タキシード仮面の爆笑奇行集「なかなかの変態」「だいたい何言ってるかわからん」

■実は足手まとい？　「変態ポエマー」タキシード仮面の爆笑登場シーン

　黒いタキシードとマント、シルクハットや赤いバラがトレードマークの「タキシード仮面」。当時女児だった多くの視聴者たちの、初恋を奪ったといっても過言ではない人物です。しかし、よく見ると「本当にかっこいい……？」「むしろ変態仮面では？」と思いたくなる「クセ強」な行動が目立ちます。この記事では、タキシード仮面の数々の「奇行」をご紹介。SNSでも「なかなかの変態でうける」「だいたい何言ってるかわからん」と評判です。

●『美少女戦士セーラームーンSuperS』
第11話「天国まで走れ！夢の車にかける愛」

　敵であるレムレス・「ブラん子さん」により、空中ブランコに吊るされたセーラームーン・セーラーマーキュリー・セーラーちびムーンの3人。一人ひとりブランコのひもを切られ、ついに3人は、ひとつのブランコに必死でぶらさがることに。しかし重さに耐えきれず、3人はお互いをつかんだまま落下してしまいます。

　そこに、なぜか空中ブランコを乗りこなすタキシード仮面が、「ぶーらぶらー！」という掛け声とともに登場。落ちるセーラームーンの手をつかみ、3人のピンチを救います。しかし「タキシード仮面さま！」と喜ぶセーラームーンにかけた言葉は、「セーラームーン、また太ったな！　重いぞ！」。

　そしてその後は近くのビルに降り、「ふたりとも、今だ！」とセーラームーン・セーラーちびムーンに声を掛けます。思春期の乙女に体重のことを言うデリカシーのなさが気になりつつも、他の回と比べると、しっかり体を張って彼女たちのピンチを助けた回です。

●『美少女戦士セーラームーンR』
第30話「暗黒の魔力！エスメロードの侵略」

　うさぎたちがやってきていたケーキ店に、敵のドロイド・マジパンが出現。5人はそれぞれセーラー戦士に変身し、マジパンを倒そうとします。しかし、マジパンの攻撃で、セーラーマーキュリー以外の4人は砂糖漬けのお菓子に。そこに、タキシード仮面のトレードマークである一輪のバラが投げ込まれます。

「砂糖菓子は乙女の夢がはぐくむ芸術。美しさに憧れる少女たちの可憐な心も溶けるときがある」。タキシード仮面の突然のポエムに、セーラームーンも「は……はい？」と困惑。しかし、彼はそのまま「甘い砂糖菓子は心の悩みを溶かし去る。だが、その砂糖も溶けるときがある」と続けます。

「そうか、わかったわ！」とその意図を察したセーラーマーキュリーは、「シャイン・アクア・イリュージョン」でマジパンを撃退。彼は、「水が弱点だ」と伝えたかったのでした。「ポエムにしなければ、もっと早く倒せたのでは……？」と思わず突っ込みたくなる回です。

●『美少女戦士セーラームーン』
第10話「呪われたバス！炎の戦士マーズ登場」

　妖魔にハイジャックされた路線バスに乗り込み、暗黒の世界へと吸い込まれてしまった、うさぎとレイ。セーラー戦士に変身して無事妖魔を倒したものの、現実世界につながる次元の穴がどんどん小さくなり、脱出へのタイムリミットが迫ります。

　焦るセーラームーンたちの前に現れたのは、「運転手は私だ！　急げ！」となぜか路線バスで助けに来た、タキシード仮面でした。その姿を見たセーラームーンの目は、ハートに。セーラーマーズもあろうことか、「あの人……かっこいい……」と言葉を失います。

　バスに乗り、無事現実世界に戻ってきた一同。「タキシードと路線バス」というミスマッチさに加え、さりげなくバスのクラクションを鳴らしているところもシュールです。そして、暗黒の世界まではどうやって追いかけてきたのか、現実世界から路線バスで来たのかなど、タキシード仮面の謎がさらに深まる回です。

●『美少女戦士セーラームーンR』
第15話「うさぎ大ショック！衛の絶交宣言」

　化粧品店「お多福屋」で、「厚化粧子（あつげ・しょうこ）」にふんして働くドロイド・アツゲッショは、店にやってきたうさぎに厚化粧をほどこそうと襲い掛かります。正体を現したアツゲッショに、うさぎも変身して応戦。しかしセーラームーンは転んでしまい、店の隅に追い詰められてしまいます。

　そこに現れたのはタキシード仮面。「若い女の子の肌はピチピチしてフレッシュだ」と、現代ならセクハラになりかねない口上でセーラームーンを助けます。「厚化粧など意味がない」と続ける彼。「油汚れ・にきび・パサつきにお化粧は必要だ！」と返すアツゲッショに、半ば論破されていますが、気にしません。

　アツゲッショの攻撃を跳ね返し、彼女の厚化粧が落ちたところで、「今だ！」とセーラームーンに声をかけます。ここまで聞くとかなりコミカルな回ですが、実は物語前半で衛（まもる）はうさぎに絶交を言い渡しており、この後改めて別れを告げる切ない展開となりました。

●『美少女戦士セーラームーンSuperS』
第31話「天馬の秘密！夢世界を守る美少年」

　飴玉のレムレス・「ペロペロちゃん」の飴攻撃に追われ、公園内を逃げ回るセーラー戦士たち。なんとか攻撃を止めたものの、ペロペロちゃんからは遠く離れてしまいました。次の攻撃を準備するペロペロちゃんのしっぽ（？）を、バラの花で留めたのはタキシード仮面です。

「食べ物を粗末にする者に、人をもてなす資格はない」とかっこよく決めたかと思いきや、セーラームーンたちはまだはるか遠く。「今だ、セ……今だーーー！！　セーラームーン！！！」と声を張って言い直し、セーラームーンも「はぁーーーい！！！」と、走りながら返事をするのでした。

　助けるタイミングはばっちりだったものの、最後までどこか決まらないタキシード仮面。登場時もベンチの背もたれの上に立っており、大人になってから見ると「他に高い場所がなかったんだな……」と思わされます。いろんな意味で、戦闘の裏事情を垣間見られる回です。

＊　＊　＊

　たびたび現れては、セーラームーンたちのピンチを救ってくれるタキシード仮面ですが、よく見るとどうもツッコミどころが満載です。現れてひと言応援し、何もせず去っていく回すらあります。そして、その声を担当するのは『機動戦士ガンダム』アムロ・レイ役の古谷徹さんです。古谷さんのアドリブも多かったというこの役、どのセリフがアドリブか考えるのも楽しいかもしれません。各シリーズとも、「dアニメストア」「U-NEXT」「Amazonプライム・ビデオ」などで見ることができます。

※配信状況は記事掲載時点のものです。

（新美友那）