『水星の魔女』を見た古参ファン「こんなのガンダムじゃない!」←今にはじまったことではない?
マグミクス / 2022年11月1日 6時10分
![『水星の魔女』を見た古参ファン「こんなのガンダムじゃない!」←今にはじまったことではない?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_119041_0-small.jpg)
■アナザーガンダムは「異色」だらけ? 当時の時代背景を取り込む挑戦的な作品群
1979年に富野由悠季監督(当時は「富野喜幸」名義)によって生み出された『機動戦士ガンダム』は、その後、さまざまな作品に派生しながら現在まで世界中で人気を博し続けています。ガンダムシリーズは一作目から続く「宇宙世紀シリーズ」とそれ以外の世界観である「アナザーガンダム」、ガンダムのプラモデルをテーマとする「ガンプラ系」の3つに大別できます。
『水星の魔女』はアナザーガンダムの最新作品です。『水星の魔女』に対してしばしば「ガンダムじゃない」という古参ファンの声も聞かれますが、ガンダムにはさまざまな概念があり「宇宙世紀シリーズ=ガンダム」と考えている人にとっては「『水星の魔女』はガンダムじゃない」という論理が成り立つというわけです。
ただ、TV放送を中心に展開するアナザーガンダムは「新規ファンの獲得」という重要な目的があり、そのために従来のカタチに捉われないガンダムのあり方や斬新な世界観を創造し、その要素として当時のサブカルを取り巻く時代背景を積極的に取り入れてきました。だからこそ、その最新作である『水星の魔女』は宇宙世紀シリーズはもちろん、他のアナザーガンダム作品とは異なるテイストであって当たり前とも考えられるのではないでしょうか。
●子ども人気を狙った『機動武闘伝Gガンダム』
アナザーガンダムの第一作目にして、今も根強いファンが多い熱血格闘バトルアニメが『機動武闘伝Gガンダム』です。ガンダムに搭乗して世界の猛者たちと「ガンダムファイト」を繰り広げるストーリー、骨太で熱血漢な主人公のドモン・カッシュ、ド直球な告白と衝撃の必殺技名など、リアル志向でシリアスな展開が多い宇宙世紀シリーズのイメージを文字通り「ぶち壊す」ほどのインパクトを視聴者に与えた作品です。
そんな『機動武闘伝Gガンダム』のキモである格闘要素は『ストリートファイターII』から取り入れています。同作品は1991年にアーケード版で大ヒットし、その後、約5年に渡ってスーパーファミコンなどの家庭用ゲームで展開。『機動武闘伝Gガンダム』は1994年4月から放送開始なので、格闘ゲームに熱中する子どもを獲得するにはもってこいの題材だったというわけです。
●女性のアニメファン獲得の先駆けとなった『新機動戦記ガンダムW』
『機動武闘伝Gガンダム』に続く、アナザーガンダムの二作目である『新機動戦記ガンダムW』も新規ファンの獲得に大きく貢献した作品です。ガンダムの扱いが雑、量産機に乗る機会が多い主人公、実在する軍人・思想家の言葉を作中に幾度も引用するなど、宇宙世紀シリーズだけでなく前年まで放送されていた『機動武闘伝Gガンダム』とも全く異なる作風となっています。
そのなかでも特別なのが主役級の5人の美少年の存在でしょう。寡黙な主人公である「ヒイロ・ユイ」をはじめ、心優しく穏やかな性格の金髪碧眼キャラである「カトル・ラバーバ・ウィナー」など、魅力的な美少年がよりどりみどり。その甲斐もあってか、多くの女性ファンの獲得に成功したのです。制作陣は最初から女性受けを狙っていたわけではないようですが、当時、女性人気が高かった『幽☆遊☆白書』のアニメなどの影響も上手に取り込んだと考えられます。
●令和の若者を取り込む『水星の魔女』
水星の魔女における斬新な要素も、昨今のアニメやマンガで女性主人公や男女のW主人公の作品の増加やいわゆる「百合アニメ」が1クールに一本は放送される環境を考慮して盛り込まれたのではないでしょうか。また、最初から主人公機が超強力なオールレンジ兵器であるガンビットを展開できるというのも「なろう系」のアニメなどに慣れ親しんでいる新規ファンにとっても、ガンダム作品というハードルを低くできるとも考えられます。
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