『スマブラ』に不知火舞が参戦できない理由は? 様々な規制をされたゲームたち
マグミクス / 2022年11月11日 18時10分
■わかりやすく過激じゃなくても規制対象?
日本で販売されている家庭用ゲームのパッケージには、A〜D、Zと5種類のアルファベットが書かれています。これはゲームの表現内容に基づいて対象年齢を表示する、「年齢別レーティング制度」による年齢区分マークです。
この年齢区分は、「コンピュータエンターテインメントレーティング機構(略称CERO)」という団体によって定められており、最も厳しいZ区分のタイトルは、18歳未満の者は購入もできません。
同時に「恋愛」や「暴力」など、ゲーム中で対象となる表現も、アイコンでパッケージに表示されているなど、日本はゲームの表現に対する規制がしっかりとされています。今回は、CERO区分によって人気作品に出られなかったキャラクターのエピソードや、規制によって国内での販売がされていないタイトル、大きくストーリーが異なるタイトルを紹介します。
●銃や剣で戦うスマブラは、意外にも「CERO:A」
さまざまなゲームの人気キャラクターたちが熱いバトルを繰り広げるNintendo Switch専用ソフト『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』。銃や剣を使うキャラクターも多く登場しますが、流血もなく、デフォルメされている表現が中心であるため対戦アクションゲームでありながら、意外にもCEROは「A区分」です。
『スマブラ』は発売後も新キャラクターが追加されるたびに大きな注目を浴びていました。そのなかで、あるキャラクターが新規参戦した際、「CERO:A」がTwitterのトレンドに入った出来事があります。
2019年11月、「餓狼伝説」シリーズから「テリー・ボガード」が追加ファイターとして配信されることを踏まえ、特徴や性能をディレクターの桜井政博さん自らが解説する動画を公開しました。そしてテリーの参戦にともない、シリーズ関連作品からさまざまなゲストキャラクターが試合を観戦している……という仕様の新ステージ「KOFスタジアム」も追加されています。
しかし、そこにシリーズの看板女性キャラクターである不知火舞の姿はなく、桜井さんは「『スマブラ』は良い子のCERO:A(全年齢対象)なので出すことができなかった」と語りました。不知火舞は胸元が開いたセクシーなファッションという露出が多いキャラであり、桜井さんは小学生も遊べるCERO:Aのスマブラに登場させるのが難しいということを示唆していたのです。実際に露出度の高いコスチュームや水着がある場合はCEROの対象であり、「アイドルマスター」シリーズや『ラブライブ!』なども衣装が理由で「CERO:B」に指定されています。
『ゼノブレイド2』のホムラとヒカリも胸元が大きく開いた服を着ていましたが、『スマブラ』では開いた胸元が布で隠れているほか、インナーやタイツによって肌の露出が下がっているデザインへと変更されました。ホムラとヒカリの衣装変更は明確にCEROが理由だとはされていませんが、多くの人が遊べる『スマブラ』に新規参戦する以上、このような仕様変更も避けられないのかもしれません。
■グロ過ぎて国内では販売されていないゲームも?
「フェイタリティ(Fatality)」のシーンもしっかり再現されていた、2021年公開の実写映画『モータルコンバット』Blu-ray(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)
●「マリオ」シリーズ初のCERO-Bとなった『スーパーマリオ オデッセイ』
任天堂の看板シリーズのひとつ「スーパーマリオ」シリーズはこれまで全年齢である「CERO:A」とされてきましたが、2017年に発売された『スーパーマリオ オデッセイ』は初の「CERO:B(12才以上のプレイが推奨)」となりました。あくまでも「推奨」のためプレイが禁止されているわけではないものの、小学生が対象外とされたことに驚くファンもいたようです。
同作の「CERO:B」について、プロデューサーの小泉歓晃さんはインタビューで「リアルな街やタンク(戦車)が登場することからプレイする人の年齢が高めに見えてしまったのではないか」と語っています。実際に『スーパーマリオ オデッセイ』はさまざまな国をマリオがめぐるストーリーとなっていますが、そのなかには高層ビルが立ち並び、道路をタクシーが行き交う「ニュードンク・シティー」という近代的なステージがあります。
明確な理由は判明していませんが、街のリアルな姿を追求した結果、「マリオ」シリーズでもCEROの判定が1段階上がってしまったとも考えられそうです。
●グロ過ぎて国内では未発売!映画化もされた『モータルコンバット』
2021年に新しく実写映画化もされた『モータルコンバット』は、海外ではファンも多い対戦型格闘ゲームです。
『モータルコンバット』の大きな特徴は、相手にとどめを刺す演出「フェイタリティ(Fatality)」にあります。相手の脊髄ごと首を引き抜く、相手を凍らせて粉々に砕くなど、グロテスクな表現を理由に日本では近作が未発売となっています。
一部のシリーズではバットマンやスーパーマンなどDCコミックスのキャラクター、映画『エルム街の悪夢』に登場する殺人鬼フレディ・クルーガーが使用でき、新規のファンも獲得。海外では社会現象も巻き起こすほど人気を集めていますが、日本でプレイするためには海外版を輸入するなどの方法しかありません。
●ストーリーも大幅な変更!日本語版でカットされたブラックすぎるクエスト『Fallout3』
核戦争後の荒廃したアメリカを舞台にしたゲーム「Fallout」シリーズ。激しい銃撃戦や核の影響で変わり果てた動物や害虫の死骸も見られるため、これまでのCERO区分は当然ながら最も厳しい「CERO:Z」でした。そして、シリーズ3作目となる『Fallout3』は、2008年の発売前に日本版において「人体欠損表現と一部クエストの削除」という大幅な規制が発表されています。
『Fallout3』は序盤で不発の核弾頭が中心部に埋まっている街「メガトン」が登場しますが、海外版では核弾頭を解除するか、爆発させるかをプレイヤーが判断でき、爆破した場合は街が消滅、プレイヤーは別の街に住居をもらえるクエストがありました。しかし、日本語版では規制の対象となり、核弾頭の解除しか選べないようになっています。
そのほか、放射能の影響や実験で生まれたクリーチャーやミュータントは戦闘によって四肢が欠損する描写がある一方で、人間の敵は出血するものの欠損する表現はなくなっていました。「規制が多すぎる」と不満を持ち、海外版をプレイするシリーズのファンも見られましたが、その背景には「規制が多すぎるとこのシリーズ特有の雰囲気や面白さが失われる」という考えがあったようです。
(田中泉)
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