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大人になってから読む『稲中』 前野と井沢のゲスっぷりに共感できる?

マグミクス / 2022年9月11日 18時10分

大人になってから読む『稲中』 前野と井沢のゲスっぷりに共感できる?

■大人になって読んだら顧問の柴崎目線?

 平成ギャグマンガの金字塔『行け!稲中卓球部』(著:古谷実)。13巻で卓球部顧問の柴崎が「前野、井沢、田中はこのまま大人になっていいのだろうか?」と悩むシーンがあります。己の欲望おもむくままにゲス街道を進むであろう3人の将来を珍しく、先生目線で心配するのです(結論として柴崎は卓球部を寺に送り出します)。

 さて『稲中』の連載が終了して四半世紀以上が経過。当時の読者の多くはミドルエイジに差しかかろうとしています。すっかり彼らの保護者の年齢ですが、今読み返すと……柴崎ほどではないにせよ「大人目線」で稲中メンバーを眺めてしまうなんて人も少なくないでしょう。

 前野も井沢も田中もわかりやすい「不良」などではありません。底抜けにバカでゲスであり、ただ性欲を持て余す14歳。彼らの暴走を「指導」で押さえつけることは不可能です。3日間で令嬢に28回も夜バイをかけようとした前野、何かとホームレス男性を“飼育”したがる癖をもつ井沢、自分の屁をビニール袋に溜め込み、平気で下着を盗む田中。時代が変わったにせよ、今思えばとんでもない内容が平気で描かれていました。現在、こうした行為はギャグマンガであろうと描かれることは少なくなりつつあります。

 一方、彼らの「ゲスっぷり」の根底にある鬱屈した感情を理解してあげるのもまた「多様性」の時代にとって必要な姿勢かもしれません。なぜ彼らが「死ね死ね団」の活動に身を捧げているのか。なぜ田中はダンボール箱に詰められどこかへ送ってもらいたくなったのか……今読んでも心のどこかでシンパシーを感じてしまうのは無理からぬこと。程よい距離感で彼らを眺められるようになっていれば、それは「大人」になったといえるかもしれません。

『稲中』という作品は間違っても「推薦図書」にはなり得ませんが、今の子供たちに読んで欲しいという人も多いはず(筆者もそのうちのひとりです)。令和に生きる子供たちが果たしてどんな反応を示すのでしょうか。

 前野たちのような正々堂々たる「ゲス」になって欲しくはありませんが、ゲスにはゲスの生き様があるということは知ってほしい……『稲中』はそんな気持ちに今でも必ず寄り添ってくれます。

(片野)

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