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『シャーマンキング』再び焦点があたる「500年前のハオ」と「麻倉家の先祖」の因縁とは?

マグミクス / 2022年10月17日 13時10分

『シャーマンキング』再び焦点があたる「500年前のハオ」と「麻倉家の先祖」の因縁とは?

■500年前のハオについて更に掘り下げて考察!

 この10月発売の「少年マガジンエッジ」11月号では、残念ながら『SHAMAN KING THE SUPER STAR」が休載です。そこで今回は、前回も触れた「500年前のハオ」について、さらに掘り下げたいと思います。さすが「SHAMAN KING」シリーズでもトップクラスの人気を誇るハオの話題だけあって、10月号はSNS等でも盛り上がりを見せていました。今回の考察もあわせて楽しんでいただければ幸いです。

 さて、パッチ族としてのハオは20歳以上の見た目なので、転生したのは西暦1480年頃です。この頃、世界は大航海時代で、コロンブスが新大陸(アメリカ大陸)を発見したのが1492年です。まだインカ帝国もアステカ帝国も滅亡していません。レオナルド・ダ・ヴィンチはまだ「モナ・リザ」を描いておらず、ミケランジェロは「ダビデ像」を作っていません。日本は室町時代の後期で銀閣寺が作られる少し前です。

 この頃にハオは、アメリカ先住民族のひとつ「パッチ族」として転生しました。当時はハイドロという名で「スピリット・オブ・ファイア」を手に入れるチャンスをうかがいながら十祭司に選ばれるほどのエリートとして成長していきました。ただ正体を隠しながら生きるのは大変だったようで、幼少期は随分いじめられていたと語っています。元々ハオは世渡りが下手なタイプで人間嫌いですから、そういうものが相手に伝わってしまったのかもしれません。

 十祭司に選ばれたハオはムー大陸まで同行し、フラ・ヤービスがシャーマンキングになる直前に反旗を翻します。これ以上つき合っていると、目覚めたシャーマンキングとともにグレート・スピリッツに行く(死ぬ)ことになるからでしょう。

 実はTVアニメなどを見ると、それは義務ではなさそうですが、シャーマンキングを守護するのが十祭司の役割ですから、一緒にグレート・スピリッツに留まるのが自然です。事実上断れないというやつでしょう(笑)。十祭司はあらかじめその流れを知っていて、ハオはその前にムー大陸を脱出する必要があったと考えられます。「縛られた死」は次の転生に悪影響を及ぼすということかもしれません。

 ところが、地上に戻ったハオを待ち構えていたのは麻倉葉賢と、その持霊にして麻倉葉王の飼い猫だったマタムネでした。ここから先は多分に筆者の想像も入るのですが、さらに考察してみたいと思います。

■ハオを倒した麻倉葉賢は一度負けていた!?

『SHAMAN KING THE SUPER STAR』最新話が掲載されている、「少年マガジンエッジ」2022年10月号(講談社)

 まず、500年前のシャーマンファイトは新大陸で行われたと思います。新大陸の発見が世界にとって大きな節目になり、それがグレート・スピリッツの意志によるものだとウランウラン族長は考えていたようなので、開催地として最適だと思えます。

 麻倉本家は確実にハオに会うため、シャーマンファイトに参加しようとします。葉賢はハオ討伐のために育てられたといっても過言ではなく、間違いなく優勝候補として出場権を獲得したでしょう。ところが彼は場外戦でハオと最低一度は戦っていながら負けて殺されかけ(この時に試合も辞退か不戦敗している)、その隙にハオがムー大陸に行ってしまいます。筆者がこう考える理由は、TVアニメなどで語られた葉賢の姿にあります。

 麻倉葉が地獄で葉賢と出会った時、彼はハオを殺した罪の意識によって地獄に縛られていました。つまり葉賢は、ハオ討伐を心のどこかでためらっていたと考えられます。しかし葉賢とマタムネならハオがムー大陸に行く前に見つけることはできたはずです。ですから筆者は「葉賢とハオは最低一度戦ったが、ためらった葉賢が負けた」と想像したのです。

 一方ハオはムー大陸から戻って来なければいけないので、葉賢と戦う以上は確実に殺そうとしたでしょう。それが失敗したのは、葉賢の生命力が強かったのかハオが見逃したのか、そこは想像が難しいところです。

 いずれにしろ生き延びた葉賢は、ハオを含む十祭司たちが姿を消したことで絶望します。目的を果たせないままこの地で朽ちるしかないと考えたからです。しかしハオは戻って来た。それを最後のチャンスと捉えた葉賢は覚悟を決めて挑み勝利を収めたものの、それがもとで地獄に縛られることになった……。

 もちろんこれが正解かどうかはわかりません。しかしこう思いながら葉と葉賢の地獄でのやりとりを見返すと、より深みが増したように感じられるのでした。皆さんにとってもそうであれば嬉しいことです。

 それにしても、ハオにまつわる500年前の回想は、テンプラ騎士団リーダー・トリムの記憶です。つまり十祭司は先代シャーマンキング、フラ・ヤービスの力で蘇生したと思われるのですが、彼は麻倉花に何か願いを託そうとしています。それはいったい何なのか、ページを割いて回想をしっかり描く演出にはどんな意味が込められているのか、次回以降の展開も目が離せません!

 それでは今回はこの辺で! 次回もよろしくお願いします!

●タシロハヤト
美少女ゲームブランド「age(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。

(タシロハヤト)

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