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『シャーマンキング』新旧主人公の性格が違いすぎる理由 「個性」と言いきれない側面も

マグミクス / 2022年11月17日 19時50分

『シャーマンキング』新旧主人公の性格が違いすぎる理由 「個性」と言いきれない側面も

■息子・麻倉花は麻倉葉とは対称的な性格

 2022年11月発売の「少年マガジンエッジ」12月号は、残念ながら『SHAMAN KING THE SUPER STAR』が休載です。作者の武井宏之先生はマンガだけでなく、イラスト、キャラクター原案、メカデザインなど広く活躍されているので、そういったプロジェクトに携わっているのかもしれません。体調不良などではないようですから、次回を気長に待ちたいと思います。

 さて、2022年の春先にTVアニメ『SHAMAN KING』の放映が終了し、それと同時に続編の制作決定PVが流れるという衝撃の展開がありました。筆者がアニメ『SHAMAN KING』の制作に関わっていた当時、続編の企画は具体的ではなかったので(筆者が知る限り)、勝手な推測ですが、2023年の夏ごろに正式な発表、2024年の春あたりに放映開始なのではないでしょうか。

 続編の主人公は、原作の続編として描かれた『SHAMAN KING FLOWERS』の主人公、麻倉花であると見られています。もし24年春の放送となれば、ちょうど花の咲く季節ですから、麻倉花にはお似合いの時期です!

 とはいえ、それまでの間にポロポロと「おこぼれ」情報が出てくるのもまたよくある話なので、来月あたりそういうことが起きないか……と淡い期待をしつつ、今回は『SHAMAN KING』の主人公・麻倉葉とその息子、麻倉花の「新旧主人公比較」をしてみたいと思います!

 TVアニメ『SHAMAN KING』公式サイトで観ることができるPVでは、争いを好まず「毎日のんびり楽に暮らしたい」と考える葉に対し、花は好戦的に描かれています。不良たちに囲まれても敵意をむき出しにして迎え撃つ勢いです。

 この描写に限らず、花は後先を考えずに突っ走っていろいろ「やらかす」性格で、周囲は扱いに手を焼くものの、それが状況を打破する力ともなる人物として描かれています。

「なんとかかる」とユルく過ごしている葉とは対称的な性格に見えますが、実は単なる「個性」とは言いきれない事情があります。それは、シャーマンファイトを知らずに生まれたこと、14歳という多感な時期に父親と比べられることへの反感、そして父親を超えたくても超えられない苛立ち……といったもので説明することができます。

 読者のみなさんの実体験、もしくは子育て中の親御さん読者の苦労とシンクロしそうなキーワードだと思いませんか? これらを掘り下げていきましょう。

■キャラクター造形には「時代」を反映している?

『SHAMAN KING FLOWERS』のエピソードを受け継いで現在連載中の『SHAMAN KING THE SUPER STAR』では、麻倉花の成長や、ともに戦う仲間らとの関係性が丁寧に描かれる

 まず、花が生まれたのは2000年のシャーマンファイトが終わった後です。次のシャーマンファイトは500年後なので、彼がどれだけ長生きでも参加できません。つまり花の役割は麻倉の血を繋いでいくことですが、聞こえはいいものの、それだけの人生とも言えます。

 物心ついたときからシャーマンキングを目指して修行し、現在の花と同じ14歳でシャーマンファイトの戦いに身を投じていた父親とはまるで環境が異なります。もちろん家を存続させることは重要な目標ですが、特に現代では実感が湧きません。好きに生きられるわけでもなく、答えもよくわからない状態に、花は言いようのない「追い込まれ感」を抱いていたかもしれません。

 しかしそんなことはお構いなしに、周囲は花を父親と比べます。実際は違いますが、本人はそうだと思っています。葉はシャーマンキング・ハオと対等に話ができる数少ない人間、母のアンナも世界屈指のシャーマンで、ふたりの実力は並外れています。反抗期であるこの時期、親と比べられることには過剰に反発するものですが、これでは拳を振り上げる前に諦めてしまいかねないレベルでしょう。

 そして、人間の成長のひとつは「親を超えること」だとよく言われます。例えば店を継いで親の代以上に盛り上げるとか、多くの年収や地位を手に入れるなど、「超え方」はさまざまですが、花の場合は「親よりも優れたシャーマンである」ことがポイントになる筈です。しかしこのハードルは高すぎます。ましてや花には、実力を磨いたり試したりする機会が与えられていません。

 このような「自分の責任」とは思えない事情が重なって身動きが取れずにいる少年が、麻倉花です。そしてこの人物像は現代の青少年の境遇に通じるものがあると思われます。『FLOWERS』の初出は2012年ですが、現在の世界でもこの傾向は続いていると言えるでしょう。

 武井先生のキャラクター造形は時代を反映していることが多く、麻倉葉も「戦って1番になることが良いわけではない」という価値観の多様性が浸透し始めた1990年代末に、それを反映して生まれています。

 葉と花の違い、そして花が現代風のキャラクターであることがおわかりいただけたと思います。そんな花に突如として非日常が訪れた時、彼が何を得てどう成長するのか描かれているのが、『FLOWERS」やそれ以降の物語なのです。早く「続編」の詳細情報を知りたいものですね!

 それでは今回はこの辺で! 次回もよろしくお願いします!

●タシロハヤト

美少女ゲームブランド「age(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。

(タシロハヤト)

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