「Aボタンで決定」はもう古い? 時代と共に変わるコントローラの決定ボタン
マグミクス / 2022年10月15日 17時10分
![「Aボタンで決定」はもう古い? 時代と共に変わるコントローラの決定ボタン](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_114856_0-small.jpg)
■令和に揺らぐ「決定ボタン」の位置
日本に家庭用ゲーム機の一大ブームを巻き起こした「ファミリーコンピュータ」の時代、ゲーム内の項目を選んだり、何らかの決定を行ったりする場合、各タイトルによって違いがありました。ですが、徐々に「Aボタン」がその役割を担うようになり、その影響は後のゲーム機にも波及していきます。
ですが、今や「Aボタン=決定」とは必ずしも言えない状況に。こうした動きはかなり前からありましたが、国内にも「決定ボタン」が変革する波が確実に訪れており、ゲーム機ごとに操作方法が異なるという事態になっています。
果たして「決定ボタン」は、どのような変化を迎えたのか。また、決定ボタンの代表的な役割のひとつに「攻撃ボタン」を兼任する一面もありましたが、この攻撃ボタンも移り変わりつつあります。そんなボタンの役割について、振り返ってみましょう。
国産のゲーム機では、長期間にわたって「Aボタンで決定」が定番だった
なお、各ボタンの名称はゲーム機ごとに異なり、さらに任天堂とXbox系では、コントローラ右側に配列された「A・B・X・Y」の名称こそ同じですが、配置位置は違います。本記事では混乱を避けるため、任天堂系の「A(右)・B(下)・X(上)・Y(左)」、及びソニー系の「○(右)、×(下)、△(上)、□(左)」の表記で統一します。
●ファミコン、スーファミの「決定」と言えばAボタン!
家庭用ゲーム機の一大ブームを巻き起こした「ファミコン」では、当初まだ操作方法が固まっていませんでした。まだ新しい文化だったため、ゲームの内容はもちろん、ボタン入力の面でも試行錯誤が行われ、例えば「スタートボタン」が決定を担っていたこともあります。特にゲームのタイトル画面では、スタートを押さないとゲームが始まらないといった事態も珍しくありません。
そうした流れのなかで、『ドラゴンクエスト』やコマンド型ADVといった「ボタンによる選択」が重要なゲームの影響もあり、「Aボタンで決定する」というスタイルがゲーム業界に定着し始めます。それに応じて、もうひとつの「Bボタン」が、真逆の役割である「キャンセル」を担うようになりました。
その後、スーパーファミコンの登場によってXボタンやYボタンが増えても、「決定はAボタン」「キャンセルはBボタン」といった役割は変わらず、受け継がれていきます。
●洋ゲー上陸で変化の兆しが…
「決定はAボタン」というスタイルは、ソニーが「PlayStation」を発売した時も踏襲されました。名称こそ〇ボタンや×ボタンですが、決定ボタンの位置は「十字配置の右ボタン(〇)」、キャンセルは「十字配置の下ボタン(×)」なので、プレイヤーの操作感は全く同じです。
「Aボタン/○ボタンで決定」という形は長く続き、任天堂は今もそのスタイルのまま。またソニーも、初代から「PlayStation 4」まで受け継ぎました。ですが、それは国産のゲームタイトルに限った話。海外産のゲーム、いわゆる「洋ゲー」の上陸によって、異なる操作を迫られる場面が徐々に増えていきます。
海外ではかなり前から、「十字配置の下ボタン(Bもしくは×)」が「決定ボタン」で、「十字配置の右ボタン(Aもしくは○)」が「キャンセルボタン」でした。そうした洋ゲーが日本向けに登場する場合、この操作のまま発売されるケースもありました。
この時の日本はまだ、任天堂とソニーのどちらも「A or ○ボタンで決定」だったので、洋ゲーの操作とは正反対。そのため一部のプレイヤーは、馴染みのない操作に慣れる必要に迫られました。ゲーム機のメニュー画面では「「A or ○ボタンで決定」なのに、いざゲームを立ち上げると、そのゲーム内では「B or ×ボタンで決定」となれば、混乱するのも無理のない話です。
●PS5が「×ボタンで決定」を採用、国内の操作方法が二分化
洋ゲーの台頭で、プレイヤーが認識する「決定ボタンの位置」が揺らいでいきます。ですが、それはまだ特定のゲームに限った話でした。海外から素晴らしいゲームがやってくる頻度は徐々に上がったものの、国内ではまだ「A or ○ボタンで決定」が主流でした。
しかし、2020年に発売された「PlayStation 5」で、国内の情勢にも大きなメスが入ります。このPS5は「×ボタンで決定」を採用し、ゲーム内はもちろんメニュー画面でも×ボタンが決定の役割を担いました。前述の通り海外では、「十字配置の下ボタン」が決定だったため、そうした海外基準に合わせた形になります。
この仕様について、国内ゲームファンの反応は賛否両論でした。もともと洋ゲーに慣れていた人は、操作の統一を好意的に受け止めます。しかし、「○ボタン(十字配置の右ボタン)で決定」に慣れ親しんだ人からすれば、感覚的な違和感は拭えません。
こうした意見の相違は、今現在も続いています。PS5の普及が伸び悩んでいるため、慣れる機会に恵まれないのも理由のひとつ。また、PS5の後方互換機能でPS4のゲームを遊ぶと、そちらは〇ボタンで決定なので、同じハード上でふたつの操作をしなければならないという問題もあります。
任天堂は今も「○ボタンで決定」を貫いているため、PS5や海外のゲーム(PC版含む)とは相容れません。混乱を防ぐため、操作方法の統一化を望む声もありますが、どちらの形に絞られるにせよ一定数の反発は避けられないでしょう。いずれ統一されるのか、このまま平行し続けるのか。「決定ボタン」の変革は、まだ終わりを迎える時期ではなさそうです。
(臥待)
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