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新作映画『スラムダンク』声優交代にファン激怒の理由 炎上を避けるにはどうすべきだったか

マグミクス / 2022年11月7日 15時10分

新作映画『スラムダンク』声優交代にファン激怒の理由 炎上を避けるにはどうすべきだったか

■人の記憶は音声に強く紐づけられている

 2022年11月4日、12月3日(土)から公開予定である『SLAM DUNK(スラムダンク)』の新作映画『THE FIRST SLAM DUNK』の最新情報が解禁特番配信で公開されました。

『SLAM DUNK』は井上雄彦先生が1990年から「週刊少年ジャンプ」で連載した大ヒット作品です。1993年から1996年にかけてはTVアニメ化され、全101話に加えて4度の劇場アニメ化も果たしており、マンガ・アニメの歴史にその偉大な名を刻んでいます。

 単行本21巻から23巻までの初版発行部数は当時最高の250万部を記録しており、当時は中学高校のバスケ部に入部希望者が殺到しすぎ、練習すらままならないほどの熱狂を少年少女たちにもたらしました。

 そんな多くの人の心のなかに、青春の思い出として刻み込まれている作品の新作が作られるのです。自然と、期待は高まります。しかし、ある情報の公開と共に、SNSには怒りの声が満ちあふれてしまいました。主人公の桜木花道たち「湘北メンバー」5人の声優が、全員交代すると明かされたのです。

 声優の交代自体は珍しい話ではありません。先日、2年にわたる再アニメ化を終えた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』は1991年に1度目のアニメ化が行われていますが、新作では新たな配役が行われ、特に問題なくファンにも受け入れられています。

 これは「1話から全編リメイク」という違いとあわせ、第1作で主人公のダイ役を務めた藤田淑子さんが2018年に惜しまれつつも他界されたことも、大きな要因のひとつとなっているでしょう。再び演じてもらいたくても、どうにもなりません。なお、藤田さんは2019年に発売されたゲーム『JUMP FORCE』でダイ役を演じており、これが遺作となっています。収録は2018年と思われるので、足掛け27年にわたりダイ役を演じてくれました。

 対して『SLAM DUNK』はTVアニメ版の桜木花道役・草尾毅さん、流川楓役・緑川光さん、赤木剛憲役・梁田清之さん、宮城リョータ役・塩屋翼さん、三井寿役・置鮎龍太郎さんの5人全員が現役で活動しています。塩屋さんは講師や音響監督へと仕事が移行しているようですが、今もたまにですが声の仕事もされているようです。

■突然の声優変更は、思い出への不意打ち

発表されたメインキャスト (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 また、声優交代が発表される前から前売りチケットの販売が開始されていたこと。現在千葉テレビやテレビ愛知などでTVアニメの再放送が行われ、過去の記憶が呼び覚まされた方が多かったことなど、さまざまな理由から否定的な意見がSNS上に数多く投稿されてしまったと思われます。

 アニメは映像とストーリー、音声で構成されていますが、このなかで最も強く心に刻まれるのは「音声」です。子供の頃に見たアニメのストーリーは忘れてしまっても、オープニングやエンディング、キャラクターたちの声はいつまでも心のなかに残り続けています。苦しい時に安西先生の「あきらめたらそこで試合終了だよ」という声が響いたことがある方もいるでしょう。

『SLAM DUNK』のような青春の1ページとなっている作品のキャラクターであれば、その多くの声が25年以上も頭のなかで生き続けているのです。その声が別人のものになると聞かされれば、否定したくなる気持ちが湧くのも当然と言えるでしょう。

 突然の声優変更は、思い出への不意打ちです。慎重にやらなければ、ファンがアンチへと一瞬で変化する危険性を秘めています。『SLAM DUNK』のような青春の記憶とリンクした大ヒット作であればなおさらです。

 とはいえ、さまざまな事情から声優の交代をしなければいけないことが多いのもまた事実です。TVアニメ『クレヨンしんちゃん』では、長く主役のしんのすけ役を務めた矢島晶子さんが、「しんのすけの声を保ち続けることが難しくなった」ことを理由に降板しましたが、このときは炎上していません。その理由としては降板が矢島さん自身の意志だったことと、降板理由に多くの人が納得したためでしょう。

 また、現在放送中の『うる星やつら』では、メインキャストは変更されたものの、旧作のキャストである古川登志夫さんと平野文さんが親の役で登場するなどリスペクトがうかがえます。

 今回の場合は、やはり前もって声優交代について示唆しておくべきでした。交代に明確な理由があれば、大半のファンは残念に思いながらも納得してくれるものです。

 声優とファンに、誠意をもって対峙する。それだけ守れていれば、良いのだと思います。

(早川清一朗)

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