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勝者よりも尊い? 『刃牙』でカッコ良く負けた戦士たち

マグミクス / 2022年11月28日 18時10分

勝者よりも尊い? 『刃牙』でカッコ良く負けた戦士たち

■意識を失っても自分を曲げない姿に感動

 どれだけ激闘を繰り広げても、敗者の散り際が残念だった場合、名勝負とは呼べません。多くの名勝負が繰り広げられてきた格闘マンガ『刃牙』シリーズでは、勝者以上に印象に残る敗者が生まれた戦いも存在しました。そんななかでも、特にかっこいい負け方をした戦士たちを紹介します。

●「負けても貫く侠客立ち」花山薫:『グラップラー刃牙』27巻

『刃牙』シリーズ屈指の人気キャラである花山薫は、若干19歳で暴力団の組長を務める素手喧嘩(ステゴロ)の天才です。「強者として生まれた自分が格闘技を習得することは、不意打ちに等しい」という理由で、トレーニングを一切していない花山は、第1部『グラップラー刃牙』の「最大トーナメント編」で、かっこよすぎる負け方を見せました。

 武神・愚地独歩の養子で「空手界の最終兵器」「空手を終わらせた男」と呼ばれる愚地克巳と、トーナメントの2回戦で対戦した花山。空手の防御が通用しない打撃、四肢を上下から握り破裂させる握撃、克巳が繰り出した数々の必殺技を受けきるタフネスなど、花山は持って生まれた資質だけで戦い、克巳を圧倒しました。

 明日を考えず、命懸けで全てをぶつける花山の姿勢からくる強さに、克巳は感銘を受けます。克巳は天才と呼ばれて、驕(おご)っていた自分を反省。そして、範馬勇次郎との戦いのために隠しておいた、全身の関節の加速を利用した音速の突き「マッハ突き」を花山に捧げる決意をするのです。

 花山の背中には、かつて一夜の宿の恩返しに命を賭して先祖を助けてくれた旅の博徒を任侠の鏡として崇める、「侠客立ち(おとこだち)」の刺青があります。何発ものマッハ突きを受け、力尽きそうになりながらも立ち向かってくる花山に、最後の一撃を放つ克巳。花山は、致命傷になりかねないその一撃を、最も信頼している背中の「侠客立ち」で受け止め、立ったまま気絶し決着となりました。

 克巳は花山戦の後、ダウンしている相手に止めを刺さない花山の戦い方を振り返り、「たった一度勝つために三度も敗けた」と語りました。そして、「闘うって……いいなァ」と漏らします。克巳の闘いへの姿勢にまで影響を与えた花山薫の敗北は、シリーズ屈指の名場面として人気です。

●「最後までスマートな男」龍書文:『バキ』第24巻

 刃牙や勇次郎が、100年に一度の中国武術界最強の「海皇」を決める大会に参加する第2部『バキ』の「中国大擂台賽(ちゅうごくだいらいたいさい)」編では、さまざまな技を持つ海王たちとの戦いが描かれました。そして、中国人海王たちの敗北が相次いだ結果、急きょ「中国連合軍vs日米勝ち残り組」のチーム戦が始まります。その1試合目で、規格外の筋肉を持つビスケット・オリバと闘った凶人・龍書文(ろん・しょぶん)の負け方は印象的でした。

 裏社会での戦い含め生涯無敗の龍は、常にズボンのポケットに手を突っ込んだハンドポケット状態で待機し、手の位置をそのままに腰をきることで最少最速の動きで拳を放つ、居合のような抜拳術を使います。そこから繰り出される貫手は、ショットガンも通じないオリバの腹筋を切り裂くほどの鋭さを持っていました。

 苦戦するなか龍のスタイルを真似てハンドポケット状態をとったオリバは、龍とは対称的にゆっくりと攻撃を繰り出します。そしてオリバは、猛攻を自慢の筋肉で受けながら龍の頭をつかむと、その顔に強烈な頭突きを見舞ったのです。

 さらに鼻が折れながらも繰り出した龍の反撃は、本気で固めたオリバの腹筋によって阻まれ、逆に指が折れてしまいます。最後は何発も頭突きを受け続けた龍が意識を失い、決着がつきました。顔が陥没するほど頭突きを受け続けた龍でしたが、それでも手は研鑽を重ねたハンドポケット状態のまま力尽きています。鍛え続けた自分の技とスタイルに誇りを持ち、倒れてもその姿勢を維持し続けた龍の負け姿は、とても美しく、オリバも「最後ノ最後マデ スマートナ野郎ダゼ…」と認めるほどでした。

■戦いのなかで成長し、マッハ突きの最終形態を見せた男

主人公・刃牙が「気高い開花」と認める成長を見せ負けた愚地克巳。『範馬刃牙』17巻(秋田書店)

●「戦いのなかで生まれた友情の証」愚地克巳:『範馬刃牙』17巻

 第3部『範馬刃牙』では、T-レックスを捕食していた「史」上最強の原人・ピクルが1億9000万年の眠りから覚め、刃牙たちと戦う「野人戦争(ピクル・ウォーズ)編」が描かれました。そのなかで行われたピクルvs愚地克巳の戦いは、作中屈指の名バトルとして高い評価を受けています。

 克巳は自身の代名詞である「マッハ突き」を強化するため、烈海王と協力し、さらに中国武術の頂点・郭海皇に師事。そして、本来は存在しない全身の細かい関節をイメージすることで、「マッハ突き」を衝撃波でガラスを割るほどに進化させ、ピクルとの戦いに挑みます。

 しかし、進化した「真・マッハ突き」は、音速を超えた衝撃で自身の拳をもズタズタに引き裂いてしまう技でした。克巳は手足を犠牲にしながら、進化したマッハ突きを繰り出します。そして、最後は腕を鞭のように引くことでさらなる速度を引き出す、マッハ突きの最終形態「当てない打撃」をさく裂させました。克巳は右腕の肉が吹き飛び、骨が露出するほどの犠牲を伴いダウンを奪ったかに見えたのですが……ピクルは眠っていただけでした。強靭な原始の肉体を持つピクルのダメージはすぐに回復する程度のもので、彼は血まみれの克巳をこれ以上攻撃する必要はないと判断していたのです。

 ピクルにとって、戦いとは狩りであり、倒した相手は食物です。ボロボロの克巳は、起き上がったピクルに右腕を食い千切られ、餌として食べられることを覚悟したところで意識を失いました。しかし、克巳の圧倒的な努力と犠牲を感じとったピクルは、倒れている克巳に祈りを捧げると、空腹のまま帰路につくのです。

 戦いのなかでさらなる進化を引き出すほど全てを出し切り、言葉の通じないピクルにも感銘を受けさせた克巳。「ピクル・ウォーズ編」の序盤で、勇次郎に突っかかった結果「だから相手にもされんのだ 俺にも刃牙にも父親にも」と辛らつすぎるひと言をもらっていた克巳でしたが、そこから一念発起し大覚醒を見せています。最強空手集団・神心会の長として、ひとりの空手家として、彼の心技が成長した姿が感動的な、見事な負け方でした。

 生まれ持った強さだけで戦う花山薫と克巳の戦いは、その究極系ともいえるピクルとの戦いにつながっており、龍書文の抜拳術も、刃牙と勇次郎の地上最強の親子喧嘩で使用されました。素晴らしい敗者が生まれた戦いは読者の心に残り、さらに別の戦いへとつながっていくので、彼らのその後には要注目です。

(SU_BU)

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