「実はアニメ由来」だった日常の言葉たち 「知らずに使ってた!」
マグミクス / 2022年12月4日 15時25分
■世間に普及するアニメスラング
年末の風物詩となる新語・流行語の振り返りですが、ヒット作が多い近年では、アニメやマンガ作品からラインアップされることも珍しくなくなりました。一方で、世間一般にすでに普及している言葉たちが、実はアニメ由来だったものがいくつかあります。
●「黒歴史」はガンダム由来
最も有名なものでは「黒歴史」ではないでしょうか。人には言えない過去、無かったことにしたい過去などを指すネガティブな言葉ですが、語源となったのは1999年に放送された『∀(ターンエー)ガンダム』です。初代の『機動戦士ガンダム』から世界観を継承する『∀ガンダム』では、過去に起きた戦争の数々を黒歴史として呼んでいます。
世間的な「黒歴史」がネガティブで忘れたい出来事の意味で使われるのに対して、元ネタとなる『∀ガンダム』では“忘れてはいけない過去”というニュアンスでも使われるため、スラングとして普及する過程で若干意味が異なっています。
さらにガンダムシリーズからは、用意する意味で「スタンバる」という言葉も登場しています。『機動戦士ガンダム』で、艦長・ブライトの台詞で採用され、改めてガンダムシリーズの影響力の大きさを感じます。
●マンガの神様・手塚治虫が広めた言葉たち
諸説ありますが「エネルギー」という言葉は、手塚治虫作品の『鉄腕アトム』から広がったという説もあります。英語では「Energy(エナジー)」に相当する言葉ですが、手塚治虫が作品に落とし込んだ時の語呂を重視した、ドイツ語から読みは「エネルギー」に…などさまざまな逸話が噂されます。一方で、明治時代から「エネルギー」という単語が少数使われていたという指摘もあります。いずれにせよ、日本のアニメの礎を築いた『鉄腕アトム』から世間一般に普及した可能性は否定できません。
手塚治虫の言葉の発明には無音を表す「シーン」という表現もあります。夏目漱石ら明治期から活躍している文豪たちも、無音に対して「シン」という擬音を使っていましたが、マンガに取り入れることで世間に普及したのではないでしょうか。
●「ポチる」「ポテチ」もアニメ・マンガが元ネタ
今では当たり前になっているネットで商品を購入する行為を「ポチる」と言いますが、これは70年代のアニメ『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』のボヤッキーが、ボタンを押す際に「ポチッとな」と発言することが元ネタと言われています。物理的なボタン操作のセリフでしたが、時代を経て、ネット上のクリックに対するセリフとして今も残っています。半世紀以上前のセリフが廃れずに愛され続けているのには驚きです。
またアニメではありませんが、黒歴史以上に世間に普及しているのは「ポテチ」という言葉。いわずもがな「ポテトチップス」の略語ですが、少女マンガでTVアニメ化もされた『きんぎょ注意報!』から広がったと言われています。少女マンガ誌『なかよし』で90年代に連載された作品で、「ポテチ」は意外にも歴史が浅い言葉となっています。
では、今年のアニメ作品からも世間一般に普及しそうな言葉は出てくるでしょうか。可能性があるのは、いま最も勢いのある言葉“アーニャ語”でしょうか? 登場キャラ・アーニャの口癖「ます」は意外と使い勝手がいいかもしれません……。例えば、「大丈夫ます、がんばるます(大丈夫です、頑張ります)」「おはやいます(おはようございます)」など、まだ日常会話で使えば違和感が残るかもしれませんが、黒歴史もポテチも当初は違和感はあったはず。今後どれほど普及してくるか注目です。
(椎名治仁)
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