「プレイは自己責任」名作ゲーム3選 トラウマ展開・衝撃ラスト…でもカルト的人気!
マグミクス / 2022年11月20日 19時50分
■人を選ぶ衝撃作をお届け。プレイは自己責任で!
ゲームに限った話ではありませんが、広くお勧めできる名作が注目を集め、多くの人に知られ愛されています。ですが、世の中そうした作品ばかりではありません。
名作の影に隠れたゲームのなかには、刺激的過ぎておいそれと誰かに勧められない作品もあります。そうした衝撃作は、相性が合えば一生忘れられない出会いとなりますし、全く合わない場合はトラウマになる可能性すら秘めています。
筆者も長年ゲームに関わったことで、人によって評価がきっぱりと分かれそうな作品にいくつも触れてきました。その経験から、忘れがたい衝撃を受けた3作品を厳選して紹介します。
ただし、その衝撃的な部分に迫るため、必然的にネタバレが含まれます。また、内容によっては不快に感じる恐れもあるので、本記事の閲覧と各作品のプレイは自己責任でお願いします!
『リンダキューブ アゲイン』の衝撃度は、プレイ経験を持つユーザーの脳裏に色濃く刻まれた
●「愛するふたりは、いつも一緒」のセリフが心底恐ろしい『リンダキューブ アゲイン』
最初に紹介するのは、プレイステーションソフト『リンダキューブ アゲイン』。本作は、破滅が確実に訪れる惑星「ネオケニア」からの脱出準備に人々が追われるなか、この惑星の動物たちを集める任務を背負った主人公「ケン」と幼馴染の「リンダ」が辿(たど)る日々とドラマを描くRPGです。
世界の破滅が迫るRPGはいくらでもありますが、崩壊の理由は大魔王や悪魔ではなく、宇宙規模の自然現象。また、モンスターと戦う理由も「種の保存」という側面があり、一般的な王道RPGと大きく異なります。また、RPGには珍しい奇抜な設定が並ぶ一方で、RPGの魅力であるバトル・冒険・コレクションといった楽しみが整っており、優れたゲーム性も魅力のひとつでした。
そんな『リンダキューブ アゲイン』の衝撃的なポイントは、シナリオにあります。その例を挙げればきりがないほどですが、シナリオAで待ち受けるラスボスの存在が特に強烈でした。というのも、シナリオAで戦う最後の敵は、リンダの父親「ヒューム」なのです。
親子での戦いは、RPGではそれほど珍しい話ではありません。しかし、衝撃的なのはここから。ヒュームは妻のアン(つまり、リンダの母親)を愛していましたが、とある事情から離婚。そのアンが、なんとヒュームの胸部に生きたまま埋め込まれていたのです。
ヒュームが上着をはだけると、そこには上半身だけかろうじて露出し、残りはヒュームの体内に融合しているアンの姿が。彼女はヒュームの狂気性に気づいており、リンダに逃げるよう促しますが、その発言に激怒したヒュームは両腕で胸を圧迫。人としてのあり方を奪っただけでなく、アンの命すら奪う横暴さを見せます。
しかも自分が手を下したにも関わらず、血にまみれたアンを見るなり「誰がこんなことをした!?」と激怒するヒューム。よく知っていた近しい人物が、話の全く通じない狂人へと変貌した恐ろしさは、その見た目の異質さも相まって、言葉を失うほどの衝撃でした。
ちなみに、ヒュームはケンたちと行動を共にする時期がありますが、この時にはもうアンを融合していたものと思われます。つまりプレイヤーは、アンと一体化したヒュームと一緒に冒険をしていたことになり……その状況を想像するかどうかは、あなたの判断にお任せします。
■精神に影響を及ぼす鬱ゲーや、ちゃぶ台返しなスーファミソフトも
●プレイヤーをも魅了し、底知れぬ恐ろしさを放つ『serial experiments lain』
続いて紹介する『serial experiments lain』もプレイステーションソフトです。同名のアニメも制作されたメディアミックス作品ですが、媒体が違うだけでなく、その切り口も両者で大きく異なります。
ゲーム版『serial experiments lain』について簡単に説明すると、カウンセリングを受けている少女・岩倉玲音の日々を追いかけるというもの。ただし、プレイヤーが玲音の立場になったり、直接彼女とコミュニケーションするわけではありません。ネット上に置かれた音声やムービーなどを閲覧し、彼女に何が起きたのかをデータから探っていくゲームになります。
その表現方法自体が独特ですが、内容はそれに輪をかけて衝撃的です。情報を読み進めていくと、玲音がいじめをきっかけに登校拒否になり、インターネットを拠り所にするもそこでも傷つけられ、追い詰められていく過程がプレイヤーに突きつけられます。
また家庭環境もかなり厳しく、玲音が慕っていた父親は離婚し、彼女の前から姿を消しました。そのため玲音は、プログラミングで「父親」を作り始め、さらにロボット的な肉体すら用意。そのグロテスクな造形の「父親」に安堵を抱いたかと思えば、鼻歌まじりに鉄パイプで殴打する玲音の姿を捉えたムービーもあり、彼女だけでなくプレイしているこちら側の精神もかき乱されかねません。
