2012年10月スタートアニメ3選 ちょうど今期で10周年！

■アニメによる聖地化と言えば？

　今から10年前の2012年10月には、大洗をアニメの聖地とした作品や、ファンが長年アニメ化を待ち望んでいた「週刊少年ジャンプ」原作作品、ゲームブランド「key」が制作した恋愛アドベンチャーゲーム原作アニメなど、多種多様な作品の放送が開始されました。多数の人気作のなかから3作品をご紹介します。

●『ガールズ＆パンツァー』

『ガールズ＆パンツァー』は戦車同士の模擬戦が「戦車道」として華道や茶道と同様に女性のたしなみとされている世界を舞台に、学校の存亡をかけて全国大会での優勝を目指す女子高生たちを描いたTVアニメです。全12話＋総集編2話。

　主人公の西住みほは、茨城県の大洗女子学園に転校してきたばかりの女子高生。みほは西住流戦車道の家元である西住しほの娘で、かつては戦車道の強豪・熊本の黒森峰女学園で副隊長を務めるほどの技量を備えていましたが、10連覇のかかった全国大会の決勝で人命救助を優先したため敗退。母親との考え方の違いから戦車道を辞めると決意し、大洗へと転校してきたのでした。

　しかし大洗女子学園は廃校の危機にあり、存続のためには戦車道全国高校生大会での優勝が絶対条件となっていたのです。戦車道部が新たに立ち上げられることになり、みほは生徒会からの圧力と友人たちの想いに応える形で、再び戦車道の世界へと戻る決意を固めたのでした。

　作中には史実の第二次世界大戦の時期までに作られた戦車が多数登場します。それぞれの特徴を生かした戦術が登場し、駆動音は該当車両のものがそのまま使用されるなど、戦車が女性向け武道となっている荒唐無稽な世界観とリアリティの融合が大きな特徴です。

　登場するキャラクターたちの魅力と、廃校を阻止するために一致団結するストーリーラインの巧みさ、設定のマニアックさから非常に評価の高い作品であり、熱心なファンを多数獲得しました。

　舞台のモデルとなった茨城県の大洗町は作中で建物が破壊されるなど作中でもフォーカスされており、多数のファンが観光に訪れアニメの聖地として大きな存在感を発揮しました。現在でも、大洗を訪れる人が絶えないほどの人気を誇っています。

　TVアニメ終了後もシリーズは継続しており、OVAや劇場版も公開されています。現在は全6話予定の最終章が展開中であり、今後も『ガールズ＆パンツァー』はファンをまだまだ楽しませてくれそうです。

■6部放送中のジャンプアニメも2012年にスタート！

『リトルバスターズ！』画像はDVD Vol.9（ワーナー・ホーム・ビデオ）　(C)VisualArts’s /Key/Tema Little Busters!

●『ジョジョの奇妙な冒険』

　1986年に「週刊少年ジャンプ」で荒木飛呂彦先生が連載をスタートした『ジョジョの奇妙な冒険』が待望のTVアニメ化。全26話。第1話から第9話までが第一部の映像化で、以降は第二部が描かれました。

　19世紀、1880年のイギリス。名門貴族ジョースター家の跡取り息子であるジョナサン・ジョースターの生活は、父親のジョージ・ジョースター卿が養子としたディオ・ブランドーの登場により一変してしまいます。

　紆余曲折を経て共に大学へと進学し卒業を控えた1888年、ジョナサンはディオがジョースター家の乗っ取りをたくらみ、父ジョージの暗殺計画を進めていることに気付きました。貧民街のボスであるスピードワゴンの協力でディオの悪事を暴いたジョナサンでしたが、ディオはジョナサンが所有していた謎の石仮面の力により吸血鬼へと変貌。圧倒的な力に追い詰められたジョナサンでしたが、すべてを失う代わりに撃退に成功、かろうじて生還を果たします。

　謎の男・ツェペリから対吸血鬼用の技術として、「波紋法」を学んだジョナサンは、多くの犠牲を払いながらもディオとの戦いに勝利し石仮面の破壊に成功します。すべてが終わったと思い新婚旅行に出発したジョナサンでしたが、生き延びていたディオに殺害され、その後のディオとジョナサンの子孫たちによる壮絶な死闘の幕開けとなったのです。

●『リトルバスターズ！』

　ゲームブランド「key」が発売した同名タイトルをTVアニメ化。26話＋番外編。全寮制の学校に通う主人公の直枝理樹は、小さいころは幼なじみと共に悪を倒す正義の味方「リトルバスターズ」を結成していました。当時「ずっとこの時が続いたらいいのに」と感じていた理樹は、ある日「昔みたいに何かしよう」と幼なじみたちに持ちかけました。

　リーダー・棗恭介の宣言で野球チームとなった新たなリトルバスターズはさまざまなバックグランドを持つ同級生たちを加えて活動を開始し、練習と試合を繰り返して皆が上達していきます。しかし、実は彼らはバス事故にあって瀕死の状態となっており、想いの力で奇跡を起こし、学校の一学期をずっと繰り返していたのです。果たして彼らが生きて再び笑い合える世界は来るのでしょうか？

※本文を一部修正しました（10月21日15時40分）

（早川清一朗）