名作ゲームが続々登場した「PC-9801」 発売から40年 アダルト作品にも意外な「功績」が?
マグミクス / 2022年10月19日 6時10分
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■仕事にホビーに、多くのユーザーが愛用
1982年10月に日本電気(NEC)が16ビットパソコン「PC-9801」を発売してから、この10月で40周年となります。
かつて、「PC-9801」を仕事やホビーに使っていた方はたくさんいるでしょう。筆者も高校生の時に親にねだってエプソン互換機の「PC-286 VG」を買ってもらい、数え切れないほど膨大な文章を書いてきました。あの頃の積み上げが今こうしてライターという仕事につながっているのですから、人生わからないものです。もしあのとき親がパソコンを買ってくれなかったら、別の仕事をしていたかもしれないのですから。
その後も高校の先輩のおさがりで「PC-9801 BX」を手に入れ、最後は「PC-9821 V12」に乗り換え、Windows時代にもなんとか対応していましたが時代の流れには抗えず、筆者にとっての98シリーズの歴史はここで終焉を迎えました。最後の愛機となったV12は自分にできる限りのカスタマイズを施し大事に保管していましたが、さすがにもう使わないので、かつてBXを譲ってもらった先輩にあげてしまいました。今も大事にしてくれているようです。
さて、PC-98こと「PC-9800」シリーズはかつて日本電気(以下、NEC)が日本市場向けに販売していたパーソナルコンピュータの製品群です。初代となる「PC-9801」は1982年の10月に発売され、コンピュータの頭脳と言えるCPUにはインテルの16ビットマイクロプロセッサ「8086」を使用し、前シリーズの「PC-8801」の8ビットと比較して性能が大きく向上しています。
その後はCPUやグラフィック能力、フロッピーディスクドライブやハードディスクの搭載など細やかなバージョンアップが頻繁に行われて徐々に能力が向上。1986年には初の持ち運び可能なラップトップ機「PC-98LT」も発売されました。1990年にはホビー用途を指向しFM音源を搭載した「PC-9801DA」も登場し人気となりましたが、このころから安価なPC/AT互換機に押され始め、対抗策の一環として1993年にはハイエンドの「PC-9821」シリーズが登場。しかし時代の流れには抗えず徐々に存在感は薄れ、2003年にその役割を終えました。
PC-98は総じて高価ではあり個人で簡単に買えるものではありませんでしたが、現在社会で活躍している方々のなかには98シリーズでパソコンの基礎を学んだ方も多く、現在のように仕事と遊びにパソコンを使用する時代を築いた名機といえるでしょう。
■数々の名作ゲームが「98」で発売された
「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」はPC-98用ゲームで存在感が大きかった日本ファルコムの大ヒットシリーズ。画像は「パーフェクトコレクション ドラゴンスレイヤー 英雄伝説II」
PC-98シリーズといえば、ゲームで遊んだ記憶をお持ちの方も多いでしょう。当時は『信長の野望』や『三国志』、『大航海時代』などの数々のシミュレーションゲームを世に送り出した光栄(現:コーエーテクモゲームス)が大きな存在感を発揮していました。
また、88シリーズの時代から名作「イース」シリーズや『ソーサリアン』などで爆発的な人気を獲得していた日本ファルコムも、『ダイナソア』『ブランディッシュ』『ロードモナーク』など傑作を次々に世に送り出しています。なかでも『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』は後に家庭用ゲーム機にも移植されるなど、特に人気が高い作品となりました。
いま挙げたタイトル以外でも、昨年亡くなられた故・三遊亭円丈さんが手掛けた『サバッシュII』や工画堂スタジオの『POWER DoLLS(パワードール)』、システムソフトの『大戦略』、ダンジョン探索がリアルタイムで進む『ダンジョンマスター』や初期のFPS代表作『DOOM』など、とんでもない時間と熱量をつぎ込んで遊びまくった名作は数え切れません。
アダルトジャンルでもelfやleaf、key、アリスソフトなどエネルギーに満ちあふれたメーカーが次々と名作傑作を送り出し、当時の若者を楽しませていました。特にあの時代は今のような小説投稿サイトが無かったため、文筆業で身を立てたい人間にとってアダルトジャンルはデビューの場として最適であり、現在活動している小説家や脚本家のなかには、アダルトゲームで活躍していた方も多数存在しています。クリエイターが活躍する場を作り上げてくれたPC-98シリーズは、現代のクリエイターたちにとっても極めて重要な存在だったといえるでしょう。
(早川清一朗)
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