そして、彼女を診ていたカウンセラーの米良柊子も、玲音との関わりや身に起きたいくつもの不幸な出来事に背中を押され、徐々に心を病んでいきます。その結果、自らの手でその命を絶つという悲劇的な展開を迎えました。
知れば知るほど、底が見えない「玲音」という異質な存在。自分だけでなく、柊子のように彼女と関わった人物すら破滅させてしまいます。そして……プレイヤーもまた、玲音と深く関わった人物のひとり。そう、このゲームを通して玲音は、プレイヤーすらも巻き込む結末を提示し、震え上がらせたのです。
さすがにその部分のネタバレは避けておきますが、少しでも鬱傾向のある人は、『serial experiments lain』に決して手を出さないようにお願いします。ある種のネタフリや盛った表現ではなく、冗談抜きで心身に影響を与えかねないと個人的に強く感じた1本です。
しかし、そうした懸念を抜きにすれば、非常に意欲的な作品なのは間違いありません。単純にゲームとして見ると、考察好きな人以外には娯楽性が低いものの、世界観の作り込みや演出は非常に秀逸。技術的・性能的に物足りない部分もありますが、時代を先駆けし過ぎたセンスゆえの弊害とも言えるでしょう。
『serial experiments lain』ほど、遊ぶ人を選び、相性が合うプレイヤーにとって忘れられない作品はまずありません。
●ゲームだからこその衝撃体験! 誰もが驚いた『アルバートオデッセイ』
ここまでの2本が、「人を選ぶにもほどがある!」と言われても仕方がない作品だったので、最後はグロやサイコ、また精神的なものではなく、ゲームだからこその衝撃度に全振りした作品『アルバートオデッセイ』で締めくくりたいと思います。
スーパーファミコンソフト『アルバートオデッセイ』は、世界征服をたくらむ大魔導師「オズワルド」の野望を阻むべく、勇者の血を引く「アルバート」、宮廷魔術師「ソフィア」、僧侶の「ノイマン」が旅立つ王道的なRPGです。
ただし一般的なRPGと違う点もあり、最たる例はフィールド全体がヘックス型のマス目で仕切られている点です。敵と接触するとマス目上でバトルするゲームもありますが、本作の場合は街から街といったフィールド移動も、ターン制でヘックスを移動する形になります。
このように特徴的なゲーム性を持ち合わせていますが、衝撃的なのはゲーム部分や本編のシナリオではなく、本作のエンディングに潜んでいます。経過は省略しますが、手ごわいラスボスとの戦いを制したアルバートたちは、その成果を王に報告。そして、平和な日常へと戻っていきます。
王城を去ろうとするアルバート、彼を追いかけて「一緒に連れていって」と告げるソフィア、そんなふたりにあてられて「俺は先に行くぜ」と気を利かせるノイマン……RPGの締めくくりに相応しい光景です。
──ですが次の瞬間、街の外に出たはずのノイマンが激しく吹き飛ばされます。何事かとアルバートが街の外に出ると、フィールドマップのヘックスを埋め尽くすほどの敵に包囲されてしまいました。しかも敵の姿は、先ほど倒したラスボスと同一の見た目。あれだけ手こずったラスボスの大群に囲まれる景色は、まさに悪夢のような光景です。
また街のなかでは、吹き飛ばされたノイマンの姿が消失。死亡を思わせる演出です。この残酷な光景を目の当たりにしたソフィアは、絶望の声を上げ……そしてスタッフロールを挟んだ後、そこには倒れたソフィアと駆け寄るアルバートの姿が。
「目を覚ましてくれよ、ソフィア」と呼びかけても返事はなく、そして画面には「END」の文字。唐突過ぎる絶望に、プレイヤーも声を失うしかありませんでした。
アンハッピーエンドのゲーム自体はいくつもありますが、そうした作品はそのきっかけや経緯が作中でしっかりと描かれています。しかし『アルバートオデッセイ』の場合は、ラスボス撃破まで王道的な流れだったのに、ラストのラストですべてをひっくり返す悲劇を提示。しかも、その悲劇の理由や背景も分からないままなので、衝撃を受けた心の行き場がどこにもありませんでした。
後に続編が出て、該当シーンの先までしっかり描かれたものの、幸せな結末をまるごと塗りつぶしたエンディングは、鬱ゲーと言われても仕方がない衝撃展開でした。
●プレイは自己責任、しかし遊ぶ価値のあるゲームはいつの世も尽きず
今回は3本を取り上げましたが、衝撃的な作品と言えば『バハムートラグーン』『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』『フロントミッション』『ドラッグオンドラグーン』など、代表的な作品がいくつもあります。
あなたは、どんな作品で衝撃を受けましたか? 自己責任の上でお勧めしたいゲームなどを、この機会に振り返ってみるのも一興でしょう。
(臥待)
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