客が店員に「ありがとう」と言うのはおかしい？ 経済学から解説も「理屈じゃない」

■「客がお礼を言うべきか」問題　経済学の視点から考えると？

　お店でお酒を買った女性が、店員さんに「ありがとうございます」とお礼を言いました。しかし周囲の人たちが「あの人、お客なのにありがとうございますって言ってる」「おかしいね」と話すのを聞き、女性は恥ずかしくなり……。

　小島アジコさん（@ajico_k）による創作マンガ『買物をしたときに店員さんに『ありがとう』というのは経済学的に間違ってない漫画』がTwitterで公開されました。時々議論となる「客がお礼を言うべきか」問題ですが、それを経済学の視点から解説した作品。しかしラストでは理屈を超えた「人間の心」が問われています。

　読者からは「買い物したら普通に言います」「プライスレスの価値は確実にある」「店員はお礼を言われるとうれしい。言ったほうがいい」「おかしいと言う人の思考が理解できない」などの声があがりました。Twitter投稿は3.3万いいねの話題作となっています。

　作者の小島アジコさんに、お話を聞きました。

ーー小島アジコさんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。

　2006年頃、『となりの801ちゃん』という、腐女子の彼女との交際を描いたマンガをブログに投稿していたのですが、それを見た出版社の方に声をかけていただき、単行本を出させていただいたのがきっかけです。

ーー『買物をしたときに店員さんに『ありがとう』というのは経済学的に間違ってない漫画』のお話をマンガに描いたきっかけを教えて下さい。

　Twitterなどのインターネットサービスで「お店の店員さんや運転手さんにお礼を言うべきか」という話を何度か見ることがあり、またそれとは別にいろいろなことを「経済学的に正しいかどうか」で語るブログなどを見て、じゃあ、それを組み合わせたら面白いんじゃないかと思いました。

　ただ、やっぱり、経済学や理屈抜きでただ「ありがとう」って言えるのがいい社会だな、と思います。

ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

　実際に「なんでありがとうっていうの？　言わなくていいよ」っていう人に会ったという人がそれなりにいました。それでもその人たちは「自分はありがとうって言うよ！」と言っていて、それが印象に残っています。経済学的に正しいとかそういうことよりも、当たり前のように言うようにしている、という人たちが思っていたよりもたくさんいました。

　あと、ネタとして主人公が飲んでいるのが「ストロングゼロ」なんですが、それに気付いて下さった方がいてニヤリとしました。

電子書籍『ここは悪いインターネットですね』が3巻まで配信中（小島アジコさん提供）

ーー電子書籍『ここは悪いインターネットですね』が3巻まで配信中です。収録内容や見どころなどをご紹介いただけますか？

　今回みたいないい話はあんまりないのですが、風刺ネタや不条理ネタが多いです。ちょっと人を選ぶマンガだと思います。ブログ「orangestarの雑記」に「ここは悪いインターネットですね」のタグでマンガを公開していますので、そちらを読んで気に入られたらぜひ読んでみてください。

　今配信している分にはまだ今回のお話は収録していないのですが、Twitterでこのようなマンガを引き続き描いていって、ある程度枚数がたまったら次の巻を出していきたいと思っています。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか？

　今回のようなタイプのマンガのほかに、日常生活でのちょっとした話や、少し長めのストーリー物などを描いていきたいと思っています。

（マグミクス編集部）