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スマホゲームの登場人物で「三国武将」「戦国武将」多いのはなぜ? 日本のゲーム史も背景に

マグミクス / 2022年9月17日 18時10分

スマホゲームの登場人物で「三国武将」「戦国武将」多いのはなぜ? 日本のゲーム史も背景に

■武将の知名度向上に「意外な存在」が貢献?

 皆さんが普段楽しんでいるスマートフォンゲーム、あるいは広告などで見かけるゲームの登場人物に、「戦国武将」や、「三国武将」の名前がつけられているケースが多く見られます。女性キャラクターに武将の名前がついているゲームもありますね。

 なぜ、スマートフォンゲームの登場人物で「三国武将」「戦国武将」が多いのか? 今回はそんな素朴な疑問について考察したいと思います。

 まず言葉の説明から始めましょう。「三国武将」とは、今から1700年ほど前の中国の三国時代(魏・呉・蜀が争った時代)に活躍した武将を指します。劉備、関羽、張飛、諸葛亮……という名は歴史を知らない方でも聞いたことがあると思います。

「戦国武将」は、今から600年ほど前の日本の戦国時代に、全国で活躍した武将を指します。織田信長、伊達政宗、武田信玄など、おなじみの名前が連なっています。

 さてこれらの武将は、たとえゲームタイトルが「三国志」「戦国●●」ではなかったとしても、さまざまなゲームに頻繁に登場します。その理由はなぜでしょうか?

 まずは「知名度」です。これらの武将たちに並ぶ有名人はあまりいないと思います。神話の神々ぐらいではないでしょうか。「三国志」の物語は、時代が終わったあとも1000年以上語り継がれ、500年ほど前にはそれらの集大成的な歴史小説「三国志演義」が登場します。これが世界的に三国志の知名度を高めました。その後、吉川英治の小説、横山光輝のマンガ、NHKの人形劇など、日本ではさまざまな作品を通じて浸透していきます。

 戦国武将に至っては、もちろん日本史なのである程度は学校の授業で習いますし、NHKの大河ドラマを筆頭に、さまざまなメディアで扱われています。そして歴史に名を残す人物は、善人であれ悪人であれ強烈なインパクトがあるので、時代を超えて人気があります。

 ただ筆者が知人などに話を聞いたところ、武将たちの知名度を上げた理由として、複数の人が光栄(現:コーエーテクモゲームス)から発売された「三国志」「信長の野望」両シリーズの存在を挙げました。

「三国志」「信長の野望」は1980年代半ばに発売され、今なおシリーズが続いているシミュレーションゲームです。確かにスマホゲームのターゲットである、今の50代及び下の世代は全員ゲーム世代と言えるので、小説やマンガ、テレビに加え、これらのゲームが40年近く続いたことで、武将の知名度向上にひと役買ったと考えることはできそうです。

 というわけで、知名度が高く人気があるから武将たちがゲームに登場する、という理由は成立しそうです。ではもう少し掘り下げて、今度はゲーム制作側の事情に焦点を当ててみます。

■必要なのは「数」と……「開発費」!

 一般的なスマートフォンゲームでは、多数の登場キャラクターが必要です。どのぐらいかというと、ゲームのサービスが開始された時点で50人はゲーム内ガチャに入っていて、毎月数人程度追加されます。仮に4人だとしたら1年で48人。ゲームは最低でもそのくらいサービスが続くことを前提に作るので、企画段階で約100人を用意できる見込みがなければいけません(例外はあります。また同一人物の色替えや衣装替えをカウントする場合もあります)。武将は大勢いるのでこの条件を満たしやすい上に、誰かの著作物ではないため無料で自由に使えます。知名度が高く、人気もあって、膨大な数を自由に使えるとなれば、題材としては最適です。

 もちろん、この条件を満たす題材は他にもあります。先に挙げた神話の神々や世界中の英雄などがそうです。また現代では「人間ではないものを擬人化する」文化が定着したので、戦艦でも、武器でも、相応の数が揃っていれば題材として成立します。その意味では、武将の登場頻度は以前より下がっているのかもしれませんが、特殊なジャンルは思いつくのに時間がかかる上に成功確率も読めません。その点で、武将の優位性は依然保たれていると考えられます。

 また武将たちは実在の人物で、特に戦国武将はいわゆる聖地的なものを作りやすいと言えます。これは広報宣伝の観点では重要です。実際にそうした仕掛けをするかどうかではなく、企画段階でそういう案を広げやすいことが重要なのです。

 今のスマートフォンゲームの開発費は「億単位」でかかり、ビッグタイトルでは2ケタ億も珍しくありません。それを回収するために、例えば「ガチャ」を回してもらう必要がありますが、これは多くの人から少しずつ課金してもらう想定です。つまりプレイヤーが大勢いないと成立しないビジネスモデルです。そのためにTVでCMを流したり、Web広告を出したりして存在を知ってもらおうとするわけで、企画段階でその手段をたくさん思いつく方が有利です。こうした点でも武将は使いやすい部類に入ると言えるでしょう。

 ただし、個人の好みが多様化した現代で、単に武将をそのまま出すだけで上手くいくとは限りません。そのため、例えば織田信長を女の子にしてみたり、不良高校生にしてみたりと、意外性を持たせることによって克服しようとするのだろうと考えられるのです。

(タシロハヤト)

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