言えばこれ!『マイぼーる!』(全16巻)
2011年のなでしこジャパンW杯優勝もあり、この10年近くで女子サッカーを巡る日本の環境は大きく変わりました。そんななか、女子サッカーマンガも人気となり、新川直司先生による『さよなら私のクラマー』がアニメ化されています。そして、同作と並んでマンガファンを興奮させたであろう作品が、いのうえ空先生による『マイぼーる!』です。
『マイぼーる!』の主人公は、幼なじみの天才サッカー少年に恋心を抱く女子高生・宮野舞。彼女自身はサッカーにそれほど強い興味を持っていないものの、恋のライバルが立ち上げた女子サッカー部に所属することになり、幼なじみの自主練習に付き合ってきた経験と、生来の強い妄想癖を活かして活躍していきます。
舞のチームメイトや対戦相手は可憐かつ個性的な少女ばかりでお色気描写もあるため、普段から美少女アニメなどに触れていない人は少し戸惑うかもしれません。しかしそれを乗り越えてでも読んでほしい理由が、高い画力によるド迫力の試合シーンです。美少女たちがそれぞれの個性を発揮しながら躍動するさまが見事に描かれており、今回紹介するなかでは(最後の作品を除いて)もっとも真っ当に「熱血サッカーマンガ」になってています。
●フィールドの外の熱が伝わる『サポルト! 木更津女子サポ応援記』(全3巻)
ツジトモ先生の『GIANT KILLING』や能田達規先生の諸作品のように、プレイヤー以外のサッカー周辺の人々にスポットをあてた作品も増えていますが、高田桂先生による『サポルト! 木更津女子サポ応援記』もその中のひとつです。同作では、千葉県木更津市で暮らす女子高生サポーターの姿が描かれます。
作者の高田先生自身が東京ヴェルディのサポーターのため「ありそう」な描写も多く、贔屓クラブを持つ方は特に共感を覚えるはずです。また地元が好きになれずサッカーにも興味がない主人公の女子高生がサポーターになっていくという内容のため、サッカー観戦に興味がある、という程度の人もゴール裏の雰囲気を感じられて興味深く読めるでしょう。
●そんな時代もあったねと……『俺たちのフィールド』(全34巻)
ここまでは近年の作品を紹介しましたが、最後はオールドファンには著名ながら読んだことがない若いサッカーファンも多そうな作品を紹介します。1991年末に連載が始まった、村枝賢一先生による『俺たちのフィールド』です。
サッカー選手だった父に憧れる少年・高杉和也が成長し、Jリーグや代表、そしてワールドカップといった舞台で戦っていく大河物語。いわばサッカー版『MAJOR』といった趣ですが、そのなかで仲間やライバルとの出会いや数々の激闘、選手を取り巻く人とのドラマなどが濃密に描かれ、全34巻と長編ながらダレることなく読めます。
まだJリーグが開幕する前で、日本代表にワールドカップ出場経験がない時期に連載が始まったため、今となってはやや古く感じる描写が多いのは確かです。「ワールドカップ出場にこんなに苦労するなんて……」、と思う若い人もいるかもしれません。しかし、のちに『仮面ライダーSPIRITS』を連載する村枝賢一先生らしいマンガとしての熱さ、面白さはもちろんのこと、そのサッカー的なマインドは今でも通じるはず。本作のクライマックス、ワールドカップの試合中に実況担当アナウンサーのモロ岡が語る言葉は、サッカーファンなら涙なしでは読めない名台詞です。
(はるのおと)
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