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悲劇! 途中退場した「昭和ウルトラマン」のヒロインたち 背景に「テコ入れ」や契約が

マグミクス / 2022年10月13日 7時10分

悲劇! 途中退場した「昭和ウルトラマン」のヒロインたち 背景に「テコ入れ」や契約が

■『ウルトラマンA』で途中退場した悲劇のヒロイン「南夕子」

 本日10月13日は、50年前の1972年に『ウルトラマンA』第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」が放映された日です。この話で、それまで北斗星司と合体変身することでウルトラマンAになっていた、もうひとりの主役である南夕子が番組から姿を消しました。

 第2期ウルトラシリーズ第2作目の本作は、前作『帰ってきたウルトラマン』の後番組として製作されています。前作『帰ってきた』が比較的オーソドックスな作品だったことからか、本作『A』はさまざまな新しい試みをされていました。そのひとつが星司と夕子による男女合体変身です。

 こうして鳴り物入りでスタートした本作でしたが、視聴率では前作より苦戦しました。その理由のひとつが、裏番組である同じく特撮ヒーロー番組の『変身忍者 嵐』の存在だったと言われています。この他にもスポンサーである玩具会社「ブルマァク」で発売していたソフビ人形の売れ行きが良くなかったこともマイナス要因にされていました。

 ほかにもいくつか理由がありましたが、こういった不振から本作は大きなテコ入れが行われることになります。そのテコ入れのひとつとして夕子を降板させ、従来のシリーズ通りに星司がひとりでエースに変身するようになりました。

 本作の要でもあった男女合体変身を止めるということには、いくつかの理由があったそうです。「子供が合体変身だとゴッコ遊びに取り入れづらい」「ヒーローとして弱弱しく見える」という意見のほかにも、ストーリー展開上、星司と夕子それぞれのドラマを別々に書くのがむずかしい……という脚本面での問題もありました。これにはメインライターだった市川森一さんが一度、本作から抜けたことも大きな理由だったかもしれません。

 このふたりの主人公を描くむずかしさは、バディもの特有のものでしょう。現在では過去の作品からの蓄積したデータがいくつかありますが、当時はまだ過渡期でした。そして、男女バディものという部分にもむずかしさがあったと思います。

 バディもの定番の仲違いから信頼が築かれるという展開も男女では恋愛要素抜きではむずかしく、本作のテーマからすれば直接的な恋愛要素は避けるべきものでした。こう振り返ってみると、本作の男女合体は先鋭的な試みでしたが、それゆえにふたを開けると問題は山積だったわけです。

 結果、夕子は月星人だったという超展開により退場しました。もしも、夕子が退場することなく作品が完結を迎えていれば、その後のウルトラシリーズは大きく変わっていたかもしれません。そう考えると、夕子の退場劇は以降のウルトラシリーズの分岐点といえるほどの大事件でした。

 余談ですが、夕子役は当初は第7話でゲスト出演した関かおりさんが演じる予定で撮影も進んでいましたが、足を骨折したために降板。そこで星光子さんが代わりとして夕子役を引き継いだという逸話がありました。

■夕子の他にもあった ウルトラヒロインの「退場劇」

あさかまゆみさんはデビューして間もなく『ウルトラマンタロウ』のヒロイン・白鳥さおりを演じたが、契約の関係で降板することに。画像はあさかまゆみさんが歌う「虹色の夢」(Dan)

 ヒロインの途中退場劇、実は他のウルトラシリーズでもあります。その最初は夕子ではなく、前番組『帰ってきた』のヒロインである坂田アキでした。

 アキは主人公である郷秀樹の恋人といえる存在で作品のヒロインです。ファンのなかには、ヒロインはMAT隊員の丘ユリ子だと熱く語る人もいるかと思いますが、ヒロインはひとりだけとは限りませんのでご容赦ください。

 しかし、アキは第37話でナックル星人の罠にかかり死亡してしまいます。この降板劇には理由がありました。実はアキ役の榊原るみさんは当時売れっ子で、他番組とのスケジュール調整ができなかったため、降板することになったそうです。

 そのため、アキは死亡という展開になりました。このため、筆者をはじめとして当時の子供にとってドラマ的には名作でしたが、この第37話をトラウマエピソードとして記憶することになります。そのため、後に劇場版『大決戦!超ウルトラ8兄弟』で、別世界ですが郷と家庭を築いていたアキの姿に救われたものでした。

 これとは真逆で、番組終了まで登場しているのに途中で役者が交代したのが、第2期シリーズ第3作『ウルトラマンタロウ』のヒロインである白鳥さおりです。

 実は演じていたあさかまゆみさんの事務所との契約は第16話までだったそうで、第20話から小野恵子さんに交代しました。後年この話を知った時、『帰ってきた』でもそうすればよかったのにと思ったものです。ちなみにキャスティング変更になった理由は、本作がファンタジー色とファミリー性を強く意識していたため、ショッキングな退場劇を控えたからと考えられるでしょう。

 そして、第2期シリーズ第4作にて最終作『ウルトラマンレオ』第40話では、ヒロインどころかほとんどの初期レギュラーが死亡するという超展開がありました。

 本作の第4クール「恐怖の円盤生物シリーズ!」では、最初に防衛組織「MAC」が基地ごとメンバー全員死亡、さらに主人公おゝとりゲンの心のよりどころであった城南スポーツセンターのメンバーも、シルバーブルーメの破壊活動でヒロインの山口百子をはじめほとんどが犠牲になっています。この退場劇はオイルショックが引き金となった、製作費の圧迫による路線変更が原因でした。

 このように皮肉にも第2期シリーズでは事情はそれぞれ違いますが、1話から演じていたヒロイン役の女優が途中退場という結果になっています。

 さらに第3期シリーズの『ウルトラマン80』のヒロインであるUGM隊員の城野エミも第43話で殉職により退場しました。その理由は「ウルトラシリーズに最後まで出演した女優は大成しない」……というジンクスを気にしたと言われています。これは深読みすれば、第2期シリーズのヒロインが全員途中で降板したことが曲解されたのでは?……とさえ思ってしまいます。

 当時は現代ほど契約関係がしっかりしていなかったことが、ヒロイン途中降板という事態を引き起こしたのでしょう。今はよほどのことがない限りそういったことはどんな作品でもないようで、安心して作品を楽しめる環境にあると言えるかもしれません。

(加々美利治)

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