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歴代ガンダムで最も「アンチ」多かった? 新世紀のスタンダード目指した『SEED』誕生から20年

マグミクス / 2022年10月5日 6時10分

歴代ガンダムで最も「アンチ」多かった? 新世紀のスタンダード目指した『SEED』誕生から20年

■新たな変化を生み出した新世紀のガンダム

 本日10月5日は2002年にTVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』が放送された日。放送から20周年となります。いまだに根強い人気を誇り、新作劇場版の企画も予定されているという『SEED』について振り返ってみましょう。

 本作はガンダムシリーズでは21世紀初となるTVアニメで、新世紀のスタンダードとなる作品として企画されました。そして内容は『機動戦士ガンダム』(1979年)、俗にいう『ファースト』をなぞって原点回帰した作品となります。

 当初『ガンダムS』という仮称で企画されていた本作は、複数のガンダムが登場することで「ガンダムズ」という意味がありました。この『S』という頭文字が残って『ガンダムSAGA』というタイトルも考えられましたが、最終的に『ガンダムSEED』という名称になります。『機動戦士』という名称はこれまで宇宙世紀を扱った作品にのみ使用されてきましたが、前述したように新しいガンダムのスタートであったことから採用されました。

 このように新世紀のスタンダードとして動き始めた本作には、これまでにない変化が起こっています。

 そのひとつは放送局の変更。これまでガンダムシリーズと言えば、名古屋テレビ、テレビ朝日系列でした。それが前シリーズにあたる『∀ガンダム』(1999年)がはじめて別のTV局であるフジテレビとなります。そして、本作からガンダムは毎日放送・TBS系列となりました。

 もっともガンプラを扱った『ビルドシリーズ』、SDガンダムシリーズは別の放送局にすみ分けているほか、『機動戦士ガンダムUC RE:0096』(2016年)、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』(2019年)といったOVAや劇場版の再編集作品も他局での放送になっています。

 もうひとつは出版社。創刊号からガンダムを主軸に置き、情報の発信源となっていたのが低年齢層向け雑誌「コミックボンボン」(講談社)でした。ガンプラ、SDガンダム、平成シリーズなど、長期間にわたってガンダムの情報雑誌として共に歩んでいます。

 しかし、前作『∀』では商業的に不振だったことからコミカライズを姉妹誌の「マガジンZ」に移しました。これは『機動戦士Zガンダム』(1985年)からコミカライズを続けてきた「ボンボン」でははじめてのことになります。その後、放送中盤から物語を大幅に省略して完結まで掲載しますが、続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(2004年)を最後にコミカライズの掲載を終了しました。

 これとは反対に新世紀でガンダムシリーズのコミカライズの中心となったのが「ガンダムエース」(角川書店)です。『SEED』放映と同時に外伝となる『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』を掲載しました。

 外伝と言っても『ASTRAY』シリーズは、『SEED』TV本編と密接にかかわりを持っています。死んだと思われていたキラ・ヤマトがどうやって生存してプラントに移ったかなど、TV本編では明かされていなかった謎が語られていました。

 さらに、この『ASTRAY』を執筆していたのが『ボンボン』で長年に渡ってガンダム作品のコミカライズを担当していた、ときた洸一先生です。そういった事情が重なり、21世紀以降のガンダムシリーズの中心雑誌は『ガンダムエース』に移っていきました。

 この他にも、セル画からデジタル制作に移行したガンダムシリーズは本作が初となります。

■『SEED』が生み出した一大ブーム

『機動戦士ガンダムSEED』の新プロジェクト『GUNDAM SEED PROJECT ignited』(C)創通・サンライズ

 このように新世紀のガンダムとしてさまざまな改変が行われた『SEED』。もちろん製作側の刷新だけでなく、物語も『ファースト』を単になぞったものにならず、スタンダードでありながら斬新で新世紀に相応しい作品となりました。

 印象的なオープニング曲とエンディング曲。人気声優を中心にしたキャスティング。時には過激と言われるほどの映像など、随所にこれまでと違ったガンダム作品を意識させる意欲作となります。

 こういった意欲的な作風は多くの熱狂的なファンを生みますが、同時に反発する「アンチ」と言われるような層も生むことになります。私見ではありますが、ガンダムシリーズでもっともファンとアンチの対立を散見するのが『SEED』でした。これも注目を集める作品ゆえの有名税の一種かもしれません。

 しかし、アンチが多いのも分母となるファン層が大きいことが理由でしょう。たとえば「『SEED』は女性ファンばかり」という言葉をよく聞きます。確かに女性で『SEED』好きな人はよく目にしますが、けっしてそればかりではありません。

 たとえば放送当時、『SEED』のガンプラは売り切れが出るほど人気商品でした。これは当時のガンプラがマニア向け方向に進化していったのを危惧したバンダイが、『SEED』ではSD世代と呼ばれる小学生向けにもシリーズ展開したことが功を奏したのです。この「1/144 SEED コレクションシリーズ」は関節などを犠牲にしたものの、300円と安価でパーツ数も少なく組み立てやすいキットとしてヒットしました。

 この入門用キットというべきガンプラが閉塞的だった間口を広げ、結果的に次のステップへ進むことでガンプラ人口を増やしたと言われています。当時のバンダイからは「『ファースト』の頃のガンプラブーム以来のブーム」と言われ、第二次ガンプラブームと呼ばれるほどの業績を記録しました。この点を振り返ると、『SEED』は女性層だけでなく、小学生にも人気があったことがわかります。

 また映像ソフトの売れ行きも記録的なヒットでした。その売れ行きが好調だっただけではありませんが、続編『SEED DESTINY』の放送前にTV版の総集編である『スペシャルエディション』が3部作として製作されます。この『スペシャルエディション』では新作カットも加えられるなど、続編への期待感を盛り上げる役目も果たしました。

『SEED』の場合はこれだけでなく、「HDリマスタープロジェクト」という現行の放送形態に添ったリメイクが成されています。この仕様では総集編を省くことで話数の変更をしたほか、続編『DESTINY』への伏線となるカットも追加され、パーフェクトストライクといった新仕様も登場しました。

 こうして放送終了後もさまざまなアプローチがされてきた『SEED』。2021年には海外では初めてとなる実物大立像として本作の主役機「フリーダムガンダム」が中国・上海に建造されました。そして公式発表されながら長い間沈黙していた新作劇場版が、新プロジェクト『GUNDAM SEED PROJECT ignited』として発表されています。

 新世紀のスタンダードとして製作された『SEED』は、まだまだこれから先もガンダムシリーズをけん引していく人気作品となっていくことでしょう。

(加々美利治)

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