『美味しんぼ』栗田はいつから山岡が好き？ 調べて分かった「意外な早さ」

■初期にはかわいいやきもちシーンも

　日本を代表するグルメマンガ『美味しんぼ』（原作：雁屋哲　作画：花咲アキラ）は、主人公・山岡士郎と、実父である美食の鬼・海原雄山との「究極」VS「至高」のメニュー対決が物語の主軸です。一方で「究極のメニュー」作りの相方で、東西新聞社文化部の同僚である栗田ゆう子と山岡の恋愛も描かれてきました。第43巻で山岡が栗田さんにプロポーズし、晴れてふたりは結婚するのですが……その「恋愛感情」はそもそもいつ始まったのでしょうか？　

　気づけば、東西新聞文化部内でふたりが好き合っていることは公然の事実となっており、栗田さんも当然のごとく山岡と腕を組んで歩く場面もありました。山岡は恋愛においては超鈍感ということなので、今回は栗田さんに注目して、気になる恋愛の軌跡をたどっていきます。

　栗田さんの山岡に対する第一印象は最悪です。記念すべき第1話では、社内で寝泊まりし雑巾で顔を拭う山岡を軽蔑。とはいえ山岡はお偉いさん方に臆せず、実力で黙らせたり、かと思えば栗田さんの「おむすび」に30点をつけたり……「やる時はやるサイテー男とのラブコメ」としての基盤は、第１巻ですでに完成していたといえます。

　そして、山岡にも笑顔が増え始めた第4巻「食卓の広がり」の回はトリガーです。かつての同僚・真山（旧姓：林）信子が山岡のことを好きだったと明かしたところ、栗田さんが「山岡さんを好きだった女の人がいたなんて……」と戸惑いにも似た感情を抱きます。

　そして、第5巻の「味噌の仕込み」の回は決定打。君島さわ子という綺麗な女性が、山岡にえらくベタベタ接します。それを見た栗田さんはというと……「ま……さわ子さんてなれなれしい人ね」と口を尖らせるのです。次話「松竹の香り」で連続登場したさわ子さんは、会食中に再び山岡にソフトタッチ。いよいよ栗田さんは「さわ子さんたら山岡さんにベタベタして……山岡さんも何よ！」と、ナイフでガチャガチャ音を立てるほどイラ立ってしまいます。そして同じく5巻の「サラダと美容」の回でも、山岡が（社主の命令で）お見合いすることを知った栗田さんは、目の前に来客がいるにも関わらず、強めにプンスカします。これはもう、完全に「好き」です。

　ふたりの恋愛話が一気に加速するのは第21巻以降、二木まり子が登場してからではあります。しかし、かなり初期の段階で、栗田さんは山岡に接近する女性が出てくるたびに、恋心が揺れ動いていたようです。今となっては3人の子の母として安定感抜群な山岡ゆう子さんですが、若手時代の栗田さんとしての初々しさ、かわいらしさは読み返すと貴重です。

（片野）