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金ローで『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 誰もが願った主人公の「幸せ」

マグミクス / 2022年11月25日 18時30分

金ローで『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 誰もが願った主人公の「幸せ」

■二度の公開延期を乗り越えた、シリーズ完結編

「愛してる」

 TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公であるヴァイオレットは、そのひと言によって人生を大きく左右されることになります。

 京都アニメーションが制作した『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のTVシリーズ全13話は、いわゆる「京アニ クオリティー」と呼ばれる作画力の高さ、登場キャラクターたちが織り成す繊細な心の動きを追ったドラマ性で、大変な人気を博しました。2度にわたる公開延期を経て、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は2020年9月に公開され、興収21.3億円のヒット作となっています。

 2022年11月25日(金)の「金曜ロードショー」(日本テレビ系)では、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を地上波初オンエア。放送枠を40分拡大しての放映となります。

 TVシリーズの完結編となる『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』ですが、TVシリーズを未見の人でも楽しめるよう、ヴァイオレットの過去をおさらいしたいと思います。

■愛と悲しみを知り、成長する「自動手記人形」

 孤児だったヴァイオレットは、軍人のギルベルト少佐のもとで育てられました。「少女兵」として高い戦闘能力を持つようになったヴァイオレットでしたが、ギルベルト少佐の命令なしでは動くことができません。そんなヴァイオレットは、大切なギルベルト少佐と戦場で生き別れとなってしまいます。

 別れ際、ギルベルト少佐がヴァイオレットに投げかけた言葉が、「愛してる」だったのです。

 戦争が終結しても、ギルベルト少佐の消息は分かりませんでした。両腕を失ったヴァイオレットは、義手というハンデを克服し、「自動手記人形」と呼ばれる手紙の代筆業に就くことになります。戦場で育ったヴァイオレットは当初は人間らしい感情を持ち合せていませんでしたが、手紙の代筆を通して、少しずつ人間的に成長していくのでした。

 ヴァイオレットが手紙の代筆業に打ち込めたのは、ギルベルト少佐が口にした「愛してる」の意味が知りたかったからです。手紙の依頼主や同僚たちとの交流を重ね、ヴァイオレットは言葉の重みを知ることになります。

 人間らしい感情を身につけたヴァイオレットは、「愛してる」の意味も理解するようになります。しかし、ギルベルト少佐の行方は不明のまま。愛を知ることで、深い悲しみも同時に知ることになるヴァイオレットでした。美しくも、せつない物語としてTVシリーズは終わっています。

■ようやく見つかった、ギルベルト少佐の手がかり

主人公のヴァイオレットは、義手となった両手で言葉をつむいでいく (C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 終戦から4年の歳月が流れました。劇場版のヴァイオレットは、すっかり「自動手記人形」として一流の存在となっています。そんな折、ギルベルト少佐の親友であり、ヴァイオレットが勤める「C.H郵便社」の社長・ホッジンズが、一通の手紙を見つけます。

 送り先不明で未配達のままだったその手紙は、ギルベルト少佐そっくりの筆跡でした。ギルベルト少佐は生きている? でも生きているのなら、なぜ故郷に戻ってこない? その謎を確かめるため、手紙の発送元である離島へとヴァイオレットは仕事の合間を縫って向かうのでした。

 ヴァイオレットとギルベルトが生き別れとなった戦場シーンは、ヴァイオレットの回想として劇場版でも描かれています。ギルベルトの兄・ディートフリートは、TVシリーズではヴァイオレットに冷たく接していましたが、対応がずいぶんと変わります。そうした人間関係は、劇場版のストーリーを追っているうちに察することができます。TVシリーズを見逃していた人でも、劇場版は充分楽しめるようになっています。

 とはいえ、感情を持たずに育ったヴァイオレットが、言葉には裏表があることを知り、人間らしく成長していく過程が『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のメインテーマです。劇場版を観て、作画の美しさや登場キャラクターたちが気になった人は、ぜひTVシリーズも後追いしてください。より深く、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界を堪能できるはずです。

 劇場版の冒頭に出てくる少女・デイジーは、TVシリーズで「神回」と称された第10話のマグノリア母娘の血縁者です。また、ヴァイオレットの同僚たちも、自分のペースでそれぞれの道を進んでいる姿が描かれています。

■誰もが願ったヴァイオレットの幸せ

 いつの時代も、言葉は人間を大きく左右します。温かい言葉は人を導く「道しるべ」にもなりますが、不用意な言葉は逆に人を悩ませることにもなります。

 ギルベルト少佐が発した「愛してる」という言葉を、ヴァイオレットは忘れることができずにいます。言葉には人を縛りつける、呪術のような力もあります。今回の劇場版では、ヴァイオレットは「愛してる」という言葉に返答することで、その呪縛からようやく解放されるのです。

 ヴァイオレットは見た目は華やかですが、手紙の代筆はとても地味な裏方業務です。人知れず、黙々と働くアニメ業界と通じるものがあるのではないでしょうか。人の想いをタイピングし続けるヴァイオレットと、地味な仕事をいとわないアニメーターはとてもよく似ています。

 哀しみを乗り越え、献身的に働くヴァイオレットには、幸せになってほしい。日常生活を愛おしく描く「京都アニメーション」の作品の数々に励まされてきたファンは、誰しもがそう願うのではないでしょうか。

(長野辰次)

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