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80年代ブーム「キン消し」どう遊ぶのが正解だった? 首ねじ切られる悲劇も…

マグミクス / 2022年11月24日 18時40分

80年代ブーム「キン消し」どう遊ぶのが正解だった? 首ねじ切られる悲劇も…

■謎ホビー「キン消し」は子供の妄想力を育成した!?

 1980年代、マンガ『キン肉マン』の空前の大ブームのなか登場した「キン肉マン消しゴム」。100円のカプセルトイでゴム製の超人3体が手に入り、子供たちは狂ったように集めました。しかしこれの遊び方がわからない。大人になった今もわからない……。そんな謎ホビーの思い出を振り返ります。

●100円のガチャポンで3体手に入るお得感

 地方によって呼び方が違うのか、私の地元ではこのカプセルトイをガチャガチャと呼んでいました。現在のガチャガチャは数百円するものが主流ですが、当時は100円で3体のキン肉マン消しゴム、通称「キン消し」が手に入りました。キン肉マンやテリーマン、ラーメンマンなど正義超人、バッファローマンやアシュラマンなどの悪魔超人、悪魔騎士などマンガやアニメで活躍する超人が消しゴムになっており、その造形はうっとりするほどカッコいいものでした。一方で、本編での活躍がない「読者が考えた超人」もキン消し化され、これが出るとガッカリにも近い戸惑いを感じたものです。

 その後、巨大なキン消しやキン肉バスターやタワーブリッジなどの技をかけている技消しなども発売されるなか、従来の物よりふた回りくらい小さく華奢なキン消しが20円のガチャガチャで出回るようになりました。後者はおそらくパチモンと子供心に決めつけていたので購入することはありませんでした。

●「キン消し」はどのようにして遊ぶのか?

「消しゴム」というぐらいなので、文字が消せるかというとそうではなく、鉛筆の文字を擦ってみて効果がなく、ノートが真っ黒になった経験は同世代のあるあるだと思います。このように用途が不明瞭なものを集めていることは、親にとって理解しがたいものだったようです。

 とはいえ子供サイドも遊び方は大人になった今でもわかりません。飾って眺めるなんて上品な発想は子供にはないため、キン消し2体をぶつかり稽古のように戦わせる「ぶんどど」で妄想を肥大化させる程度。

 しかしこの人形自体が硬く、ポーズに融通が利かないため、作中に登場する必殺技などは脳内で補完するしかありませんでした。これは、お笑い芸人のよゐこの濱口優さんも自身のYouTubeチャンネルの「キン消し特集」の動画で、同様の遊びをしていたと語っていたので、わりとスタンダードな遊び方のようです。

 その他、ネットでどのように遊んでいたかを調べてみると「トントン相撲」という意見が多数ありましたが、私はやったことはなく、世代差や地域差があるようでした。

■兄弟ゲンカによる制裁の対象にもなった「キン消し」

当時、これくらい精巧なフィギュアがあれば観賞用と気づいたはず。画像は「ウルトラディテールフィギュア No.656『キン肉マン』戦闘服Ver. 全高約91mm 塗装済み 完成品 フィギュア」(MEDICOM TOY)

●型がつき曲がってしまったキン消しを戻す方法

 ガチャガチャのカプセルにゴム製のキン消しが入っているため、開封すると足が曲がっていたり、人間の関節ではそっちに曲がらないだろうという方向に型がついてしまったりしていることがありました。この場合、熱湯に浸けて柔らかくし、正しい形に戻すというのがスタンダードな取り扱いだったようです。

 ただ我が家では違いました。家には当時、ヤカンを上部に乗せ沸かせるタイブの石油ストーブを使用しており、その熱で柔らかくし矯正していた記憶があります。

●流行りものだけにトラブルの種にも……

 とにかく当時の男児は多寡の差はあれど、キン消しを所持している人が多く、トラブルが起こることもありました。それはいわゆる盗人行為。見ていない隙に盗まれるというものですが、キン消し自体を多く所持しているとパッと見なにが無くなっているかわからず、後に追及したとて「自分がガチャで当てた」と白をきられれば諦めざるを得ませし、濡れ衣だった場合は関係性を壊す恐れがあるため、おいそれと問いただすこともできませんでした。ですので「その型のついた腕の曲がり方しているラーメンマンは僕のだと思うけどなぁ…」と思っても、関係性をブチ壊してもかまわないと決意しない限り指摘はできないものだったのです。

 これを防ぐため、キン消しの足の裏に名前を書く用心深さを持った友達もいました。ただ名前を書かれてしまうと、トレードの価値がなくなってしまうので交換を頻繁に行う人にとっては敬遠されていました。

●復讐や制裁の対象になるキン消し

 子供の頃、これらのキン消しは宝物で大切に集めカゴに収納していました。しかし私の姉は、キン肉マンに興味はなく、この消しゴムの価値を理解していませんでした。そんな姉とケンカが起こると、だいたいは弟の私が泣いて終結、親の仲裁により和睦で終わることがほとんどでした。

 しかし、姉の怒りが収まらないときが、たまにあるわけです。そんなとき姉が目を向けるのは、私の「宝物」であるキン消しでした。私のいない隙に姉は私のキン消しを取り出し、前述したストーブの熱でバッファローマンの顔面を変形させるほど溶かし、私の机にポイと置いておく制裁。またあるときは家に帰ると、机の上にキン肉マン、ブロッケンJr.、ラーメンマンなどお気に入りのキン消しが並べられており、よく見ると首や腕がちぎられている凄惨な復讐。これがゴーレムマンの首がちぎられているならば史実通りで趣もありますが、単に姉の猟奇的でヤバ目な精神攻撃なので恐怖と遺恨しか残りませんでした。このように価値のわからない親や兄弟に制裁の的になった家庭も多かったと思います。

 楽しさと恨み、入り混じった思い出深いキン消し。現在、数十万円で取り引きされる超人もいて資産価値もあるため、お持ちの方は引っ張り出してみてはいかがでしょうか。キン消し長者になれるかもしれません。

(南城与右衛門)

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