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「PS5」の先行きは? 値上げがもたらす最悪のシナリオ

マグミクス / 2022年9月14日 9時10分

「PS5」の先行きは? 値上げがもたらす最悪のシナリオ

■値上げを迎えるPS5、この先どうなる?

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が、家庭用ゲーム機「PlayStation 5」を2020年11月に発売しました。性能の向上による新たなゲーム体験の提供、優れた後方互換性、ハプティック技術を搭載したコントローラなど、多彩な特徴でゲームファンを魅了します。

 ですが、今のPS5に向けられるのは、期待や賞賛ばかりではありません。需要の大きさに対して供給が全く追いついておらず、発売直後からの入手難に不満の声が上がりました。しかも、発売開始から2年近く経過した今現在も改善に至っておらず、未だに入手できない方が多数。そのため、PS5の購入を諦めた人もいるほどです。

 それでも供給自体は常に行われているため、いずれ問題なく買える日が来るだろう……と考えていた矢先に、PS5の値上げが先月末に決定。2022年9月15日より、ディスクドライブ搭載版とデジタル・エディション版のいずれも、5500円の値上げ(価格改定)が行われます。

 これまでも厳しい向きのあったPS5が、この値上げによってどのような展開を迎えるのか。最新ゲーム機の今後の見通しに迫ります。

●購買意欲に悪影響?

 消費者は、家庭用ゲーム機の価格を注視しています。かつて「PlayStation 3」が出だしに伸び悩んだ原因は、価格の高さが一因と言われました。また、「ニンテンドー3DS」も普及に手こずり、25000円から15000円への値下げをきっかけにシェアが伸びていきました。

 価格の高さ、また値下げによる手頃感などに消費者が反応を示すのと同様、値上げにもやはり敏感なのは間違いありません。今回、PS5の値上げが発表されて以降、「買えないうえに値上げで、気持ちが挫ける」「様子見に切り替えた」といった声がSNSで飛び交っています。

 まだ実際に値上げを迎えたわけではありませんが、9月15日以降、まだ入手していない消費者の購入意欲に悪影響を及ぼす可能性は、決して低いものではないでしょう。

●値上げによる転売屋の便乗

 PS5の値上げで考えられるのは、消費者の心境変化だけではありません。現在、PS5を転売目的で購入する人が少なからずおり、フリマアプリなどでは定価から数万円も上乗せされたプレミア価格が横行しています。このプレミア価格が、今回の値上げを受けてさらに高騰するかもしれません。

 ディスクドライブ搭載版の希望小売価格は54978円(税込)でしたが、フリマアプリ上では70000円台~90000円台の価格帯で販売されています。ざっと15,000円~35000円以上の額を上乗せしている販売者が、今後の5,500円の値上げを受けて、その分の額やさらなる上乗せをしないとは考えにくいところ。すでにSIEの値上げを理由とし、提示額の釣り上げを予告する動きも見られるほどです。

 しかし、こうしたプレミア価格の値上げ動向に惑わされる必要はないと、個人的に考えています。消費者全体の動きは、前述の通りまず買い控えや様子見が増えることしょう。それまで「プレミア価格でもいいから欲しい」と考えていた人も、同様に一定の割合で買い控えが発生します。

 転売目的の販売者からすれば、顧客になる可能性があった消費者が減るため、これまでのようには売れなくなる可能性があります。その状況が続けば、自分だけでも在庫をさばこうと相場を下回る額で提示する動きに繋がり、いずれ低価格合戦に至る──といった展開を迎えてもおかしくありません。

 SIEが供給を続ける限り、いずれ需要を上回ります。少なくとも便乗値上げをするプレミア価格に踊らされる必要はまったくないため、正規小売店の動向をチェックしながら、転売と思われる取引からは距離を置くのがお勧めです。

■この先の見通しに明るい材料はある?

