1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. 面白ネタ

『翔んで埼玉』がフジテレビ系で放映 結果は悲喜こもごも、「まさかの実写化」映画たち

マグミクス / 2022年10月1日 13時10分

『翔んで埼玉』がフジテレビ系で放映 結果は悲喜こもごも、「まさかの実写化」映画たち

■未完のマンガが、興収37.6億円の大ヒットに

「まさかの実写化!」と謳われる劇場公開作品があります。人気マンガや人気アニメを実写映画化したものの、配給会社自身が一抹の不安を感じており、原作ファンと不安を共有しようという、一種の自虐的な宣伝文句だと言えるでしょう。

 二階堂ふみさん、GACKTさんが共演した映画『翔んで埼玉』(2019年)は、まさに「まさかの実写化」作品です。『パタリロ!』などで知られる漫画家・魔夜峰央氏が1982年~83年に発表したギャグマンガが原作ですが、未完のまま終わった幻の作品でした。埼玉県民を徹底的におちょくった原作は、2015年に『このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉』(宝島社)として復刊されたことで話題となり、まさかの実写化映画として東映が配給に踏み切ったのです。

 地方出身ということだけで差別・迫害されるという原作の内容を、さらに仰々しくスケールアップした実写映画版は、興収37.6億円というまさかの大ヒット。続編『翔んで埼玉II』(仮題)の公開を控え、2022年10月1日(土)の「土曜プレミアム」(フジテレビ系)にて、夜9時から放送枠を拡大して『翔んで埼玉』がオンエアされます。

■配役の妙で大ヒットした『テルマエ・ロマエ』

「まさかの実写化」で大成功した先例は、東宝が配給した『テルマエ・ロマエ』(2012年)でしょう。古代ローマ人が現代の日本にタイムスリップし、銭湯文化に感銘するという、ヤマザキマリさん原作の非常にシンプルかつナンセンスなSFコメディです。『翔んで埼玉』と同じく、武内英樹監督が実写化を手掛けています。

 阿部寛さん、北村一輝さん、市村正親さん、宍戸開さんら、顔の濃い日本人俳優たちを古代ローマ人として配役したところ、バカバカしさが話題となり、興収59.8億円という特大ヒットを記録しました。このヒットに気をよくした東宝は『テルマエ・ロマエII』(2014年)を公開し、これも興収44.2億円を記録しています。

 おそらく『翔んで埼玉』も、『テルマエ・ロマエ』の成功を見習って、続編の製作を決めたのだと思われます。はたして、柳の下に2匹目のドジョウは今回もいるのでしょうか。

■松山ケンイチが半裸姿で熱演した『珍遊記』

映画『珍遊記』DVD(東映)

 予想外のヒットもあれば、ダダ滑りする可能性も大いにあるのが「まさかの実写化」作品です。興行的に残念な結果に終わった作品に、独特な画風で知られる漫☆画太郎氏が「週刊少年ジャンプ」に1990年~92年に連載した『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』があります。松山ケンイチさん、倉科カナさん、笹野高史さんらを配役し、実写映画『珍遊記』(2016年)として東映系で配給されています。

 松山ケンイチさんは実写映画『デスノート』(2006年)や『デトロイト・メタル・シティ』(2008年)で大いに注目を集めましたが、全裸に近い姿で主人公・山田太郎を熱演した『珍遊記』は、ほとんど話題になることなく、静かに上映を終えています。

 興収的には奮わなかった『珍遊記』ですが、小学生レベルのギャグが終始飛び交う内容は清々しさすら感じさせます。NHK大河ドラマ『平清盛』などシリアスな役が多かった松山ケンイチさんも、真逆な役を演じることを大いに楽しんだようです。

■昭和愛にあふれたミュージカル版『愛と誠』

 妻夫木聡さん、武井咲さんらが共演した実写映画『愛と誠』(2012年)も、公開時には話題になりましたが、ヒットには至りませんでした。1973年~76年に「週刊少年マガジン」に連載された梶原一騎氏の原作マンガを、三池崇史監督がなんとミュージカルコメディ化した作品です。

 太賀誠役の妻夫木さんが「激しい愛」を、早乙女愛役の武井さんが「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌い踊り、さらには岩清水役の斎藤工さんは名セリフ「君のためなら死ねる」を決めてみせます。ガム子役の安藤サクラさん、番長・座王権太役の伊原剛志さんもいい味を出しています。

「日本一多忙な監督」と呼ばれる三池監督ですが、梶原一騎氏の実弟・真樹日佐夫氏の空手道場に通っていたことでも知られています。梶原氏は1987年に、真樹氏は映画の完成を控えていた2012年1月に亡くなっています。昭和という熱い時代を生きた梶原一騎&真樹日佐夫兄弟へのリスペクトが、三池版『愛と誠』からは感じることができます。

■二階堂ふみが挑んだR15指定作『ばるぼら』

 二階堂ふみさんが稲垣吾郎さんと共演した『ばるぼら』(2020年)も「まさかの実写化」映画だと言えるでしょう。「マンガの神様」手塚治虫氏の数多い作品のなかでも、カルト色が強い異色作です。稲垣さんはスランプ状態の人気小説家、二階堂さんはアルコール依存症のフーテン娘を演じています。

 手塚治虫氏の長男・手塚眞監督が妥協することなく、原作に忠実に実写化しており、かなり過激な官能シーン、猟奇シーンも描かれ、R15指定で劇場公開されました。Netflixなどで配信中なので、未見の方は一度ご覧になってみてください。『翔んで埼玉』ではコメディエンヌぶりを披露した二階堂さんですが、演じる役の振り幅の広さに驚くことになるでしょう。

■『妖怪人間ベム』にまつわる、ちょっといい話

 最後に「まさかの実写化」にまつわる、ちょっといい話を。1968年~69年に放映された怪奇アニメを実写ドラマ化した『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)は、亀梨和也さん、杏さん、鈴木福さんが妖怪人間を演じるという意外性もあって、高視聴率を記録。放送の翌年には『映画 妖怪人間ベム』(2012年)が劇場公開されています。

 妖怪人間ベラを演じた杏さんは、女優としてブレイクを果たしました。杏さんの母校である小学校の特別授業に呼ばれた際、杏さんは番組スタッフの許可をもらった上で、ベラの扮装で登壇したそうです。生徒たちは目を輝かせて、妖怪人間ベラの授業に熱心に耳を傾けていたとのこと。杏さんが自分の演じた役を大切にしていることを感じさせるエピソードです。

 映画の興収結果は水ものです。予想外のヒットを記録することもあれば、スタッフとキャストがどんなに情熱を注いでも数字が伴わないこともあります。それでもキャストの心のなかには、カメラの前で演じたキャラクターが撮影後もずっと生き続けているーー。そんなことも、少なからず俳優は経験するようです。

(長野辰次)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください