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アニメ『幽☆遊☆白書』放送から30年 「オリジナル編」なしで原作と並走できたワケ

マグミクス / 2022年10月10日 6時10分

アニメ『幽☆遊☆白書』放送から30年 「オリジナル編」なしで原作と並走できたワケ

■土曜の夕方、TVの前に子供を釘づけにした

 本日10月10日は、1992年にTVアニメ『幽☆遊☆白書』が放送開始した日。今年2022年で早くも30周年になります。放送当時、人気絶頂のまま終了を迎えた『幽白』について振り返ってみましょう。

『幽白』はもともと「週刊少年ジャンプ」(集英社)1990年51号から1994年32号にかけて連載されたマンガでした。コミックス累計販売数は5千万部を超え、「ジャンプ黄金期」を支えたマンガのひとつだったと言われています。

 当初は死んでしまった主人公・浦飯幽助が生き返るための試練を受けるという一話完結の物語でしたが、やがて幽助が生き返って霊界探偵として妖怪と戦うという、バトルメインの連続ストーリーへと変化しました。

 そうすると「ジャンプ」での掲載順も巻末から巻頭に近くなっていき、暗黒武術会編くらいには上位の掲載になっていきます。TVアニメ化が発表され、放送が始まったのもちょうどこの時期でした。

 原作マンガにはややダークな雰囲気や不良描写がありましたが、TVアニメではそのあたりをいくつか修正しています。それは放送時間を考慮して、子供が見ることを意識して製作したからでした。ほかにも原作マンガでは省略されていた部分をわかりやすくするため、戦闘シーンの追加、キャラクターのセリフによる補填など、随所にTVアニメならではの処理がされていました。

 こういった部分が評価されたのか、平均視聴率は17.6%、最高視聴率は第67話「新たなるプロローグ」の24.7%です。関連商品もカードやゲームなど、さまざまなジャンルで好成績を残しました。

 さらに『幽白』は人気アニメとして、各アニメ雑誌で毎号掲載されるほどの盛り上がりを見せ、『アニメージュ』が主催するアニメグランプリでは2年連続のグランプリ、男性キャラクター部門では飛影、蔵馬で3年間1位を独占しています。

 ちょうど同じ時期に好評だった『美少女戦士セーラームーン』と、当時のアニメ人気を二分していたと言ってもよいでしょう。ほとんどの地方では土曜18時半から『幽白』、19時から『セーラームーン』を放送していました。当時のアニメファンや子供たちの多くは、この1時間はTVに釘付けだったことと思います。

 人気絶頂の『幽白』でしたが、原作マンガの終了に合わせる形で1995年1月7日放送の112話で終了しました。特筆するべき点は人気もさることながら、2年以上の放送でアニメオリジナルシリーズがなかったことが挙げられます。

 普通なら2年も放送すると原作に追いつくためにオリジナルシリーズが途中で追加されるものですが、『幽白』では細かなアニメオリジナルシーンはあるものの、大きなシリーズの挿入はありませんでした。

 これには、原作マンガの密度の濃さが挙げられます。前述したように、アニメにおける描写にわかりやすく時間をかけたことによって、原作に追いつかずに最終回まで製作できたのでしょう。そう考えると、「早すぎた」と言われる原作マンガの終了時期は、TVアニメには絶妙なタイミングだったのかもしれません。

■アニメの人気を爆発させた、ふたりの新人声優

人気キャラのひとり、蔵馬がジャケットに描かれる「幽☆遊☆白書 Vol.2」DVD (ハピネット)

『幽白』の人気を語るうえで忘れてはいけないのが、「蔵馬」と「飛影」というふたりのキャラクターです。このふたりの人気が作品の評価に直結したと言っても過言ではないでしょう。前述したアニメグランプリでも放送していた3年の間、共にベスト3にランクインしていることからも当時の人気がわかります。

 ふたりとも最初に登場した時は幽助の敵の妖怪として登場しました。蔵馬は早い段階から仲間になりそうだと思われていましたが、悪人然とした飛影が仲間に加わった時は、いつ裏切るのだろうか? と考えていた人も少なくないでしょう。

 しかし、徐々に明かされた過去の話で飛影のキャラクターはふくらみ、邪王炎殺拳を使う頃には頼もしい味方キャラクターというポジションを確立します。その後、蔵馬も妖狐の姿を見せることでさらなる人気を獲得、こうしたエピソードが暗黒武術会編をいっそう盛り上げました。

 実はアニメ化が決まって声優陣が発表された際、他のキャラクターは名のある人気声優ばかりだったのに対して、蔵馬と飛影は新人だったことで一部のファンから疑問視されたことがあります。特に蔵馬の声が女性だったことに違和感をおぼえる人もいました。

 ところが放映開始後、不安視した意見は止み、逆に称賛へと変わります。知らない方はいないと思いますが、ふたりは声優デビューしたばかりでした。蔵馬の声は緒方恵美さん、飛影の声は檜山修之さん。ふたりとも、この役をきっかけに一気にスターダムに昇り、当時の人気声優の仲間入りを果たすことになりました。

 アニメ『幽白』の歴史を振り返った時、このふたりの声優の人気が急速に高まったことが作品に多大な影響を与えたことがわかります。もちろん、ほかのキャラクターたち、それを演じた声優たちも『幽白』にはなくてはならない存在でした。しかし、まだ何色にも染まっていない新人だった緒方さんと檜山さんが、『幽白』という作品に与えた影響は大きなものだったと思います。

 影響というと、主題歌も作品を盛り上げた要素のひとつでした。オープニング曲「微笑みの爆弾」は途中で映像が変わったものの、最初から最後まで作品を支えた名曲です。当時でもオープニング曲は1年もすれば変わってしまうものでしたが、2年以上にもわたって使用されたのは異例でした。その知名度は高く、いまだに『幽白』の曲と言えば一番はじめに思い出す歌ではないでしょうか?

 逆にエンディング曲は半年ほどで変わっていき、合計で5曲が使われています。好みは人それぞれだと思いますが、筆者は3番目に使用された「アンバランスなKissをして」が一番印象的でした。曲と絵を今でも思い出せるほどです。

 作品人気が高く、近年でも舞台化にソシャゲのゲスト参戦、Netflixでの実写シリーズ化も発表になった『幽白』。昨今の風潮を考えると、再アニメ化という話もいずれ出てくるかもしれません。

 しかし、『幽白』の場合はTVアニメでキレイに完結していますし、何よりも前述したように声優とキャラクターが一体化しているイメージがあるので、筆者の感覚としてはない方がいいとさえ思います。それよりも、地上波での再放送の方が数字を取れるんじゃないか……とも考えるのですが、当時のファンだったみなさんはどう思いますか?

(加々美利治)

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