「ポケモンは任天堂がつくっている」←誤解してない? ゲームの「パブリッシャー」と「デベロッパー」の違い
マグミクス / 2022年9月21日 6時10分
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■意外と知られてない? 「ゲーム開発」と「販売」の分業制
コンピュータゲーム市場は、日本はもちろん海外でも大きな成長を見せており、普段ゲームを遊ばない人でも有名なタイトルを耳にする機会が増えました。
ゲームというジャンルが市民権を得たのは喜ばしいことですが、はたから見ると内情が分かりにくい部分もあり、そこで誤解が生じます。なかでも顕著なのが、「パブリッシャー」と「デベロッパー」の認識でしょう。
分かりやすい例では、「PlayStationのゲームは、全部ソニーが開発している」と思っている方もいます。ゲームファンからすれば驚きですが、興味のないジャンルならそういった認識になってもおかしくありません。
またゲームファンであっても、コアなユーザーもいればカジュアルに楽しむ層もいます。その知識度に応じて、「パブリッシャー」と「デベロッパー」の違いを把握している・していないかが変わってきます。
そんな「パブリッシャー」と「デベロッパー」について解説し、その関係性や利点、成功例などを通してご紹介します。
●「パブリッシャー」と「デベロッパー」は、それぞれ発売と開発を担当
ゲームは、まず企画を立ち上げ、開発に臨んで完成させ、宣伝を行い、流通することで販売されます。ゲームに詳しくない方は、それを全てひとつの会社が手がけていると誤解しがちですが、その流れのなかに、パブリッシャーとデベロッパーがそれぞれ関わります。
パブリッシャーをひと言で説明すれば、発売元のこと。出版業界なら、出版社や版元、発行人などがその立場に当てはまります。前述の流れで言えば、「企画立ち上げ」「宣伝」「流通」などを担当。どんなゲームを作り、それをどのように売るのか。そうした部分を引き受けます。
対するデベロッパーは、「ゲーム開発」を担当します。企画段階から関わったり、企画自体を持ち込む場合もありますが、担当比重としては制作・開発がメインです。
ただしデベロッパーが開発するといっても、パブリッシャー側がプロデューサーを立て、その立場からデベロッパーの開発に関わることがほとんどです。また、宣伝関連でデベロッパーが協力する場合もあり、100%完全に仕事が分かれるわけではありませんが、基本的には「ゲームの開発と販売を分業している」と考えて問題ありません。
ちなみに、パブリッシャーがデベロッパーを兼ねる場合もあります。任天堂やソニー、セガにスクウェア・エニックスなど、多くの方が耳にしたことのあるメーカーの大半は、どちらも兼ねているのが現状です。そのため、冒頭で取り上げたような誤解を招くことがあります。
■あのゲームを作ってるのは、任天堂じゃなかった!?
『ポケモン』シリーズは、最初期からしばらくは任天堂が発売元だった
●任天堂のイメージが強いあのゲームも、開発は別の会社が担当
「発売元がそのゲームを開発している」という誤解で有名なのは、『ポケットモンスター』でしょう。少なくない人たちが「任天堂が作ってる」と認識していますが、冒険とバトル、収集と育成に主軸を置くメインのRPGシリーズは、昔も今も「ゲームフリーク」が開発しています。
ゲームやポケモンを詳しく知らない一般層ならば、ゲームフリークというデベロッパーの存在を知らなくても不思議ではありません。ちなみに、権利の点で任天堂も関わっているため、「任天堂のゲーム」という側面もあるにはありますが、独占的な権利ではないのでその点もご注意を。ちなみにしばらく前から、「株式会社ポケモン」が発売元を担っています。
任天堂が関わるところだと、例えば『ファイアーエムブレム』シリーズのデベロッパーは「インテリジェントシステムズ」です。また、今年7月に最新作が発売された『ゼノブレイド』シリーズは、モノリスソフトが開発を手がけています。
●デベロッパーだった会社が、自社開発ソフトの販売まで手掛ける例も
パブリッシャーがデベロッパーを兼ねる場合もありますが、デベロッパーがメインの会社が自社で開発したソフトを販売するケースもあります。
例えば「インティ・クリエイツ」は、『ロックマンゼロ』『ロックマンゼクス』シリーズをはじめ、数多くのタイトルの開発に徹してきました。ですが、2014年に発売した『蒼き雷霆 ガンヴォルト』で、初の本格的な自社パブリッシングを展開。そこから同社はパブリッシャーとしての道も歩き始め、『ガンヴォルト』シリーズは現在大きな飛躍を見せています。
『ナルティメット』シリーズをはじめとする人気の高い原作のゲーム化に定評があり、また『.hack』シリーズのようなオリジナル作品も生み出した「サイバーコネクトツー」。同社は、『戦場のフーガ』で自社パブリッシングの第1弾を飾りました。続編の『戦場のフーガ2』も鋭意開発中なので、今後の動向にも期待が集まっています。
●得意な分野で支え合う、パブリッシャーとデベロッパー
基本的な解説と一例について紹介しましたが、パブリッシャーとデベロッパーの関係は、それぞれの得意な持ち味を活かせるのが大きな特徴です。足りないところを補う合うのは、プロジェクトの成功を握る大きなカギ。それを支える仕組みのひとつと言えるでしょう。
最近では、個人~少人数開発によるインディーゲーム業界でも、この関係性が当てはまるケースが増えています。「えーでるわいす」が開発し、販売を「マーベラス」が担当した『天穂のサクナヒメ』(2020年発売)は、発売から1年も経たずに累計出荷本数が100万本を突破。小規模開発の現場とパブリッシャーのタッグが、大きなヒットを生んだ好例です。
普段、注目される機会が少ないデベロッパーのことを知れば、ゲーム業界の眺め方が少し変わるかもしれません。自分が気に入ってるゲームをどこが作っているのか、ちょっと調べてみてはいかがですか。
(臥待)
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