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声優の「廃業」「引退」の違いとは? 最近ニュースが多い、シンプルな理由

マグミクス / 2022年12月6日 12時10分

声優の「廃業」「引退」の違いとは? 最近ニュースが多い、シンプルな理由

■声優の廃業・引退とは?

『ウマ娘 プリティーダービー』のアイネスフウジン役などで知られる声優の嶺内ともみさんが、2022年12月31日をもって廃業すると、所属事務所のアイムエンタープライズから発表されました。2018年のTVアニメ『スロウスタート』の十倉栄依子役で初めてメインキャラクターを演じ、その後も『小林さんちのメイドラゴンS』のイルル役や『スローループ』の吉永恋役などさまざまな役を演じていた嶺内さんの廃業のニュースは、まだ24歳という若さということもあり大きな驚きをもたらしました。

 また、「BanG Dream!(バンドリ!)」シリーズの丸山彩役で知られる前島亜美さんは11月末に芸能活動休止&所属事務所退所を発表し、ショックを受けたファンがSNSへ悲しみの投稿を行なう光景が見られました。

 近年は声優の引退や廃業がしばしばニュースを賑わせていますが、引退と廃業のふたつの言葉には大きな違いがあります。「引退」は文字通り、声優としての仕事から「引いて退く」という意味となり、自分から積極的に仕事を取りに行くことはなくなりますが、声がかかれば復帰することもあり得る状態です。

 はっきり明言されることなく「事実上の引退」になっていることも多いため、具体的な例を挙げるのは難しいのですが、最近はあまり名前を見掛けなくなった方が過去作品の続編で復帰するのがこのパターンの一例となります。

 対して「廃業」は、業界から完全に距離を取り二度と関わらないという意味になります。声優を辞め新たな世界で人生を送る決意の表明と言えるでしょう。

 引退や廃業を決断する理由としては、さまざまな物があります。体調不良や結婚・出産に伴うもの、あるいはスキャンダルによるもの。新しくやりたいことを見つけた方もいるでしょう。しかし一番多い理由は、おそらく「単純に仕事がない」からだと思われます。近年は声優の仕事の種類が増えて需要も拡大していますが、声優志望者の数はあまりにも多く、安定して仕事を確保できる方はほんのひと握りにすぎません。ニュースにならない形で引退・廃業を余儀なくされている事例の方が、圧倒的に多いのです。

■ニュースになるのは声優の存在感が増したから

声優の仕事は「アフレコ」だけではない(画像:写真AC)

 声優は厳しい仕事です。近年では、キャラクターに命を吹き込む以外にも、ライブでの歌唱とパフォーマンスが要求されるのは当たり前で、さらに楽器演奏やドラマ・舞台への出演、ラジオのパーソナリティなど、こなす仕事の種類を挙げれば枚挙にいとまがありません。しかし、声優を志望する方々はそれを覚悟して飛び込んでいるということでもあります。むしろこれらの仕事を勝ち取るために膨大な努力を積み重ねているからこそ、多くの種類の仕事をこなせているのです。

 声優の方々がさまざまな局面で存在感を強め、その進退に注目が集まるようになったからこそ、近年は引退や廃業がニュースになっている側面が強いと思われます。ひと昔前は、有名な声優が一線を引いてもニュースにはならなかったのです。

 過去の事例としては、高田由美さんの一件が挙げられるでしょう。高田さんは『クレヨンしんちゃん』の吉永みどり役(初代)や「天地無用!」シリーズの初代・阿重霞 (あえか)役などで知られており、ラジオや顔出しの仕事も精力的にこなしていました。しかし2009年に持ち役を全て降板して以降、まったく進退が分からなくなっています。

 吉永みどり役と阿重霞役を引き継いだ七緒はるひさんは「最初は(吉永みどりの)代役として呼ばれたがそのまま継続になった」ことを明かしており、当初はすぐに復帰する予定だったことがうかがえます。どうやら病気になりそのまま療養に入ったようですが、現在に至るまで特に公式発表は行われていません。何かあったらひっそりと消えるのが、かつては当たり前だったのです。

 もうかなり昔の話ですが、筆者がある声優さんと話をしているときに、引退や廃業に話題が及んだことがあります。その方は「自分の先輩が歳を取って仕事が減ってしまい、食べていけないから声優を辞めようとしている」とおっしゃったので、筆者は「長く続けて来たのにもったいない。別の仕事をするにしても、看板を下ろす必要はないと思います」と言葉を返した記憶があります。

 あとで振り返ってみて気付きましたが、もしかしたら先輩の話ではなく、ご本人のことだったのかもしれません。少なくともその方は今も現役の声優として精力的な活動を続けておられるので、密かに応援をつづけています。

 声優は事務所に所属している方が大半ですが、黙っていても仕事がもらえるわけではありません。名だたる先輩や才能あふれる後輩を押しのけて役を勝ち取り、人気を得て初めて食べていけるようになる厳しい道です。努力と苦労を重ねて勝ち取ったポジションを放棄する理由は、本人にしか分からないことでしょう。ただ、廃業する方も、引退する方も、その後の人生が良いものであってほしい。筆者をはじめとする声優のファンは、おそらく多くの方がそう願っているのではないでしょうか。

(早川清一朗)

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