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思わず「ヨシヨシ」したくなるウルトラ怪獣たち 実際は「切ないエピソード」が多い?

マグミクス / 2022年11月19日 9時10分

思わず「ヨシヨシ」したくなるウルトラ怪獣たち 実際は「切ないエピソード」が多い?

■ヒーローより応援したくなる怪獣もいる?

 円谷プロのウルトラシリーズに登場する「ウルトラ怪獣」たちは、造形も個性も豊かで、シリーズ人気を支える存在です。すぐに思い浮かぶのはバルタン星人、エレキング、ゼットン……といったスター格の怪獣かと思いますが、なかには怪獣とは名がつくものの、思わず「いい子いい子」してあげたくなるような、カワイイ怪獣たちもいます。

 たとえばピグモン、カネゴン、快獣ブースカ(厳密にはウルトラ怪獣ではありませんが)……などなど。この記事では、そんなカワイイ系怪獣のなかでも、人間の住む世界で暴れざるをえない物語を背負った、ちょっと切ない「せつなカワイイ」怪獣を3体ご紹介します。

●カンガルー怪獣「パンドラとチンペ」

『ウルトラマンタロウ』第22話「子連れ怪獣の怒り!」回に登場したパンドラとチンペは、カンガルーに似た(顔はむしろコアラよりかも?)怪獣です。母親パンドラのお腹の袋から子どものチンペが顔をのぞかせている愛情あふれる姿は、カワイイのひと言。とくにチンペは、造形的にやや添え物感があり、まるで10年以上も子どもに抱っこされてきたぬいぐるみのようなボロボロ感で、胸が熱くなります。

 親子は優しくおとなしい怪獣なのですが、心ならずも暴れ回り、ウルトラマンタロウと戦うことになってしまいました。それは……ちらりと見かけた怪獣の姿に驚いた女性が崖から落ちてしまい、夫が捜索しても見当たらないことから「あの怪獣に食われたんだ」と思い込み、猟銃で子どものチンペを撃ち殺してしまったからなのです。本当はパンドラとチンペは、怪我した女性に薬草を塗って介抱してくれていたというのに。勝手に驚いて勝手に落ちて、勝手に思い込んで殺してしまうなんて……。

 子どもを殺された悲しみで、パンドラは凶暴化し暴れ回ります。宇宙警備隊ZATが総攻撃をしかけ、ウルトラマンタロウとの戦闘シーンに突入するのですが……ついつい思ってしまいます。「タロウ!そこは戦うんじゃなくて、パンドラをぎゅっと抱きしめてあげるところなんじゃないのかぁ!」と。

 最後は、この出来事の元凶ともいえる女性に「いい怪獣だから殺さないで」と言われたタロウが、リライブ光線でチンペを生き返らせ、パンドラの傷も癒やして、ちゃんちゃん。複雑な気分ながら、パンドラとチンペの抱擁にはこみあげてくるものがあります。

■「ダウンタウン」浜ちゃんに激似のウルトラ怪獣も切ない

ジャケットの右下にM1号の勇姿が見えるDVD「ウルトラ怪獣大百科 ウルトラQ」(日本コロムビア)

●わんぱく宇宙人「ピッコロ」

 こちらは『ウルトラマンタロウ』に登場する宇宙人。第46話「白い兎は悪い奴!」に登場するピッコロは、旅行が大好きなピッコラ星雲のプリンスで、60年に一度のハーシー大彗星に乗って地球を見に来たら、うっかり地球に落ちちゃったという、少しおっちょこちょいな宇宙人です。見た目はピノキオのような男の子で、プリンスらしく、ポンポンのついた帽子にマントなど、ちょっとゴージャスな衣装をまとっています。

 そんなピッコロも地球で大暴れすることになるのですが、理由は、地球の少年が飼っていたウサギを、生き物嫌いの大家さんが毒殺するというショッキングな場面を見てしまったから(その時なぜかピッコロも苦しんでいましたが、共感力が強いのでしょうか?)。「あんな小さな動物に毒を盛るなんて」と怒りに震えたピッコロは、巨大化して暴れ始めたのです。

 木槌でガスタンクやビルを破壊しまくり、高い鼻から火の玉を放ち……ウルトラマンタロウと死闘を繰り広げた後、ピッコロは叫びます。「地球なんか嫌いだ、地球人は汚い!」。対してタロウは「その汚さも、美しい心を引き立てるためにあるんだ!」と。いや、そうなんでしょうか? そうなんですか、タロウ?

 最終的にピッコロは、ヘトヘトに疲れて再びハーシー大彗星に乗って帰って行きましたが、小さな生き物のために本気で怒れるピッコロは、カワイイだけでなく頼もしくも思えました。

●人工生命「M1号」

『ウルトラQ』第10話「地底超特急西へ」に登場するM1号は、顔がぺちゃっとして唇が腫れたゴリラ、のような風貌の愛らしいウルトラ怪獣です。「ダウンタウン」の浜田さんに似ていると話題になったこともあるので、ご存じの方も多いかもしれません。

 もともとM1号は、まだどんな姿になるかもわからないゼリー状の人工生命体で、細胞分裂をさせないために高圧ボンベに詰められ、ジュラルミンケースで大阪の研究所に運ばれる予定でした。それが、荷物の取り違えで地底超特急「いなづま」に乗せられてしまったのです。「いなづま」は新東京から神戸、北九州を最高時速450km、わずか3時間で結ぶ世界最高速列車。その日が試運転とあってたくさんの記者が招待されていました。

 偶然に偶然が重なって、カメラのフラッシュを受けたM1号は細胞分裂を始め、浜ちゃんチックなゴリラ然とした姿にまで成長してしまいます。しかし、身体は大きくても、中身はまだ生まれたばかりの子ども。好奇心いっぱいで計器などをいじり倒し、ついには「いなづま」を制御不能にまでしてしまうのです。

 知能の方も成長してきたのか、次第に状況を把握したようで、頭を抱えてアワアワする姿がなんともカワイイ!そして、悪気がまったくない無邪気な結果なのが、切ない!

「いなづま」が北九州の車止めに激突して大爆発した勢いで、M1号は宇宙の彼方に飛ばされ、「わたしはカモメ、わたしはカモメ」(女性初の宇宙飛行士・テレシコワの言葉)とつぶやきながら広大な宇宙空間を漂っていました。幼児から大人にまで急速に成長し、宇宙にひとりぼっちで放り出されたM1号を思うと、なんともやるせなく、夜空を見上げたくなってきます。

「カワイイ」の基準は人によってさまざまかもしれませんが、ウルトラシリーズにはほかにもカワイイ怪獣たちがたくさんいます。配信で見られる番組も多いので、あなたもウルトラ怪獣たちのカワイイ姿を見つけてみませんか?

(古屋啓子)

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