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アニメにおける「キャラクターソング」性質の変化 『マクロス』『ハルヒ』を転機に現在は?

マグミクス / 2022年11月27日 15時10分

アニメにおける「キャラクターソング」性質の変化 『マクロス』『ハルヒ』を転機に現在は?

■最初の転換点は『超時空要塞マクロス』

 日本で最初に登場した「キャラソン」ことキャラクターソングは、1963年に放送された『狼少年ケン』でポッポ役を演じた水垣洋子さんが歌った「ポッポとチッチの歌」とされています。その後は1970年に『サザエさん』でフグ田サザエ役の加藤みどりさんや当時磯野カツオ役を演じていた高橋和枝さんが挿入歌「レッツ・ゴー・サザエさん/カツオくん(星を見上げて)」を、『ヤッターマン』ではエンディングテーマ「天才ドロンボー」を小原乃梨子さん、八奈見乗児さん、たてかべ和也さんが担当しています。また『ドラえもん』ではやはりたてかべ和也さんが担当した「俺はジャイアンさまだ!」が挿入歌としてしばしば使用されており、強い印象を残しています。

 キャラソンの定義が一気に塗り替わったのは、1982年の『超時空要塞マクロス』になるでしょう。リン・ミンメイ役を演じた飯島真理さんの透き通るような声と歌唱力が生み出した数々の楽曲は極めて評価が高く、それまでは添え物に近かったキャラソンがストーリー上で重要な役割を果たすことが可能だと示した、歴史の転換点とも言える作品です。

『マクロス』をはじめとして、1980年代から2000年代にかけてキャラクターソングはファンの心をとらえ、大きな盛り上がりを見せるようになりました。作品の名前を数え上げればキリがありませんが、特に1980年代後半あたりからはCDが重要な商品のひとつとして位置づけられ、多数の作品でキャラソンが発表されています。

 特に2000年代前半の勢いは凄まじいものがあり、『テニスの王子様』では約800曲のキャラソンが作られ、ファンの熱狂的な支持を受けました。同時期には『魔法先生ネギま』がメディアミックス展開を重視しアニメの放送前から多数のキャラソンを発売し、非常に高い人気を得ています。2006年の『涼宮ハルヒの憂鬱』でも涼宮ハルヒ(CV:平野綾)の「God knows…」や朝比奈みくる(CV:後藤邑子)の「恋のミクル伝説」がヒットを飛ばしました。

■キャラクターソングはメインコンテンツへと変化した

『マクロス』を転機にキャラクター性、ストーリー性はもちろん、楽曲のクオリティが評価されてきている 画像は『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか<音楽篇>』(JVCエンタテインメント)

 この時代はゲームにもキャラソンが登場するようになっていますが、代表例としてまず思い浮かぶのは『サクラ大戦』でしょう。田中公平氏が作曲を担当し、真宮寺さくら(CV:横山智佐)と帝国歌劇団のメンバーが歌い上げるオープニングテーマ「檄!帝国華撃団」の美しい旋律と凛々しい歌声は忘れられるものではありません。帝国歌劇団のメンバーは後に舞台へと進出しており、いまの歌って踊る声優たちの先駆けともなりました。

 ゲームジャンルであれば、『ときめきメモリアル』も重要な存在です。オープニングと攻略成功時のエンディングを藤崎詩織役の金月真美さん、攻略失敗時のエンディングは上田祐司 (現:うえだゆうじ)さんが担当していますが、初めてゲーム機から歌声が流れてきた時には「ゲームってこんなすごいことができるようになったんだ!」と興奮したものです。他の登場キャラクターの歌も順次CDとして発売されましたが、このような展開をした作品としてはほぼ最初期の例となるでしょう。後に藤崎詩織名義で発売されたシングルCD『教えてMr.Sky』は作詞・森雪之丞氏、作曲・財津和夫氏と希代のヒットメーカーが手掛けており、当時の藤崎詩織、そしてキャラソンの勢いの強さがうかがえます。

 そして近年では、キャラソンの重要性はさらに増した……と言うよりも、役割が変化しています。CDの衰退と共に商品として目に見える形で店頭には並ばなくなったため、「最近はキャラソンを見ない」と思われる方もいるかもしれません。しかし実態としては「アイドルマスター」シリーズや「ラブライブ!」シリーズに「アイカツ!」シリーズ、『うたの☆プリンスさまっ♪』に『あんさんぶるスターズ!』など、歌そのものをメインコンテンツとして扱う作品が人気を博しており、キャラソンはライブも含めて作品展開における最も重要な存在へと変化したのです。

 かつては添え物だったキャラソンが、今は多くの人を熱狂させる存在となったのは、「歌」というものが、人の心にいつまでも残る強いインパクトを持つ存在だからかもしれません。作品のストーリーを忘れても、歌だけはずっと覚えているものです。キャラソンに熱狂した世代の方々が、歳を取って施設に入ったとき、同じキャラソンを歌って盛り上がる、そんな時代がいつか来るのかもしれません。

(早川清一朗)

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