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ガルマ・ザビは本当に「坊や」だったのか?

マグミクス / 2022年11月5日 6時10分

ガルマ・ザビは本当に「坊や」だったのか?

■「坊や」と断じられたガルマ・ザビは無能だったのか?

『機動戦士ガンダム』に登場するザビ家末弟で、眉目秀麗なガルマ・ザビ大佐。親の七光りと言われるのを嫌い、必死に戦った彼をシャア・アズナブルは「坊や」と評しました。ガルマはそんなに「坊や」だったのか? それとも優秀だったのか? 今回は若くして戦場に散ったガルマの能力や人柄を考察します。

●ガルマの政治力とカリスマ性

 ガルマはジオン公国での人気は絶大で、将来を嘱望された人物でした。そんな彼は親の七光りと言われるのを嫌い、戦争の前線で活躍することを望むと、若くしてジオン公国軍地球方面軍司令(『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では北米方面軍司令)を務めました。政治力を伺わせる描写はアニメ版にはありませんが、占領しているニューヤークの前市長に近づき、その政治力を借り民意を束ねることを考えていたようです。また、その娘・イセリナ・エッシェンバッハと交際。ガルマはイセリナと真剣に結婚を考える一方で、情報源としても利用していました。このようにガルマは必死に任務を遂行しようとしていました。

 また、彼のカリスマ性をうかがわせる具体的なエピソードといえば「暁の蜂起」があります。サイド3のズムシティの士官養成学校で同期であり友人関係にあったガルマとシャア。ザビ家御曹司として一目置かれる存在であったガルマは成績も優秀で、首席で卒業と輝かしいものでした。その頃、ズムシティでは連邦に対する不満が膨れ上がりデモが起こっており、これの鎮圧に連邦軍が出動する可能性が出てきました。それに先んじ、ガルマをリーダーに同期約200人が蜂起。2000人いるという兵営を制圧し武装解除させました。この成果に対しズムシティ市民は歓喜し、パレードが開かれるほどガルマは称賛されました。

 この「暁の蜂起」はシャアの扇動で始まったものですが、命を賭して200人もの賛同者が集まるということは、ただの御曹司としての威光だけではなく、ガルマ自身のカリスマ性によるところが大きいのではないでしょうか。

●軍人としての評価は……?

 では軍事面はどうかというと、評価が難しいところです。北米でのホワイトベース隊との戦闘では、決定力を欠き、結末はご存知のとおりシャアの裏切りにより戦死しました。しかしこの戦いで、ガンダムが次々とドップ戦闘機を撃ち落としたにもかかわらず、ガルマが搭乗するドップは主翼を切り落とされながらも生還。操縦技術は相当なものだったと思われます。

 また、兄のドズル・ザビは、ガルマの死の報を受けると「あやつこそ、俺さえも使いこなしてくれる将軍にもなろうと楽しみにしておったものを」と嘆きました。士官学校での成績やドズルの称賛を鑑みると、前線に立つというよりも後方で大局を指揮する将軍に向いていたのかもしれません。

■ジオン公国軍人として散ったガルマは有能?

恋人イセリナはガルマ死後、ガウに乗り込み仇討ちを試みる。画像は「『機動戦士ガンダム』ガウ攻撃空母 1/1200スケール プラモデル」(BANDAI SPIRITS)

●愛し愛されるガルマ

 父デギンから溺愛されたガルマ。その理由としては、高齢での誕生、次男サスロ・ザビの事故死、妻・ナリスがガルマ出産直後に亡くなったことも大きかったと言われています。暁の蜂起後、ガルマが生還したことに安堵したデギンは、気性が優しいガルマを軍人ではなく学者にしたかったと漏らしました。これは明らかに他の子供たちとは違う親心でした。

 さらに恋愛面において「愛」が深いのがガルマ。前述したイセリナとは真剣に交際していましたが、彼女の父で前市長は交際を快く思っていなかったようです。これに彼女は父を裏切ってでもガルマの傍にいたいと愛を告げます。ガルマも「父もジオンも裏切ることはできない」と打ち明ける一方で、戦果をあげれば結婚を許してくれるであろうとし、「それで聞き届けてもらえねば、私もジオンを捨てよう」と、愛を貫く宣言。後に戦死する瞬間も彼女の面影を思い出していました。

●死後の影響…「坊や」ではなく、ジオン公国軍人として死んだガルマ

 シャアに謀られたガルマは、ガウの操縦桿を握りホワイトベースに特攻、この際「ジオン公国に栄光あれ!」と叫び、軍人として死んでいきました。

 ジオン公国でのガルマの人気は絶大で、この死を戦意高揚に利用したのが兄のギレン・ザビ。ひっそりと送り出したいと願ったデギンに対し、ギレンと姉のキシリア・ザビは国葬を提案。結局、大々的に葬儀が行われ、ギレンの名演説が生まれました。これは地球圏全域で放送され、「ガルマ・ザビは死んだ! なぜだ?」を受け、シャアがつぶやいたのが「坊やだからさ」でした。

 しかしガウ特攻に際し、ガルマが叫んだのは「ジオン公国に栄光あれ!」。これは「坊や」には口にできない覚悟の言葉。その最期はジオン公国軍人として死んでいったことに他ありません。

 アニメ版では数話しか登場しないガルマですが、『THE ORIGIN』では幼少期から、その死までが描かれています。猛々しい性格の兄姉とは違い、どこか純粋で家族や公国民に認められたいという欲求、そしてシャアを友人として信じきっていたのは、やはり「坊や」と言わざるを得ません。しかし、他者への愛や無垢さ、人間味や負けず嫌いな性格、生来のカリスマ性は人の上に立つ素養を十分に満たしていた人物だと考えられます。

(南城与右衛門)

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