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授業中に夕飯の献立を考える小2女子 実録ヤングケアラーの日常に「胸が苦しい」

マグミクス / 2022年11月7日 11時10分

授業中に夕飯の献立を考える小2女子 実録ヤングケアラーの日常に「胸が苦しい」

■「大人の世話をする子供」の実態とは「こういう家庭がいっぱいある」

 8歳のゆいは、学校帰りにスーパーで食材の買い物をして帰宅しました。ごみだらけの部屋のなかで横になっていた母親は、子供に気付くと物を投げつけて叫びます。ゆいは隣の部屋に逃げ込んで静かになるのを待つのでした。母親は心の病気で、父親も仕事のため、ひとりで家事や家族の世話をするのが、ゆいの日常なのです……。

 実録マンガ『大人の世話をする子ども』がTwitterで公開されました。本作は書籍『私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記』の冒頭部分のエピソード。本書はいわゆる「ヤングケアラー」の実態を作者が当事者に取材し、個人が特定できないように描き下ろした作品です。作者は『こころのナース 夜野さん』を連載中の漫画家・水谷緑さん(@mizutanimidori)。

 読者からは「胸が苦しくなった」「世の中にはこういう家庭がいっぱいあるんだろうな」「娘さんが倒れたらどうなるんだろう」「父親にモヤモヤした」「母親を入院させるべき」などの声や、「うちもそうだった」「幼い頃の私を見ているよう」「当たり前だったから困るも何もなかった」など、経験者からの声も寄せられました。Twitter投稿は3.6万いいねの反響が集まっています。

 作者の水谷緑さんに、お話を聞きました。

ーー水谷緑さんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。

 広告制作会社で会社員として働いていたのですが、29歳の時に、「30歳になる前に何とかせねば」と急激に焦り出し、元々やりたかったマンガを描こうと思いました。27歳の時に父が亡くなって、人は本当に死ぬから、死ぬまでに本当にやりたいことやらなきゃ、みたいな思いもありました。

 でも絵が下手ですし、マンガを描く自信や根性もないので、コミックエッセイなら描けるかなと思ってコミックエッセイの賞に応募しました。弟が研修医をやっていたのですが、弟の話が面白かったのでそれをマンガにしました。

ーー『私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記』のお話は、2年以上の取材を経て描き下ろされたそうですが、この作品を描くことになった経緯や、お話の内容について教えて下さい。

 編集さんから提案してもらいました。自分は妊娠して出産した時でしたので、子供がかわいそうな話を聞いたり描くのは気が重いなと思ったのですが、実際にヤングケアラーの方に接してみると、精神年齢が高いというか、自分の言葉を持った魅力的な方ばかりで、引き込まれて取材するようになりました。

 内容はざっくり言うと、前半はヤングケアラーの実態(感情をオフにしていく)、後半はどう自分を作っていくか(感情を取り戻していく)というお話です。

実録コミック『私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記』 (C)水谷緑/文藝春秋

ーー取材するなかで感じられたことや、マンガを描くにあたって心がけたこと、力を入れたことなどについて教えて下さい。

 子供と大人の役割が逆転していることに本当に驚きました。お母さんがお会計前にスーパーで飲み物を取って飲んでしまうので、小1の子供がフォローしたりとか、そんなことあり得るの? と思うことばかりでした。ヤングケアラーは小学生の15人にひとりというデータもあって、自分が小学生だった時も、クラスにふたりくらいいたのかなと思ったりしました。全然気付かなかったですが……。

 マンガを描くにあたっては、子供が「かわいそうな弱者」に見えないように心がけました。話を聞くなかで実感したのは、子供はプライドが高いということです。簡単に助けは求めないですし、子供なりにいろいろと対処法を身につけているなと思いました。

 つらい時は親が死んだところを妄想してやり過ごしたり、あえて大人を怒らせて自分に注意を引かせたり……したたかで負けてないなと思いました。そういう子供のたくましさを大事にして描こうと思いました。

ーー『大人の世話をする子ども』にはたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

「自分も同じような経験をした」という声が意外と多くて驚いています。「ヤングケアラーではないが、心情面は共感できることがたくさんあった」という意見もよく聞くので、状況は違えど、子供の頃、大人に気を遣って合わせてきた人はたくさんいるのかなあと思いました。

ーー『私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記』をどんな人に読んでもらいたいですか? また、読者へのメッセージがあればお願いいたします。

 子供の頃に大人に気を遣っていた人、人に合わせてしまう人、自分がやりたいことがよく分からなくなってる人に読んでもらいたいです。ルビを振っているので、現在進行形の子供、そして教育者、医療者などの支援者にも読んでもらえたらうれしいです。

 精神科を7年取材し、人間の内面について考えてきましたが、そこで得たことを詰め込んでいます。何かしら役に立つことがあるように描いているつもりなので、伝わったらうれしい限りです。

ーー今後の創作活動について教えて下さい。

 これからも、その時に自分が知りたいことを取材していろいろ描いていきたいです。今は「性」をテーマにしたマンガを準備中で、2023年から新連載予定です。

(マグミクス編集部)

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