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「ガンダム」ブームの立役者は女性だった? 低視聴率だった初回放送を熱心に観ていたワケ

マグミクス / 2022年9月16日 6時10分

「ガンダム」ブームの立役者は女性だった? 低視聴率だった初回放送を熱心に観ていたワケ

■『ガンダム』ファンは女性から始まった!

「ガンプラ」という名前を知らない人は、まずいないでしょう。言わずと知れた『機動戦士ガンダム(以下ガンダム)』に登場するロボット「モビルスーツ(以下MS)」のプラモデルである「ガンプラ」は、日本のみならず、世界中で人気のアイテムです。

 最近では、プラモデル作りを愛好する女性も多くなりましたが、それでも「プラモデルと言えば男性の趣味、当然、ガンプラを愛好している主力も男性で、MSでの戦いが繰り広げられる『ガンダム』は男性主体の人気コンテンツだ」そうした認識を持つ人はいまだ多いでしょう。

 では、実際はどうだったのでしょう。1979年に放送が開始された『ガンダム』を熱心に応援した最初のファンは、むしろ女性でした。

 彼女たちは、劇場アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』などで、今注目されているマンガ作家でアニメーターでもあった「安彦良和」さんがデザインしたキャラクターが大好きだったのです。

 安彦さんは、ガンダムを制作したサンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス、当時・日本サンライズ)が『ガンダム』以前に下請け制作をしていた『勇者ライディーン』(東北新社)、『超電磁ロボ コン・バトラーV』(東映本社)などのキャラクターデザインや作画等で、既に女性ファンから注目されていたアニメーターでした。

「男児の世界に現れた女子好みのイケメンキャラ」

 当時の男児をターゲットにしたTVアニメーションのキャラクターには、たくましく男らしい絵柄が求められていましたが、そんななかで、安彦さんの描くキャラクターは、スマートでシャープ、甘い顔立ちの、ちょっと少女マンガ風のイケメンだったのです。

 このキャラクターに注目したのが、制作側が想定していた視聴者ではない、高校生や大学生のハイティーン女子でした。彼女たちは『ガンダム』で安彦さんがデザインした、主人公アムロや、敵方のシャア、ガルマなどの、いわば「美形キャラクター」にまず注目し、自ら同人誌などを作って、その作品世界やドラマなども紹介。まだ世の中にはほとんど知られていなかった『ガンダム』を愛情一杯に応援しました。

 また同じ頃、そんなアニメ人気に気が付いた出版社が次々と立ち上げたアニメ専門誌も『ガンダム』を取り上げ、アニメ好きの若者たちから大いに人気を得ることになっていったのです。

 一方、ガンプラが発売されたのは『ガンダム』の放送が終わって半年後です。さらにそれが一般に知られたのはその数か月後で、ガンプラを購入しようとした大勢のファンが、エスカレーターで将棋倒しになるという事件がニュースに取り上げられたからでした。

 こうした事実から、『ガンダム』人気の立役者は誰か? と訊ねられたら、まずは女性アニメファンであり、それを全国レベルに押し上げたのが男性ガンプラファン、ということになるのです。

【著者プロフィール】
風間洋(河原よしえ)
1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規所属にて『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。

(風間洋)

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