劣化に愕然! ファミコン時代の「移植ゲーム」あるある5選 「改変」で高評価も
マグミクス / 2022年12月13日 20時10分
■「移植」したらどうなる? ハードのスペック差にご用心!
今日でも盛んに行われている、ゲームのマルチ(プラットフォーム)展開やリメイク、リマスター。1980・90年代には「移植」という言葉がよく使われていました。所有していないプラットフォームの人気ゲームが手持ちのゲーム機に来てくれるのは嬉しいことですが、昔は「PCゲームやアーケードゲームをファミコンへ強引に落とし込む」ようなものも多く、両者の埋めがたいスペック差による「トンデモ移植」もしばしば……。それとは逆にすばらしいデキだった移植も含めた、悲喜こもごもを振り返ります。
●もっとヤリを連射したくなる『魔界村』
『魔界村』は1985年に稼働したアーケードゲームで、同年にその移植版がファミコンで登場しました。
元々は「高難度だが理不尽とまではいかず、きちんとポイントを押さえれば先に進めるようになる」という評価で、今日でいうなら「(ダーク)ソウルライク」というのが近いかもしれません。しかし、移植版はファミコンのスペック不足(当時のアーケードゲームとは、さすがに大きな差がありました)がたたり、主人公アーサーのヤリ投げ攻撃を高速で連射できなくなってしまいました。
アーケードゲームは1プレイのたびに100円を払うビジネスモデルの性質上、意図的に難度が高めに作られています。そのほうがひとりあたりのプレイ時間が短くなるので、ゲームセンターが高価な基板代を回収しやすくなるからです。
しかし、ファミコン版がそんなアーケード版より難しくなってしまうのですから目も当てられません。クリアできないほどではありませんが、当時の子供たちはほとんど歯が立たなかったのではないでしょうか。筆者もムリでした!
●かわいいけどゴツい『アルゴスの戦士』
元々は1986年に稼動したアーケードゲームですが、翌1987年にファミコン移植版が登場しました。アーケードならではの高難度を和らげるため、即死+残機制からライフ制へ、ステージクリア型からマップ探索型へ、さらにRPGのような成長システムの導入……と、もはや別のゲームのような様相に。
さらに、ファミコンのメインターゲット層である子供たちにアピールするためか、オリジナル版にはない「はちゃめちゃ大進撃」という副題が追加され、パッケージイラストもデフォルメが効いた愛らしいデザインになりました。
しかしかわいいのは本当にパッケージだけで、敵を倒し続けることで上昇するステータスは「筋力」と「胸力」という実に男らしい名称。オリジナルを知らずとも混乱すること受け合いのタイトルでした。
それでも、筆者のようなオリジナルを知らないプレイヤーにとっては「よくできたアクションゲーム」として楽しめましたが、「あのアルゴスが移植されるのか!」と楽しみにしていた人には肩すかしだったかもしれません。
■別物なのが逆に嬉しかった!?『グラディウスIII』
Nintendo Switch『アーケードアーカイブス グラディウスIII 伝説から神話へ』 Arcade Archives Series Produced by HAMSTER Co. (C)Konami Digital Entertainment
もはや何とかのひとつ覚えのようになってきましたが、1989年に稼働したアーケード用横スクロールシューティングゲーム『グラディウスIII 伝説から神話へ』も「難しいが、名作」として知られたゲームでした。
筆者は初代『グラディウス』や『グラディウスII』のファミコン移植版を楽しんで遊んでいましたので、スーパーファミコンに移植された『グラディウスIII』も当然のように購入。クリアできたら一段階難度を上げて再び挑戦し、少しずつ高難度でもクリアできるようになっていきました。
そんなある日、親の買い物についていったデパートのゲームコーナーでアーケード版を発見。スーパーファミコン版を何度もプレイした今なら、結構いけちゃうのでは? むしろクリアできちゃうのでは!? と思いながら100円を投入したところ、ステージ1でめでたく爆散しました。難度が違い過ぎる……。
スーパーファミコン版は、ステージの構成を変えてまで難度を抑えており、とても遊びやすく調整されていたのです。移植度を抜きにすればゲームとしては極上といってもよいデキで、この調整はコナミの気遣いだったのではないかと思っています。ありがとうコナミ…!
●わたしの名はきずぐすり…?『FE 紋章の謎』
1994年にスーパーファミコンで発売された『ファイアーエムブレム 紋章の謎』は、ファミコンで発売された『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』の後日談であるとともに『暗黒竜』のリメイクを第1部として収録している太っ腹なソフトでした。
しかし、ゲーム2本分を丸々収録するのはさすがに容量が足りなかったのか、第1部はファミコン版と比べていくつかの章が削除され、仲間キャラの人数も少なくなりました。
そんな状況でファンから語り草になってしまったのが、第1章で仲間になるはずだった僧侶のリフです。『紋章の謎』の第1部 第1章では存在そのものが抹消され、代わりに体力回復アイテムの「きずぐすり」をもらえるだけになってしまったのです。それ以来、リフのことを「きずぐすり」と呼ぶファンもいるとかいないとか……。
●新鮮な気持ちで楽しめた『ドラクエI・II』
『FE紋章の謎』と同じように2作品を1本のソフトにまとめてリメイクしたのが、1993年にスーパーファミコンで発売された『ドラゴンクエストI・II』です。こちらは2作品ともファミコンソフトの移植(リメイク)ですので、容量不足に悩まされることもなく盤石のクオリティ。グラフィック、サウンド、操作性などすべてが大幅にクオリティアップしたソフトに仕上がっていました。
また、ファミコン版『ドラクエII』から本作までの間にキャラクターデザイン・鳥山明さんのタッチが大きく変わったこともあり、『II』の主人公であるローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女が、パッケージイラストでしっかりした頭身の美少年、美少女に大変身! 当時の筆者はそのパッケージを見ただけで「買わねば…」と決意したものでした。
「ザオリクを使えるのに、自分が最初に死んでしまう」とよく言われていたサマルトリアの王子が強化されるなど、ゲームバランスにも手が入っているのが嬉しかったですね。
どれがよい移植でどれがダメな移植なのか……昔はゲーム雑誌を見て入念に検討したものでしたが、いつの間にやら移植という言葉そのものがあまり使われなくなりました。今日でも、ゲーム機のスペックを考慮に入れながらマルチ展開されたゲームをどのプラットフォームで買うかという悩みはありますが、昔に比べたらその差はかわいいものです。なんともよい時代になりました。
※一部の写真説明を修正しました。(2022.12.22 8:05)
(蚩尤)
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