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誕生から50年の『ガッチャマン』 コンドルのジョーが「アニソンの大王」になったワケ

マグミクス / 2022年10月1日 6時10分

誕生から50年の『ガッチャマン』 コンドルのジョーが「アニソンの大王」になったワケ

■アニメ作品にもたらした影響とは?

 本日2022年10月1日は、半世紀前の1972年にTVアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』が放映開始された日です。タツノコプロの製作したアニメ作品として放送当時は人気を博し、以降の作品群にも多大な影響を与えた作品でした。

 本作が後に与えた影響で最も有名なものは、個性豊かな5人チームである点でしょうか。江戸時代から人気のある歌舞伎の演目『青砥稿花紅彩画』通称「白浪五人男」からもわかる通り、古来から5人組はグループとしても見栄えが良く、集団を中心とした作劇として使いやすいという利点があります。

 この5人組にハッキリとした個性を組み込んだのが本作でした。熱血漢のリーダー、クールな二枚目、美しく優しい紅一点、最年少のムードメーカー、気の優しい力持ち……といった5人組をデザイン時から計算して作っており、子供にもキャラがわかるようシルエットでわかるくらい区別した部分が、本作のヒットにもつながっています。

 ちなみにタイトルの「ガッチャマン」はG-1号・大鷲の健を指す言葉で、科学忍者隊全員を指す言葉ではありません。ゆえにグループヒーローものではありますが、本来は主役である健を中心としたヒーローアクションというのが意図としてあったのでしょう。

 しかし、実際の作品ではメンバーそれぞれにスポットが当たり、G-2号・コンドルのジョーに至っては最終回までのドラマにより、「陰の主役」と言われてファンから熱い支持を得ることになりました。

 このように本作はキャラの魅力にあふれた作品であり、それまでの子供向けアニメとは一線を画すハードな展開を時おり見せます。たとえば、地球征服をもくろむ敵勢力「ギャラクター」を撃退したものの、敵の作戦は成功させたり、勝利しても結果的に街が壊滅したりする苦い終わり方など、主人公側のハッピーエンドとは言えない物語が多々ありました。

 こういったシリアスな展開が後々も評価され、本来のターゲット層とは違うファン層を生んだ最初の作品のひとつと言われています。そのファン層は根強く、『宇宙戦艦ヤマト』の台頭でアニメブームが起こった際、劇場用映画が1978年に制作され、続いて続編となるTVアニメ『科学忍者隊ガッチャマンII』(1978年)が放送開始されました。

 もちろん、メインターゲットである男児たちの人気も高く、特に母艦である「ゴッドフェニックス」と、その構成パーツである「Gメカ」は好評だったと思います。当時はロボットアニメブーム前夜だった時期で、男児たちのあこがれのメカは『サンダーバード』をはじめとした万能型の空飛ぶマシンでしたから、当然かもしれません。

 本作は日本のアニメ史上、はじめてメカニックデザインがクレジットされた作品と言われています。ここにクレジットされたのが中村光毅さんと、本作がデビュー作になる大河原邦男さんでした。そういった点からも本作がヒーローアクションだけでなく、大型メカの戦闘も重視していたことがわかります。

 ちなみに本作の第59話で、これまでギャラクターのメカ鉄獣を作っていたオガワラー博士とナカモーラ助手という楽屋落ちのキャラが登場していました。当時、子供だった筆者は気づかず、後年になってツッコミを入れることになります。タツノコプロの十八番である、スタッフをアニメ作品に出すパターンのひとつでしょう。

■『ガッチャマン』が生んだ功績とその続編たち

個性がハッキリ描き分けられ人気を集めた5人のメインキャラクター。2022年9月18日と9月22日には、東京都内で放送開始50周年記念上映&スペシャルトークイベントが開催された (C)タツノコプロ

 本作がその後のアニメ作品に与えた影響は他にもありますが、その中でもささきいさおさんがアニソン歌手としてデビューするきっかけになった点は大きいものがあると思います。

 本名でもある佐々木功名義で、「和製プレスリー」と言われて歌手デビューしたささきさん。その後は役者としても活動し、その声を見込まれて声優として本作のオーディションを受けたそうです。そしてコンドルのジョー役となりました。一応、その前に洋画アニメのアフレコをしているのでデビュー作ではありません。

 このジョー役がきっかけで、同じくタツノコプロ製作で当初は本作の後番組に予定されていた『新造人間キャシャーン』(1973年)で主題歌を歌うことになりました。これがささきさんのアニソンデビュー曲となります。この時、ジョーが歌っているというイメージがあるからと、歌手の名義をひらがなにしました。以降、ふたつの名前を使い分けていたそうですが、現在はひらがなで統一しているそうです。

 ちなみにささきさんの妻にあたる声優の上田みゆきさんとは、続編の『II』で共演したことがきっかけで結婚したとのこと。本作がささきさんの運命を大きく変えた作品となりました。

 本作は全105話、2年にわたって放送されましたが、20%近い平均視聴率の人気番組だったことから、1年の予定だったのが延長されたそうです。ちなみに1年の予定ですと、健と父であるレッドインパルスの別れがそこにあたり、あの感動的な最期は本来の予定されていた最終回だったと考えられるでしょう。

 放送中からの人気番組だったことで、前述したように4年後に続編である『II』、続いて『科学忍者隊ガッチャマンF(ファイター)』(1979年)が制作されています。さらに、この他にも多くのリメイクとなる作品も製作されました。

 1994年にはタツノコプロ創立30周年記念作品の一環として『GATCHAMAN』のタイトルでOVA作品が作られています。キャラもメカもデザインを一新され、(当時の)現代風エピソードが3本製作されています。

 設定をリブートして製作されたのが、2013年に製作された『ガッチャマン クラウズ』と、第2期にあたる『ガッチャマン クラウズ インサイト』(2015年)でした。内容的には完全な別作品ですが、健の声優だった森功至さんがレギュラー出演しています。

 この時期に短編FLASHアニメとして情報番組『ZIP!』のコーナーで放送されていたのが、コメディ作品である『おはよう忍者隊ガッチャマン』(2011~2013年)でした。上記の2作は2013年に公開された劇場版実写映画『ガッチャマン』と同時に、「ガッチャマン復活」として企画されたものです。

 劇場版『ガッチャマン』では松坂桃李さんをはじめとして当時の有名役者が集合していますが、この作品が初めての実写版かと言うとそうではありません。2000年にNTT東日本のTVCMで、SMAPの5人が科学忍者隊に扮した姿を最初だと言う人もいるからです。

 他にも1994年に製作されたOVA『タイムボカン王道復古 / ヤッターマン タツノッコン王国で同窓会だコロン』では他のタツノコキャラと共演、TVアニメ『Infini-T Force』(2017年)では健が中心的レギュラーとして登場、その劇場版『劇場版Infini-T Force/ガッチャマン さらば友よ』ではジョーと南部博士が登場しました。

 このように、タツノコヒーローの代表として、さまざまな時代で活躍したガッチャマン。今でも熱烈なファンの多い名作です。またいつの日にか、新たな姿をしたガッチャマンが我々の前に現れるかもしれません。

(加々美利治)

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