『Zガンダム』オールドタイプ最強? 野獣「ヤザン」が愛されるワケ 部下想いの一面も…
マグミクス / 2022年10月27日 6時10分
![『Zガンダム』オールドタイプ最強? 野獣「ヤザン」が愛されるワケ 部下想いの一面も…](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_117600_0-small.jpg)
■「野獣」という表現がよく似合う男ヤザンの魅力とは?
ガンダムシリーズの敵役といえば、物語の完結までに死亡することが普通ですが、なかには生き延びていることもあります。『機動戦士Zガンダム』に登場したヤザン・ゲーブルは、その数少ないひとりでした。
ヤザンは地球連邦軍の特殊部隊「ティターンズ」のMS(モビルスーツ)パイロットで階級は大尉。ニュータイプではありませんが、それに匹敵するほどの操縦技術を持ち、その荒々しい戦い方から「野獣」と呼ばれることもありました。
ガンダムシリーズで生き残ったキャラというのは大方が主人公サイドか、最終的に味方となったものばかり。あとはギャグ要因くらいでしょうか。ヤザンのように改心もしないで物語の最終回を迎えることは異例中の異例。ほかのガンダムシリーズでもいないことはありませんが、あのメインキャラが次々死んでいった『Z』の物語で生き延びたのは特筆できます。
浅黒い肌に金髪、特徴的な黄色の軍服に亀のタトゥー(シールとも言われていますが)という強面のいで立ちで誤解されがちですが、ヤザンは野獣と呼ばれるほどの戦闘狂であっても、けっして外道と言われるタイプの悪人ではありません。
本編でも敵に対しては容赦ない攻撃を仕掛けていますが、コロニー落としやG3といった毒ガスを使って民間人ごと虐殺する行為には、たびたび嫌悪感を示しています。これに関してさまざまな考察がありますが、戦うという行為に一定のルールを持っていることは間違いありません。
そして、部下や仲間に対しては気遣いを見せるシーンもありました。緊張していたアドル・ゼノの股間を触ることでリラックスさせるという行為は、一見するとハラスメント行為にも思えますが信頼が構築されている間柄だから許されるのだと思います。味方からすればいい兄貴分だったのでしょう。
また、野獣というあだ名から猪突猛進なイメージを抱いている人もいるかもしれませんが、ヤザンは戦略家としても優秀な面を見せています。マラサイのダミーバルーンを使ったおとり作戦や、クモの巣や海ヘビといった特殊兵装による戦闘パターンなど、随所でトリッキーな戦術を披露しました。
その結果、カミーユ・ビダンやクワトロ・バジーナといったエゥーゴの優秀なニュータイプパイロットを撃破寸前にまで追い込んでいるのですから、パイロットの資質は劇中でも群を抜いていると思われます。考えてみれば、あの傲慢なパプテマス・シロッコがパイロットとして必要としたのですから、こと戦闘においてはニュータイプとは異なる才能の持ち主だったのかもしれません。
よくガンダムファンから宇宙世紀での「オールドタイプ最強」という論議がされる際、必ずと言っていいほど名前が挙がることからも、その実力は誰もが認めるものでしょう。
■ヤザンが復活! 愛機はまさかのガンダム?
『機動戦士Zガンダム』でヤザン・ゲーブルが搭乗したMSハンブラビ。画像は「1/144 ハンブラビ(機動戦士Zガンダム)」
前述したようにヤザンは劇中で死亡しなかったことから、アニメとは別の媒体でゲスト出演することもありました。
アニメ本編と近い設定の小説版『機動戦士ガンダムZZ』では、サイド1の「シャングリラ」で出会ったゲモン・バジャックと共闘するまではアニメと一緒でしたが、その後にマシュマー・セロを加えた3人でガンダムチームを追って地上で戦うという小説独自の展開を見せています。
雑誌「SDクラブ」に掲載されたマンガ『英雄伝説』では、ゲモンの用心棒としてシャングリラに在住、ギラ・ドーガに乗った姿が描かれていました。
そして、最近では雑誌「ガンダムエース」で連載中のマンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場した姿が、一部のファンから話題になっています。
このマンガでヤザンは「ヴァースキ・バジャック」という偽名を名乗っていたことで、当初は同一物か疑問視する声もありましたが、セリフから推測されるだけでも疑う余地はなく、単行本最新刊である24巻で自分をヤザンだと名乗るシーンが出たことにより確定されました。
もっともシャア・アズナブルがクワトロと名乗るくらいバレバレの話で、以前の単行本の帯でも「ヤザン復活」と書かれていたくらいです。ちなみに偽名のヴァースキは、インドにおける蛇神の諸王ナーガラージャの「和修吉」のこと。バジャックはゲモンと同じファミリーネームです。
このマンガでも相変わらず強者ぶりを見せていますが、少し違うのが一年戦争時の上官にあたるゴップ議長からの直々の依頼で、彼の養女となったイングリッド0のお守り役を務めていることでしょう。かつてのイメージとは少し変わりましたが、多くの戦いを経験することで平素と戦場での顔を使い分けるようになったのかもしれません。
戦場では相変わらず野獣のような勘の良さと巧みな戦術眼で戦い抜き、パイロットとして一線級の腕を見せていました。もちろん部下の面倒見は相変わらずよく、かつての悪役といったイメージからダーティヒーローと言えるような雰囲気に思えます。
ファンからの評判も上々で、一部からマンガのタイトルが「ヤザン・ゲーブルの帰還」でもいいとまで言われていました。何というかヤザンのモテ気到来といった感じでしょうか?
ここまでもてはやされる要因のひとつに、現在の搭乗機が「FA-178 フルアーマーガンダムMk-II」ということがあるかもしれません。本人的にも露骨に難色を示していましたが、かつての敵機であるガンダムでの活躍に期待大です。
これまで敵キャラのサイドストーリーは戦死者が多かったことから登場が限定されていましたが、ヤザンのように消息不明のキャラならば今後も描かれる可能性はあるかもしれません。今後も他作品での愛のある活躍は期待したいですね。
(加々美利治)
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