『グレンダイザー』新プロジェクトはアニメ作品? 『マジンガーZ』との関係から
マグミクス / 2022年9月13日 7時10分
■海外で「視聴率100%」も達成した圧倒的人気作
先日、漫画家・永井豪先生のプロダクション「ダイナミック企画」が、新たな企画となる「プロジェクトG」を発表しました。それは『UFOロボ グレンダイザー』の新企画を始動するというものです。
『グレンダイザー』は、永井先生が原作を手掛け、1975年10月5日から放送開始したTVアニメ作品です。『マジンガーZ』(1972年)、『グレートマジンガー』(1974年)に続くマジンガーシリーズの第3作です。
半年から1年で終了することの多いロボットアニメのなかで、人気の高かった本作は全74話、1年半にわたって放映されていました。ターゲットとなる男児の人気もさることながら、荒木伸吾さんのデザインした美形キャラたちが話題になり、ドラマ面も重視した作風とあわせて、本来のターゲットではなかった女性ファンからも多大な支持を得ています。
この『グレンダイザー』という作品は、日本以上に海外で有名でした。『ゴルドラック』と名前を変えたフランスでは「平均75%、最高100%」という高視聴率を記録。近年、「世界のテレビを変えた50作品」のひとつとして選ばれました。ほかにもイタリアなど、ヨーロッパでは日本を代表するアニメという認識を得ています。
中東でも、イラクをはじめシリア、ヨルダン、エジプト、クウェートでの高評価が有名でした。「放送時間になると路地から子供の姿が消える」、「多民族国家であるイラクで共通の話題はサッカーとグレンダイザーだけ」という、日本以上の評判が伝えられています。
今回、「プロジェクトG」の発表記念イベントが日本でなくサウジアラビアの首都リヤドで行われたのも、日本国内以上に熱狂的なファンが海外にいたからと考えられるでしょう。つまり『グレンダイザー』は日本発でありながら、その評価は海外に劣ると言えるかもしれません。
それではなぜ、このような逆転現象が起こったのでしょうか?
要因のひとつとして、アニメ大国と言われる日本では、『グレンダイザー』に優るとも劣らない作品が多数あることが挙げられます。実際、『グレンダイザー』放映中はロボットアニメブームと言われた時代であり、そのなかで本作の人気が他国のように圧倒的一番というわけではありませんでした。
また、その後の扱いも要因として考えられます。ロボットアニメの伝道師的存在であるゲーム『スーパーロボット大戦』において、実は『グレンダイザー』の登場回数はあまり多くありません。本来、『スパロボ』はガンダム、マジンガー、ゲッターロボが御三家なのですが、マジンガーシリーズがいる作品でも『グレンダイザー』が参戦しないこともあります。
この他にも、その後にマジンガーシリーズのアニメやマンガでのリブートが行われた際も、中心となるのがマジンガーZ、それにグレートマジンガーが加わるダブルマジンガーという展開が多く、グレンダイザーはカヤの外となることが多くありました。
これらのことから、いつの間にかグレンダイザーの存在はそれほど多く取り上げられなくなっています。もっとも永井先生自らリブートした『グレンダイザー ギガ』が2014年に発表されているので、まったくの皆無というわけではありません。
しかし、他の作品に比べると国内での『グレンダイザー』の評価、露出度は残念ながら海外に比べて大きくないと言えるでしょう。
■「プロジェクトG」の正体とは?
2023年解禁予定の「プロジェクトG」キービジュアル (C)Go Nagai/Dynamic Planning (C)Dynamic Planning・TOEI ANIMATION
しかし、『グレンダイザー』は日本が生み出した作品。今回の「プロジェクトG」でも大きな役割を担うと考えられます。なぜならば、今回のプロジェクト製作総指揮をとる永井先生は、「日本の最高のメンバーが結集し、すごいものを作る」とコメントしていました。つまり日本から発信する企画と考えていいでしょう。
そうなると気になるのは、どんな形で発表されるか? ということです。ここからは少ない情報から、筆者の考えをお伝えしていきましょう。
まず注目したのは今回の(C)の部分です。全世界に発信するためアルファベット表記になっていますが、ここに永井先生とダイナミック企画のほか、かつて『グレンダイザー』のアニメを制作したアニメ制作会社の東映アニメーションの名前が表記されていました。つまり、「プロジェクトG」とは『グレンダイザー』のアニメである可能性が高いということです。
それではいったいどんなアニメになるのでしょうか? 前作の続編なのか? リブートした新作なのか? 興味は尽きません。
ここで思い出すのが、日本で2018年に公開された『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』です。この作品はTVアニメ『マジンガーZ』の後日談となる作品で、『グレートマジンガー』から10年後を描いていました。筆者としては、この『INFINITY』版と同じような作品になるのではないか?と考えています。
実は『INFINITY』では『グレンダイザー』について触れていません。当時は不満に思うファンも少なくなかったのですが、この時点で『グレンダイザー』を別の作品で製作しようという考えがあったかも……と思えば納得です。
そして、このラインで製作が考えられたとすれば、「プロジェクトG」は『INFINITY』と同じようにTV版の後日談。ずばりフリード星からデューク・フリードが地球へ戻ってくる話かもしれません。筆者のような当時のファンからすると、リブート作より望まれた展開と思いますし、全世界で大ヒットした作品なら下手に手を加えるよりもいいかとも思います。
あわせて全世界に公募された「円盤獣コンテスト」にも注目する点がありました。それは「プロジェクトG」には円盤獣の出番があるということです。円盤獣はベガ星連合軍の操る兵器。……ということは、今回の敵もベガ星連合軍か、それに類する敵ということになります。
また、気になる部分はそこだけではありません。『INFINITY』と世界観を同じくするか?という点も気になります。先行映像を見ると『INFINITY』で主役だった兜甲児のカットが何回も出ていました。これは甲児の登場も決定しているということでしょうか?
そうするとストーリーは『INFINITY』の続きという可能性も否定できません。実は『INFINITY』は日本より3か月ほど早くイタリアとフランスで公開されていました。今回の発表が全世界的にされたことを考えると、関連性がまったくないとは言い切れません。
そうならば、筆者をはじめとする当時の子供の夢であるマジンガーZ、グレートマジンガー、グレンダイザーの初の揃い踏みも期待できそうです。もしもその夢が叶うのならば、日本国内の盛り上がりはかつてないものになるかもしれません。
少し子供じみた発想ではありますが、まだ全容が発表されていない「プロジェクトG」。その発表まで想像と夢を膨らませたいと思います。
(加々美利治)
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