PS5で刷新されたコントローラの手応えも、まだ味わっていない方が多数

●伸びないシェアに、ソフトメーカーが警戒する可能性

 PS5の買い控えが発生した場合、困るのはSIEだけではありません。PS5向けのゲームソフトを開発・販売するソフトメーカーもまた、厳しい立場に置かれています。

 ゲームソフトが売れるのは、そのソフト自体に魅力があるから。それは大前提ですが、受け皿となるゲーム機がどれだけ売れているかがソフトの販売数に大きく影響します。例えば、ふたりにひとりが買うような素晴らしいゲームであっても、対応するゲーム機が1万台しか売れてなければ、売り上げは5千本にしかなりません。

 これまでのPS5市場も、ソフト展開が順調とは言えませんでした。購入意欲に繋がるような独占タイトルが少なく、ほかのプラットフォームでも遊べるケースがほとんど。PS4やPC、Nintendo Switchがあれば、プレイ体験に差こそあれ大半の作品を遊ぶことが可能です。

 他のプラットフォームに流れてしまう併売が続くのは、PS5がまだシェアを十分確保できていないため。PS5ユーザーだけの売り上げでは、一作品の開発費や利益を支えきれないのが現状です。この状況を脱する、もしくは併売にせよPS5の重要度を上げるには、そのシェアを大きく伸ばすほかありません。

 しかし直近では、まだ品薄が改善される見通しもありませんし、今回の値上げで買い控えが出れば、厳しい状況はさらに続きます。その場合、ソフトメーカーも併売を続けるしかありませんし、別のプラットフォームを主軸にする可能性もゼロではありません。

 ここまでの付き合いがあるので、急に手を引くことはないでしょう。しかし、今回の値上げでシェア拡大がさらに停滞する事態になれば、各ソフトメーカーがPS5に対する重要度を下げる可能性は十分あります。

 いつ、どこからが致命的な分岐路になるかは分かりませんが、PS5向けの新作がまったく出ないような状況になれば、PS5ユーザー全体にとっての不利益にしかなりません。そんな事態はなんとしても回避して欲しいばかりです。

●値上げするPS5に、明るい見通しはあるのか?

 値上げの実施理由は、世界的な物価の高騰や為替の影響によるものなので、これが短期間で改善するとは考えにくいでしょう。ですが、少なくともSIEが利益を求めて値上げに踏み切ったわけではないため、今後十分な利益が出れば、過去のゲーム機のような廉価版が登場し、実質的な値下げを迎えられる可能性があります。

 また、値上げ実施日の9月15日に、新たなマイナーチェンジとなる「CFI-1200」モデルが発売されるという話も持ち上がっています。一部の販売店の公式サイトでは、CFI-1200モデルの情報を記載しており、今も閲覧できることから信ぴょう性は高そうです。

 これはひとつの推測に過ぎませんが、SIEが発表していた生産体制の強化がCFI-1200モデルに向けられていた場合、このタイミングで供給量がいくらか改善するかもしれません。もしPS5が購入しやすくなれば、「正規の価格だから、5500円の値上げを飲み込んでも欲しい」と考える人は少なくないでしょう。

 値上げそのものは、消費者にとって喜ばしい話ではありません。ですが、今回の値上げは日本のみならず、欧州やイギリス、中国なども含め、広範囲に実施されます。しかもそのほとんどが発表と同時に適用されましたが、日本は値上げの実施まで2週間以上の猶予が与えられており、むしろ優遇されている形です。

 また日本での値上げ後の価格は、値上げされなかった米国と比べてもまだ安く、それぞれの希望小売価格を近づける意味合いも含まれていると思われます。これを放置すると、「日本で安く買い、海外に向けて転売する」といった動きを後押ししかねないので、苦渋の決断とも言えます。

 値上げに気を重くしているのは消費者だけでなく、SIEも同じかもしれません。無理やりポジティブに考える必要はありませんが、悪い印象に引きずられ過ぎず、まずは穏やかな気持ちで静観するのも一興でしょう。

(臥待)

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